個人事業を廃業した場合に確定申告は必要か【事業廃止放置は危険】
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個人事業を廃止するのは事業失敗・年齢的廃業・法人成りがあります。これ以外にも子供や親族に個人事業を譲るときに起きる個人事業の廃業もあります。廃業時には税理士さんを頼んでいない人も多く、後日のトラブルを生んでいるのです。
個人事業を廃業した場合に確定申告は必要か【事業廃止放置は危険】
個人事業を廃業するには理由があります。
個人事業廃止には大きく分けて2つのパターンがあります。
1つは前向きな廃業です。
・業務好調につき株式会社や合同会社などの会社設立に向かって個人事業を廃止するケース
・子供が成長してきて個人事業を子供に譲るために個人事業を廃止するケース
もう一つは後ろ向きな廃業です。
・個人事業がうまくゆかずに個人事業を廃止するケース
・個人事業で消費税納税がつらいために会社設立をしてしまうケース
前向きな廃業の場合には、顧問税理士さんが付いているケースや会社設立を機に税理士さんをつけるケースが多くなります。
前向きな個人事業廃止の場合には情報が入ってくるため大きなトラブルは少なくなります。
問題になるのは、後ろ向き廃業です。
後ろ向き廃業の場合、そもそも税理士さんがついていないことが多いのです。
もしくは税理士さんを頼んでいたけども顧問料も払っていないため聞けないということがあります。
事業がうまくいかないことで廃業するので、そのあとに税理士さんを改めて頼むということも考えにくくなります。
必要な情報は自己責任で集めて、手続きをしなければ大きな問題を抱えてしまうということになります。
万が一の際に備えて、個人事業を廃業した場合にはどうしたらよいかを見ておきましょう。
(目次)
1.個人事業を廃業する時の手続きとは?
2.個人事業を廃業する時に忘れがちな手続きとは?
3.個人事業の廃業をするときに確定申告は必要なのか?
4.個人事業を廃業したら予定納税に要注意
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1.個人事業を廃業する時の手続きとは?
個人事業主を始めるときは簡単です。
税務署に開業届を出すだけで個人事業主としてスタートできます。
この開業届を出さなくても個人事業主としてスタートすることもできます。
開業時から青色申告をしたい場合は、きちんと開業届を出して事業を開始します。
個人事業を廃業するときも簡単です。
税務署に提出する書類は次の通りです。
①個人事業の開業・廃業等届出書
②給与支払い事務所等の開設・移転・廃止届出書
③所得税の青色申告の取りやめ届出書
④事業廃止届(消費税の廃業届)
株式会社や合同会社などのように、法務局に対しての手続きがありません。
廃業する書類に貼付する印紙などがないので、廃業手続きに必要な手数料がないというメリットがあります。
2.個人事業を廃業する時に忘れがちな手続きとは?
個人事業主が事業を廃止する場合に必要な届出書について記載しましたが、これを出していない方が多いのです。
個人事業を廃止する際には、何も書類を出さないままフェードアウトしてしまう人のほうが多い気がするほどです。
それなのに「毎年確定申告書が送られてきてどうしたらよいかわからない」という人もいるのです。
上記1の関係するすべての書類を出すべきですが、絶対に忘れないほうがよい書類があります。
それは「個人事業の開業・廃業等届」と「事業廃止届」です。
これを出していないと税務署側では、事業をやめたということがわかりません。
消費税の免税事業者の場合には「事業廃止届」は不要です。
3.個人事業の廃業をするときに確定申告は必要なのか?
個人事業を年の途中でやめてしまった場合に確定申告が必要なのかを気にしている方も多いと思います。
特に後ろ向きな理由で廃業する場合には、税理士さんがついていないケースも多く「確定申告をどうしたらよいか」と困るケースがあります。
個人事業を廃業する場合には、確定申告が必要なケースと不要なケースに分かれます。
①確定申告が必要なケース:税金計算をしてみて、納税額が出る場合
②確定申告が不要なケース:税金計算をしてみたところ、赤字や税額がでない場合
※所得税の計算上、税額がでなくとも消費税は申告が必要なケースもあります。
結局計算しなければ「確定申告が必要かどうかがわからない」ということになります。
事業がうまくいかず、他から給与をもらっている場合などは事業の損失とお給料を通算することで税金が多く戻るケースなどもあります。
税理士さんをつけていない場合でも、自分なりに帳簿をつけて確定申告をした方がメリットがあることが多くなります。
(確定申告をしない場合には青色申告に注意)
事業の利益が少し出ているけども「青色申告特別控除を引くと税金がでない」という場合には注意が必要です。
青色申告特別控除の65万円は「確定申告の申告期限までに確定申告書を提出することが要件」になっています。
税金の試算段階で65万円の控除を使って計算して税額が出ないと思っていたらアウトというケースがあります。
確定申告書の2表の右下の部分には「個人事業の開・廃業日」を記載する箇所があります。
確定申告書を提出する場合には、こちらに「廃業日」を記入しておきましょう。
4.個人事業を廃業したら翌年の予定納税に注意
個人事業を廃業したのに「税務署から税金がきた」というケースがあります。
後ろ向きな個人事業廃業よりも、法人成りなど前向きな廃業のケースに起こります。
所得税・消費税には予定納税制度というものがあります。
前年の所得税や消費税が一定金額以上だと、翌年に前年の税金の一定割合を前払いしなければならないというものです。
事業をやめている場合にも、税務署から通知が来ることがあるので「放置しないよう」に注意してください。
これを放置してしまうと、予定納税の税金を「延滞」していることになり、税務署から督促が来ます。
(所得税の予定納税とは)
①所得税の予定納税がある人:予定納税基準額が15万円以上の人
※予定納税基準額とは、前年の源泉徴収を除いた所得税等が目安になります。(正確には細かい規定があります)
②予定納税の期日と金額
・予定納税の期日:第1回目:7/1~7/31・第2回目11/1~11/30
(個人事業を廃業している場合の対処)
・7/15までに「予定納税の減額申請書」を税務署に提出することで予定納税を0又は減額することができます。
(消費税の中間申告とは)
所得税は予定納税といいますが、消費税の場合には中間申告ということになります。
中身は基本的に同じようなものです。
①消費税の中間申告がある人:前年の消費税(国税部分)の年税額が48万円を超える人
前年の消費税(国税)の金額によって中間申告の回数が変わります。
②中間申告と納税期限:48万円超400万円以下(ほとんどの人)は8/31
※廃業している人は手続きをすることで所得税・消費税の通知書の金額を納税せず、減額又は0円とすることができます。
通知書を放置してしまうと、通知額が確定するのでいったん納税してから還付のために確定申告をする必要がでます。
まとめ
個人事業を廃業する場合には、確定申告をしなくともよいケースがあります。
個人事業を法人化した場合などは確定申告が必要になることがほとんどです。
個人事業を廃業した際には税務署に必要書類を提出しておきましょう。
廃業年の翌年には予定納税や中間申告の書類が届くことがあるので、郵送物確認しましょう。
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