はじめて消費税がかかる個人事業主のこっそり節税~税理士がいないとわからない必殺技~

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確定申告をする個人事業主も売上が順調に伸びていくと消費税を納めなければなりません。所得税の確定申告に慣れてきていても「はじめての消費税申告」は全く別物の申告書を作る必要があります。はじめて消費税がかかるようになると納税資金も増えて大変ですが節税のチャンスでもあるのです。

はじめて消費税がかかる個人事業主のこっそり節税~税理士がいないとわからない必殺技~

個人事業主やテント・事務所の賃貸をしている経営者は順調に収入が増えると消費税を納めなければならない時がやってきます。

消費税は消費税の対象の売上が1,000万円を超えると2年後から消費税を納税していくことになります。

2年後から消費税がかかるという表現ですが、実際にはじめて消費税の確定申告書を提出して納税するのは3年後の3月31日までということになります。

個人事業でも法人でも設立して最初のころは資金繰りが楽です。

頑張れば頑張っただけ売上も上がって、お金も入ってきます。

手持ちキャッシュは増える一方ですから生活も派手になりやすくなります。

ところが、消費税がかかるようになると一気にトーンダウンしてきます。

所得税確定申告が3月15日に終わって納税をして、すぐに3月31日に消費税確定申告をして消費税納税をしなければならないのです。

納税時期が短期間に集中していて税金の支払い資金がショートしてしまうこともたくさん起きているのです。

事業主にとって怖い消費税が初めてかかることになったらできる節税があることをご存知でしょうか?

今回は消費税がかかるようになった年にできる節税についてみていきましょう。

消費税が「かかる仕組み」と「いつの売上など」で納税額を計算するのか?

業種にもよりますが個人事業を開業して3年から5年目くらいには消費税を納める必要が出てくる人が多いです。

業種にもよるといったのは、消費税の仕組みに原因があります。

消費税は「消費税の対象の売上が1,000万円を超えると2年後に消費税を納める義務が出る」という仕組みだからです。

ここでのポイントは2つです。

①消費税の対象の売上が1,000万円を超える

消費税の対象ではない売上が1,000万円を超えていても関係ないということです。

では、消費税の対象にならない売上はどのようなものがあるかを見ておきましょう。

(消費税の対象にならない売上)

・国外取引(日本国内に関係のない取引)

・国内取引で一定のものは消費税の計算上除かれています(非課税など)

・土地の譲渡・土地の貸付

・預金の利子

・社会保険医療の給付

・介護保険サービスの提供

・社会福祉事業等によるサービスの提供

・助産

・居住用住宅の家賃 など

②2年後に消費税を納める義務が出る

消費税の仕組みは、消費税がかかるかどうかの判定時期と実際の消費税を計算して納税する期間がずれます。

この仕組みを勘違いしているととんでもないことになるので注意しましょう。

(よくある間違った解釈)

①2年前の売上2,160万円

②1年前の売上3,240万円

③今年の売上   972万円

今年の消費税の納税額は2年前の売上などを基に計算すると思ってしまう。(間違い)

2年前の売上=2,160万円÷1.08×0.08=160万円(今年の消費税納税額)

(正しい消費税の仕組み)

①2年前の売上2,160万円 ←2年後に消費税がかかる人かどうかの判定にしか使わない

②1年前の売上3,240万円

③今年の売上   972万円

今年の消費税の納税額は今年の売上を基に計算する

今年の売上=972万円÷1.08×0.08=72万円(今年の消費税納税額)

簡易的にするために、売上だけしかない会社として消費税の具体例を作っています。

実際には売上・経費・設備投資など細かい計算があります。

注意点:その年の売上が1,000万円以下であっても2年前が1,000万円を超えていれば消費税を納めることになる!

