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住宅ローンを組んでマイホームを購入したAさん。1年目は税理士に頼んで大変な「確定申告」を済ませ、税金が還付されたことを覚えています。そして2年目の秋、税務署から何やら長くて難しそうな書類が、分厚い束で送られてきました。
「去年は確定申告だったけど、今年は会社で年末調整してくれるって聞いたな…。でも、この書類、一体どうすればいいんだ…?」
このAさんの疑問、住宅ローンを組んだことがある方なら、誰もが一度は通る道です。そして、経理担当者のあなたも、毎年この質問を何人もの社員から受けているのではないでしょうか。
もう迷わない!2年目以降の手続きを完全解説
この記事では、住宅ローン控除の2年目以降の手続きに絞って、「どの書類を」「どこを見て」「どう書くか」を、誰でも10分で理解できるように、手順を追って徹底的に解説します。
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大原則:「1年目は確定申告、2年目以降は年末調整」
まず、この大原則を理解しましょう。住宅ローン控除を受けるためには、家を買った1年目だけは、必ずご自身で税務署へ「確定申告」をする必要があります。これは、あなたが控除の対象者であることを国に登録する、最初の儀式のようなものです。
そして、その確定申告を一度済ませれば、2年目から退職する年までは、会社の「年末調整」で手続きが完結します。会社員にとっては、格段に手間が減るのです。
ステップ1:2種類の「神書類」を準備する
年末調整で住宅ローン控除を受けるために必要な書類は、たったの2種類です。この2つがなければ、何も始まりません。
必要書類①:金融機関発行の「年末残高等証明書」
住宅ローンを組んでいる銀行などの金融機関から、毎年10月頃に送られてくるハガキや封書です。その年の年末時点での「ローン残高がいくらか」が記載されています。
必要書類②:税務署発行の「控除申告書」
1年目の確定申告を済ませた後、翌年10月頃に税務署から、残りの控除期間分(9年分など)がまとめて送られてくる書類の束です。正式名称は「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」といいます。毎年1枚ずつ使います。
ステップ2:申告書を書き進める【記入例つき】
2つの書類が揃ったら、いよいよ申告書を書いていきましょう。会社から配布される**「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」**(②の書類)に記入します。
書き方の手順
- 個人情報と勤務先を記入:上部の欄に、あなたの氏名・住所、そして会社の名称・所在地を記入します。
- ローン残高を転記:金融機関から届いた「年末残高等証明書」(①の書類)を見て、「住宅借入金等の年末残高」の欄に、そこに書かれている残高をそのまま書き写します。
- 取得対価を記入:申告書には、住宅の取得対価(購入金額)を記入する欄があります。これは1年目の確定申告で使った書類や、売買契約書で確認できます。
- 控除額を計算:②の年末残高に、居住開始年月日に応じた控除率(通常は0.7%)を掛けて、その年の控除額を計算します。(例:年末残高3,000万円 × 0.7% = 21万円)
- 最終的な控除額を記入:④で計算した金額と、申告書に記載されている「控除額の限度額」を比較し、いずれか少ない方の金額を「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額」の欄に記入します。
最後に、この書き終えた申告書に、金融機関から届いた「年末残高等証明書」(①の書類)を添付して、会社の担当部署に提出すれば完了です。
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この記事のまとめ
- ✅ 住宅ローン控除は、1年目は確定申告、2年目以降は年末調整で手続きする。
- ✅ 年末調整には、銀行からの「残高証明書」と、税務署からの「申告書」の2つが必須。
- ✅ 「申告書」は、残りの年数分がまとめて送られてくるので、失くさないように大切に保管する。
- ✅ 書き終えた申告書に、残高証明書を添付して会社に提出すれば完了。
経理担当者の皆様へ、心からの敬意を込めて
住宅ローン控除の申告書は、年末調整の中でも特に専門的で、一人ひとりの状況が異なるため、確認に大変な手間がかかる書類の一つです。従業員の大切な資産と納税に関わるこの重要な手続きを、毎年正確に処理されている経理・総務担当者の皆様に、心からの敬意を表します。
もしよろしければ、社員の皆様への書き方説明の際に、この記事をご活用ください。皆様の負担が、少しでも軽くなることを願っています。
また、繰り上げ返済をした場合や、夫婦のペアローン、リフォームなど、複雑なケースで判断に迷う場合は、決して自己判断せず、専門家にご相談ください。「経営コンサル型税理士」は、会社の税務だけでなく、従業員一人ひとりの税務に関する相談にも、親身になって答えてくれます。
あなたのその丁寧な仕事が、社員の安心な暮らしを支えています。私たちは、そのプロフェッショナルな姿勢を、心から応援しています。
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実際の税務判断にあっては、必ず税理士や所轄の税務署にご確認の上、ご自身の責任において行っていただきますようお願い申し上げます。