【社長、その経費削減は間違いです!】会社を潰すコストカット、成長させるコストカット。利益を生む「経費」の正しい使い方

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A社長は、今月の試算表を見て眉をひそめました。「また経費がかさんでいるな…。よし、今日から全社的に不要な経費は徹底的に削減だ!広告も、研修も、一旦すべて見直せ!」

一見、経営者として当然の判断に見えます。しかし、その数ヶ月後。会社の売上はなぜか伸び悩み、優秀な社員からは不満の声が聞こえ始めました。A社長は気づいていませんでした。彼が行った「経費削減」が、**会社の未来を創るための「投資」**までをも切り捨てていたことに…。

「経費」と一括りにして、やみくもに削減しようとする。それは、会社の体力を静かに奪い、成長の芽を摘んでしまう、最も危険な過ちの一つなのです。

あなたの会社を強くする「経費の解剖学」

この記事では、会社の経費を2つの種類に分解する「メガネ」を手に入れることで、どこにメスを入れるべきで、どこは絶対に守るべきなのかを判断するための、戦略的な視点を解説します。

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経費を正しく見るための「魔法のメガネ」〜固定費と変動費〜

会社のすべての経費は、たった2つの種類に分解できます。この「メガネ」をかけることで、あなたの会社の財務構造が驚くほどクリアに見えてきます。

1. 変動費:売上に比例して増減する経費

商品の仕入原価や、販売手数料、運送費など、**売上が増えれば増えるほど、それに連動して増えていく経費**のことです。売上がゼロなら、この経費もゼロになります。

2. 固定費:売上に関係なく一定でかかる経費

事務所の家賃、社員の給料、減価償却費、リース料など、**たとえ売上がゼロでも、会社を維持するために毎月必ず出ていく経費**のことです。経営者が最もコントロールすべき、重要なコストです。

なぜ、この分け方が重要なのか?会社の「損益分岐点」が見える

この2つに経費を分けると、あなたの会社が「赤字」から「黒字」に転換する、魔法の数字**「損益分岐点売上高」**を計算できるようになります。

【損益分岐点とは?】

一言でいえば、**「利益がゼロになる売上高」**のことです。つまり、会社が存続するために、最低限稼がなければならない売上のラインを示します。

戦略的なコストカットの視点

損益分岐点が見えると、コストカットの目的が明確になります。

  • 🎯 変動費を削減する:商品1個あたりの利益率が上がり、儲けやすい体質になる。
  • 🎯 固定費を削減する:損益分岐点自体が下がり、少ない売上でも利益が出る、不況に強い体質になる。

【警告:切ってはいけない固定費】

しかし、固定費の中には、未来の売上を作るための**「戦略的投資」**が含まれています。例えば、広告宣宣伝費、研究開発費、そして人材育成のための研修費などです。冒頭のA社長は、目先の利益のために、この未来への投資を切り捨ててしまったのです。

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この記事のまとめ

  • 経費をやみくもに削減するのは危険。会社の成長を止める可能性がある。
  • すべての経費を、売上に連動する「変動費」と、連動しない「固定費」に分けて見る。
  • この2つに分けることで、会社の赤字脱出ラインである「損益分岐点」がわかる。
  • 固定費の中でも、広告費や研修費といった未来への「戦略的投資」は、安易に削減してはならない。

社長、そのコストの向こうに、未来の笑顔は見えますか?

経営者の肩には、常にコストという重圧がのしかかっています。そのプレッシャーの中で、未来への投資を続けるのは、勇気がいる決断です。時には、目先の数字に追われ、短期的なコストカットに走りたくなる気持ちも、痛いほど分かります。

しかし、そんな時こそ、思い出してください。あなたの会社が、何のために存在するのかを。その経費は、誰かの笑顔や、会社の輝かしい未来に繋がっていますか?

自社の経費構造を分析し、どこを削減し、どこに投資すべきか。その戦略的な判断は、経営者が下すべき最も重要な意思決定の一つです。もし一人で悩んでいるなら、ぜひ専門家を頼ってください。優れた「経営コンサル型税理士」は、あなたの会社の損益計算書から損益分岐点を算出し、利益を最大化するための最適なコスト構造を、共に考えてくれるパートナーです。

あなたのその賢明な判断が、会社の未来を創ります。私たちは、挑戦するあなたを、いつでも応援しています。


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実際の経営判断や会計処理にあっては、必ず税理士などの専門家にご相談の上、ご自身の責任において行っていただきますようお願い申し上げます。

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