人を雇用している人が使えるかもしれない節税~確定申告で検討したい所得拡大税制~
- 2017/3/1
- 未分類, 決算, 法人税, 起業
- 一般の被保険者, 使用人兼務役員, 労働基準法第108条, 基準雇用者給与等支給額, 平均給与等支給額, 所得拡大税制, 比較平均給与等支給額, 比較雇用者給与等支給額, 白色申告, 税理士, 節税, 給与, 継続雇用者, 雇用保険, 雇用者給与等支給額, 青色申告
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確定申告をしていると思いのほか税金が出すぎている場合に検討できる節税案はないか考え込んでしまいます。そこで人を雇用している人は所得拡大税制を検討してみましょう。
人を雇用している人が使えるかもしれない節税~確定申告で検討したい所得拡大税制~
雇用者給与等支給額が増加した場合の所得税額の特別控除という長い名前の節税方法があります。
確定申告をしていてこれ以上の経費はもうないとなった段階から使える可能性のある節税です。
一定の要件に該当していれば、これ以上の出費なしで税金が安くなる本当の節税です。
ただし、計算が非常に難しいので税理士さんの手を借りたほうが安全なものになります。
要件1:どんな事業者が対象になる節税か?
①青色申告をしている人
白色申告の人には適用がないのでこの節税は使えません。
②国内雇用者に給与等の支払いをしている事業者
国内雇用者とは一般的な従業員さんのことをいいます。
国内雇用者は賃金台帳に記載された人のことをいい、雇用保険の一般被保険者でない者も含みます。
ただし、次の人は除きますので注意してください。
・使用人兼務役員
・役員の親族(法人の場合)
・役員と婚姻届けを出していないが事実上婚姻関係と同様の状況の者(法人の場合)
・役員から生計支援を受けているもの
・上記の者と生計一にする親族
③(雇用者給与等支給額-基準雇用者給与等支給額)>増加促進割合以上
平成28年の増加促進割合:3%
平成29年の増加促進割合:4%(中小事業者は3%)
平成30年の増加促進割合:5%(中小事業者は3%)
要件2:対象者の給与は増額されているか?
要件1を満たした場合、次の判定に移ります。
次の①と②の両方を満たしている必要があります。
①雇用者給与等支給額-比較雇用者給与等支給額>0
②平均給与等支給額-比較平均給与等支給額>0
対象となる給与とは?
国内の事業所に勤務する特殊関係のある使用人以外に対する給与で、所得税法第28条第1項に規定する給与です。
「俸給、給料、賃金、歳費収び賞与並びにこれらの性質を有する給与」
注意点:労働基準法第108条に規定する賃金台帳に記載された者を対象としています。
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用語の意味
①雇用者給与等支給額
適用年の事業所得の計算上必要経費に算入される国内雇用者に対する給与等をいいます。
例えば、平成28年度の確定申告をする場合には平成28年の事業所得の計算上必要経費に算入している従業員さんに対する給与です。
ただし、他の者から給与等に充てるために支払いを受けているものがある場合には給与の額から差し引きます。
②基準雇用者給与等支給額
平成25年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入される従業員さんに対する給与等の支給額のことをいいます。
事業を開始した年が平成25年以後の場合は開業年によって次のようになります。
a:平成25年に開業した場合
(平成25年に事業所得の必要経費に算入した給与等支給額)×12÷事業をしていた月数(12か月に換算している)
b:平成26年以後に開業した場合
(開業した年の事業所得の必要経費に算入した給与×70%)×12÷事業をしていた月数(12か月に換算している)
③比較雇用者給与等支給額
適用年の前年分の事業所得の必要経費に算入された従業員さんの給与支給額
平成28年の確定申告をする場合には平成27年の必要経費に算入された従業員さんの給与の額です。
前年が開業年の場合には、次のように計算します。
前年の給与支給額×12÷事業をしていた月数(12か月に換算している)
平均給与を計算する時の注意点
継続雇用者に対する給与等という場合には、雇用保険法の一般被保険者に対する給与等に該当するものをいいます。
高齢者等の雇用の安定等に関する法律における継続雇用制度に基づき雇用されるものは除きます。
継続雇用者に対する給与ですから、雇用保険の一般被保険者で判定対象年とその前年の両方の年に在籍している人の給与ということになります。
④平均給与等支給額
適用年の継続雇用者の給与支給額÷給与給与等月別支給対象者の合計数
対象者一人当たりの平均給与額を計算しています。
・継続雇用者とは適用年と適用年の前年において給与の支給を受けている雇用者です。
雇用保険の一般の被保険者で、適用年と適用年の前年の給与を基に計算していきます。
⑤比較平均給与等支給額
適用年の前年の継続雇用者に対する給与等の支給額÷前年のその継続雇用者に対する給与等の支給額に係る前年の給与等月別支給対象者の数
継続雇用者の前年の平均給与額を計算で求めていることになります。
前期と今期にまたがっている雇用保険対象者の一人当たり人件費が増加していなければ、所得拡大税制の適用がないということになってしまいます。
年末に賞与を出すことによって年の途中で退職者がいる場合には不利になるので注意しましょう。
まとめ
所得拡大税制は成長している会社にとっては非常に大きな節税メリットのある税制です。
しかし、退職など予期できない事態に影響されてしまうので計画的に行うことが難しい制度です。
確定申告時に税理士さんにこの部分を相談して税務上有利な規定が使える場合には拾い出してもらいましょう。
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