建設業の税務調査で問題となる「在庫や仕掛かり」とは?

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建設業の決算作業で忘れやすい「在庫や仕掛かり」というものがあります。当然税務調査でも「在庫や仕掛かり」を巡って会社側が思わぬ納税になることも珍しくありません。今回は在庫や仕掛かりというものをみておきましょう。

建設業の税務調査で問題となる「在庫や仕掛かり」とは?

建設業は個人事業でも法人でも在庫の考え方が非常に難しい業種です。

個人事業の建設業の場合には、12月31日までの期間で事業年度が終了しますから在庫と仕掛かりが少ない可能性が高くなります。

法人の場合には、それぞれの法人ごとに事業年度を定めています。

そのため法人によっては自社の繁忙期に決算期を迎えてしまう会社もあることでしょう。

現場が動いている時期に決算期を儲けている会社の場合には「在庫や仕掛かりトラブルの起きやすい会社」といえます。

ただし、在庫や仕掛かりという考え方をしっかりと理解しておけば決算の際にあわてる必要はなくなります。

今回は在庫や仕掛かりというものを見ておきましょう。

在庫や仕掛かりは「棚卸し資産」といわれるもの

いきなり結論をいってしまいますが、「在庫」というものも「仕掛かり」というものも会計の専門用語でいうと「棚卸し資産」といわれるものです。

この棚卸し資産というものは「売上がたつまでは経費で落とさないでください」といわれているものです。

例えば、

ジュースを単価80円で100本仕入れたとしましょう。

仕入にかかった経費は80円×100本=8,000円です。

この商品のうひ90本を100円で売ったとしましょう。

売上=90本×100円=9,000円です。

見た目だけの話では次のように見えます。

売上=9,000円

仕入=8,000円

利益=9,000円ー8,000円=1,000円

手元のお金の増減だけでいうと、上記の通りなのですが利益は別なのです。

会計・税務の正解は次のように考えます。

①売上:9,000円

②売上原価(売上に対応する経費)

仕入8,000円ー1,000円(期末商品棚卸高)=7,000円

③利益(①ー②)=2,000円

在庫になっている1,000円は来期以後の売れたときに経費になるということになります。

在庫や仕掛かりが増えるとお金はないのに利益がでる

さきほどの事例で分かったと思うのですが、在庫は仕入れてお金を払っていても売れるまで経費になりません。

仕入段階でお金は手元から減っていても、売れていないので入金がないのです。

それなのに他の利益があれば納税が必要になってしまいます。

在庫や仕掛かりを抱えすぎると、手元に資金がなくて節税できないにもかかわらず利益が残ってしまう可能性があります。

ただ在庫や仕掛かりの状態であれば、売上が確定していないので利益も実現していません。

利幅の大きな仕事の場合、年度末に完了するよりも翌期に完了した方がよい場合もあるので納期のバランスをしっかりと考えておきましょう。

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建設業の在庫管理には注意が必要

建設業の在庫管理には注意が必要です。

建設業に対する税務調査の際にもチェックされるポイントがあります。

建設業の場合、材料を事務所や倉庫に搬入していないケースがあります。

税務調査では納品書や請求書に記載されている納品先をチェックしていきます。

①直接現場に納品しているところがないか

②発注日が決算期ギリギリで納品が間に合わないものがないか

③売上のたっていない現場名の記載がないか

建設業の在庫チェックを税務調査でおこなう場合には上記のポイントを見ていきます。

①直接現場に納品しているところがないか

現場直送の材料などがある場合、その現場の完成時期によっては在庫になります。

さらに税務調査の際には「在庫の検品を行っていますか?」と確認されます。

「店舗と倉庫はしっかりと検品して在庫を計上している」と応えている場合、直送在庫は計上が漏れていることになります。

この部分をピックアップして在庫漏れをしてくるケースも案外多いのです。

②発注日が決算期ギリギリで納品が間に合わないものがないか

経理担当者は月末の合計請求書が届いた時点で「材料仕入」という経費を発生させます。

仕入れ先の締め日にもよりますが、年度末と請求締めが同じ場合、決算期ギリギリに発注したものも決算期内の請求書に載ってくることがほとんどです。

なぜなら仕入れ先は決算期内に出荷手続きを行っていて、倉庫から出火しているからです。

ところが仕入れている方は、発注が終わっていても納品がされていないケースもあるのです。

船便の場合数日間はかかります。

仮に3月31日が決算日で3月30日に発注していた場合、仕入れる方に届くのは4月2日ということもあり得ます。

これでは倉庫や店舗の在庫を正しく検品しても、船の上ですから検品から漏れてしまっています。

税務署は税務調査の際にこういった検品上のミスがないかをチェックしてきます。

③売上の上がっていない現場名の記載がないか

これは在庫の計上漏れの話ではありません。

売上を除外しているものがないかのチェックを在庫を通しておこなっているものです。

材料を仕入れたら売上とひもがつくということを端緒に売上の漏れを探すことがあります。

仕掛かりは面倒な計算が必要になる

材料の仕入であれば使っていないものを検品すればわかります。

難しいのは仕掛かりというものです。

仕掛かりは現場が完了していないけども、手がけている現場の原価のことをいいます。

工事で1Fの床工事を頼まれていたとします。

工期としては2か月くらいで終わるのですが、1か月半経過した段階で決算期になってしまいました。

材料も発注済みのものの80%を使い、外注も1ヶ月半分支払い済みです。

自社の従業員の給料も1か月分はこの現場の分でした。

このケースでは次のように仕掛かりを集計していきます。

①現場に対応する材料費を集計する

②現場に対応する外注の請求書を集めて集計する

③作業日報から従業員の人件費のうち対応現場分を集計する

①+②+③=仕掛かりの金額

現場に対応する材料費のうち、未使用のものがあっても在庫になるだけですので仕掛かりに集計しても損益に影響はありません。

税務調査の際には損益に影響のある・損益に影響がないという部分でチェックされます。

まとめ

建設業の場合には倉庫や事務所にある材料だけを在庫として集計していたのでは税務調査で指摘されてしまいます。

経理担当者が在庫と仕掛かりについて理解しておくことで税務調査でのトラブルを減らすことができます。

特に仕掛かりについては、考え方が難しいので税理士さんに相談しながら集計をしていきましょう。

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