Check boxes yes, no and maybe on white paper

初めて消費税がかかると資金繰りが悪くなる理由とは

はじめて消費税がかかってくると資金繰りが悪くなります。

最初からしっかりと消費税の納税資金対策をしていれば資金繰りが悪くなることはないのですが、自分で一生懸命仕事をしている経営者には少ないです。

はじめて消費税がかかると資金繰りが一気に悪化する理由は次の通りです。

①消費税が「預り金」という認識がない

②いままでは運転資金・生活費に使っていた

③いきなり高額な支払いを求められる

①消費税が「預り金」という認識がない

消費税は「預り金」という性格のものと位置づけられています。

実際には税込み○○円にしないと売れないということで実質消費税込みで売上を決めていることが多いかもしれません。

しかし、消費税は預り金で売上本体とは別ということになっています。

お金に色がついていないので、売上本体と消費税相当を一緒に受取っているので預かっている感覚がなくなってしまいます。

②いままでは運転資金・生活費に使っていた

消費税を納める必要のない時期を「免税期間」といいます。

免税期間は消費税込みの売上をもらっても、消費税として国に納税する必要がありません。

消費税を納めない分は、事業の利益として所得税や法人税の対象になっていたのですが。

ただ、消費税として国に治めなくてもよかった分は事業の運転資金や生活費として使っていたわけです。

そのため今までと同じ生活や事業の運転資金として活用していると消費税分をよけていないことになります。

③いきなり高額な支払いを求められる

消費税は個人事業の場合には3月31日が納税期限です。

法人の場合の消費税の納税期限は法人税の納税期限と同じで、事業年度終了後2か月以内です。

1年分の消費税を一気に納税することになります。

2年前が1,000万円だとしても、右肩上がりに成長していると2,000万円から3,000万円の売上になっている可能性もあります。

実際の納税額は2,000万円・3,000万円の上がった売上での消費税計算です。

消費税の税率が5%から8%に上がったことで、最初の消費税納税が「数十万円~数百万円」の納税になることが多くなっています。

一番怖い消費税発生の資金繰り悪化のパターン

はじめて消費税の納税が出る場合、いきなり所得税や法人税と同じ時期に消費税も納税期限を迎えます。

具体的には法人と個人の納税スケジュールは下記のとおりです。

・個人所得税の確定申告期限:3/15

・個人消費税の確定申告期限:3/31

・法人の決算申告:事業年度終了後2か月

・消費税の申告期限:事業年度終了後2か月

所得税の確定申告を期限内に終わらせてから消費税の確定申告をすることも可能です。

提出期限は約2週間あるので、消費税については後日としても表面上問題はないのです。

ところが、消費税をいつの経費に計上するかという点で大きな問題が出てきます。

消費税が経費になるタイミングを見てみましょう・

①原則:申告納税書を提出すべき事業年度

②特例:未払経理をすることで発生した事業年度

①原則:申告納税書を提出すべき事業年度

平成28年分の消費税の確定申告期限:平成29年3月31日⇒平成29年度の経費

②特例:未払経理をすることで発生した事業年度

平成28年分の消費税が発生する年度⇒平成28年度の経費

一番最悪なのは①の原則を使った場合です。

2年前の売上が1,000万円を超えて、その後も一生懸命売上を上げています。

実際の納税時期には数十万円~数百万円の消費税納税です。

ところが①の原則を使うと、経費になるのは翌年です。

つまり、経費で消費税を落としていないので所得税・法人税は高いままです。

しかも消費税はほぼ所得税・法人税と同じタイミングで納税することになります。

経費で落ちていれば、所得税・法人税が下がるのですが、原則を使うと下がりません。

税理士がついていたらおこなう節税対策

個人事業の場合には所得税の確定申告期限(3月15日)までに消費税の計算も終わらせて消費税分を経費で落としてしまいます。

所得税の確定申告と同時に消費税の確定申告も完了することで、消費税を使った節税が可能なのです。

ところが自分で消費税についての情報を集めながら所得税の確定申告もする場合には時間がかかってしまうので所得税の確定申告優先で申告をしてしまいます。

そのため、消費税を使った節税ができないまま所得税を高い金額で申告納税することになってしまいます。

まとめ

・消費税は納税義務を判定する年度と実際の消費税額を計算する年度はズレるので注意しましょう。

・消費税は一度発生すると金額の大きな税金です。

・消費税が経費で落ちる原則の時期は消費税の確定申告書を提出した年度です

・はじめて消費税がかかる年は消費税の計算を同時に完了して経費で落としておくことができます。

消費税の計算と同時に確定申告や法人決算をするのは大変難しいので税理士さんに相談していきましょう。

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