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商業・サービス業・農林水産業を活性化するために導入された税制をご存知でしょうか?投資促進税制にばかり注目が集まっておりますが、「商業・サービス業・農林水産業活性化税制」も使える税制なのです。

商業・サービス業・農林水産業活性化税制を活用しよう!

アベノミクスの中に中小規模事業者の攻めの投資を支援する税制として、「商業・サービス業・農林水産業活性化税制」が導入されました。

この「商業・サービス業・農林水産業活性化税制」でできることは、取得価額の30%の特別償却又は取得価額の7%の税額控除が受けられます。

しかも、この「商業・サービス業・農林水産業活性化税制」の対象となる設備は他の優遇税制に比べて金額面でハードルが低いのです。

今までであれば高額なものを購入しなければ税制優遇が受けられないとあきらめていた中小法人や個人事業主にとっても活用の可能性が高い税制なのです。

投資促進税制の陰に隠れて目立たない税制ですが、上手に活用すると非常に多くの個人事業主・株式会社・合同会社にとって効果的です。

平成29年税制改正では、「商業・サービス業・農林水産業活性化税制の拡充」と併せて「適用期限を2年間延長」(平成30年度まで)されました。

商業・サービス業・農林水産業活性化税制がありがたい理由

~会社の資金繰りが楽になる税制優遇規定~

税制面で会社の経済活動を支援してくる優遇税制ですが、今回の「商業・サービス業・農林水産業活性化税制」も上手に活用することで会社の資金繰り改善に役に立ちます。

「商業・サービス業・農林水産業活性化税制」でできること

①特別償却:通常の減価償却費+取得価額×30%(最初の年に前倒しで減価償却できる)

②税額控除:取得価額×7%の所得税・法人税の減免

①特別償却:通常の減価償却費+取得価額×30%(最初の年に前倒しで減価償却できる)

通常の減価償却は法定耐用年数に応じた償却率をかけて1年分の減価償却費として経費で落とします。

これを普通償却といいます。

普通償却は「商業・サービス業・農林水産業活性化税制」と関係なくどこの会社でも可能です。

「商業・サービス業・農林水産業活性化税制」で特別にできることは、取得価額×30%の追加の減価償却費の計上です。

この特別償却は減価償却の前倒しです。

翌年以後の減価償却費のうち「取得価額×30%」を初年度に経費で落とすことができるというメリットがあります。

ただし、将来の減価償却費を前倒ししているので先々の減価償却費は少なくなります。

②税額控除:取得価額×7%の所得税・法人税の減免(上限は所得税・法人税の20%相当を限度とします)

特別税額控除「取得価額×7%」は本当の意味での節税です。

特別償却は将来の減価償却費を前倒ししているので、最終的に経費で落とせる範囲は変わりません。

あくまでも前倒しで経費を多く出しているだけです。

特別税額控除を使っている場合には、税金自体を下げています。

税額控除を使っても、普通償却はしっかりと取ることができます。

「取得価額全体を法定耐用年数で経費化する+取得価額×7%の税額控除」という税金を安くするチャンスが2回ある制度です。

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税額控除ではなく特別償却を選択する会社がある理由とは?

長期的にみると「減価償却費を満額取れる」+「取得価額×7%」の税金軽減があるので税額控除を選択した方が税金が安くなります。

しかし税額控除を取らずに特別償却を選択する会社も結構多いのです。

なぜ特別償却を選択する会社があるのでしょう?

理由は「単年度の利益が大きいため経費が多く欲しい」という理由です。

税額控除で税金安くなっても、経費が少なければ納税資金が多額に必要になります。

特別償却で減価償却を多く出すことで所得税・法人税を多く作ることができます。

例えば、200万円(耐用年数5年・償却率0.2)の対象資産があったとします。

この年の税率を30%と仮定して計算してみましょう。

①特別償却を選択した場合の節税効果

・普通減価償却費:200万円×0.2=40万円

・特別償却費:200万円×30%=60万円

・初年度減価償却費:40万円+60万円=100万円

・特別償却による節税効果:60万円×30%=18万円)

②税額控除の場合の節税効果

・200万円×7%=14万円

(法人税等の20%が上限なので70万円の法人税等が発生していなければ14万円の税額控除が取れません)

※特別償却を選択した方が初年度の税金が低くなります。

購入物件が大きい場合や、もともと出ている税金が小さい場合には特別償却を選択しなければ税の軽減が使いきれません。

※税額の20%を超えていたため、初年度で使いきれなかった税額控除枠は1年に限り繰り越しが認められています。

≪特別償却を選択することで会社の資金繰りが改善する理由≫

個人事業でも法人でも高額な設備投資を行うと一発経費で落とすことができません。

高額な固定資産などを購入すると減価償却という計算方法で、数年から数十年かけて少しずつ経費化していきます。

税務上定められた耐用年数のことを法定耐用年数といいます。

この法定耐用年数で少しずつ固定資産を経費化していくため、お金の支払いと経費のバランスが崩れてしまいます。

高額な設備投資をすると、お金が手元にないのに経費が少なくなるので税金が高くなるということが起こります。

例えば、RCの建物を建築すると50年かけて経費で落としていきます。

ところが事業用の借り入れの場合20年程度で返済しなければなりません。

これでは経費で落ちるのは返済よりも30年も長いのです。

借入金の減価償却の年数は返済期間の1.5倍ということになります。

借入金の返済が150万円/年だとすると、減価償却費として経費になるのは100万円/年です。

お金が150万円なくなるのに、経費で落ちるのは100万円ということです。

通常利益を圧縮するためには経費を使うしかありません。

150万円の利益をつぶすためには150万円の経費を使う必要があります。

150万円の利益が出ていても、減価償却で落とせるのは100万円です。

手元にお金がなければ節税ができないので、50万円の利益が残ってしまいます。

法人税率が約30%と仮定すると15万円の納税資金をどこからか用意してこなければ会社が無くなってしまうわけです。

商業・サービス業・農林水産業活性化税制の概要をみておこう!

対象となる個人と法人はどんな会社?

青色申告をしている個人・法人であることが前提条件です。

①常時使用する従業員1,000人以下の個人事業主(一般的な個人事業はOK)

②資本金1億円以下の中小企業等(税額控除を選択できるのは資本金3,000万円以下の中小企業等)

対象の資産:商業・サービス業・農林水産業活性化税制の対象は器具・備品・建物付属設備で一定の金額以上のもの

1:器具・備品:1台30万円以上

①家具、電気機器、ガス機器及び家庭用品 ②事務機器及び通信機器 ③時計、試験機器及び測定機器 ④光学機器及び写真製作機器 ⑤看板及び広告器具 ⑥理容又は美容機器 ⑦娯楽又はスポーツ器具

※容器及び金庫・生物などは経営改善に資する資産という観点で認定経営革新等支援機関と協議が必要になる可能性があります。

2:建物付属設備:1台60万円以上

①電気設備 ②給排水又は衛生設備及びガス設備 ③冷房、暖房、通風又はボイラー設備 ④エヤーカーテン又はドアー自動開閉設備 ⑤アーケード又は日よけ設備 ⑥店用簡易装備 ⑦可動間仕切り

昇降機設備・消化、排煙又は災害報知設備及び格納式避難設備については、経営改善に資する資産という観点で認定経営革新等支援機関と協議が必要になる可能性があります。

※認定経営革新等支援機関等(商工会議所・税理士事務所などで該当する事務所)による、経営改善に関する指導によって取得する新品のものに限ります。

認定経営革新等支援機関等の指導によらずに購入したものは対象にならないので注意しましょう。

まとめ

「商業・サービス業・農林水産業活性化税制」は認定経営革新等支援機関の助言による導入が必要ですので先に購入してしまわないようにしましょう。

「商業・サービス業・農林水産業活性化税制」の対象資産は金額面でのハードルが低いので積極的に活用できそうです。

「商業・サービス業・農林水産業活性化税制」の対象の個人事業・法人の範囲は広いので設備投資計画を作っておくことをお勧めします。

認定経営革新等支援機関は商工会議所だけではなく、認定を受けている税理士事務所もあるので認定経営革新等支援機関に該当している税理士さんに相談することをおすすめします。

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