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消費税は一度かかるようになると大体毎年発生してくる税金です。会社の経費の中でも大きな支払いになる消費税は一度つまずくとなかなか正常化できないものなのです。消費税の滞納スパイラルにならない注意点を見ていきましょう。

消費税は滞納してしまいやすい税金!~滞納から解放される資金繰り~

消費税は一度発生すると、毎年消費税がかかるようになってきます。

これは事業が順調に成長すると、ほぼ必ずかかる税金だからです。

消費税の対象になる売上が1,000万円を超えると2年後に消費税がかかる仕組みだからです。

右肩上がりの成長を続ける会社の場合3年目から消費税がかかるようになります。

今までは消費税込みの売上金をもとに会社を運営していたわけです。

それが急に消費税という税金が発生してくるのですから、運転資金として使ってしまっているのでまとまったお金の用意が難しいのです。

納税資金が不足して消費税が延滞に陥ると、税務署から督促の電話が来たり、督促状が来たりで仕事どころではなくなります。

しかも、延滞税という銀行融資よりも高額な税金がかかるので資金繰りは余計に苦しくなってきます。

消費税滞納は社会保険料の延滞も引き起こしていくことにつながってくるので、消費税の仕組みと対策を知っておきましょう。

消費税の仕組み自体を理解しておかなければ滞納は起こりやすくなる

消費税の仕組みを知らなければどれくらいのお金を用意しておかなければよいかイメージが付きません。

つまり、「ある日突然数十万円~数百万円の消費税」を支払うことになるのです。

消費税の計算方法は大きく分けて2種類

消費税は大きく分けると「本則課税(原則課税)」と「簡易課税」の2種類の計算方法があります。

「簡易課税」というのは一般的に2つの要件を満たしていると適用することができます。

①本則課税(原則課税)は精算型

本則課税とは、消費税を「(預かったもの」-「前払したもの」=納税額)で納付税額を計算するものです。

本来の消費税が預り金的性格といわれる通りの計算形態です。

売ったものや買ったのの・支払った代金の中にいくら消費税が含まれているかを全部理解していないと間違いが起きてしまうので知識が必要になります。

例えば、家賃一つをとっても次のようになります。

・事務所やお店の家賃を支払った⇒消費税かかる

・住宅の家賃を支払った⇒家賃に消費税がかからない

・ウイークリーマンションを借りた⇒消費税かかる

本則課税(原則課税)では、これ以外にもあらゆる取引に対して消費税がかかるのか、消費税がかからないのかを自分で判断しながら日ごろの経費をしていくことになります。

会計ソフトを使うことによって、入力が終わっている帳簿をみると「今時点でいくらの消費税の納税になるのか」が大体わかるという特徴があります。

②簡易課税は売上の種類だけで消費税が決まる

消費税の本則課税は消費税の経理が複雑になってしまうので、小規模事業者に特例計算を認めています。

これが「簡易課税制度」というものです。

消費税の対象を全部おえるのは負担が多いので、売上の種類を6種類に分けて、売上が決まると消費税が計算できるという特例です。

消費税が預り金という性質とは関係のない計算ですが、あくまで事務負担の軽減という観点から政策的に認められているものです。

詳しくは「いまさら聞けない消費税の簡易課税制度とはどんな仕組み?」をごらんください。

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「本則課税(原則課税)」と「簡易課税」はどのように決まるの?

簡易課税制度を選ぶときには事前申請が必要。

簡易課税を選んでいる人が本則課税に戻るためにも事前届け出が必要なので注意しましょう。

(簡易課税制度を受ける方法)

①2年前(2期前)の消費税対象売上が5,000万円以下

②簡易課税の適用を受けようとする事業年度の全事業年度いっぱいに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出していること

(本則課税制度を受ける方法)

①2年前(2期前)の消費税対象売上が5,000万円を超える(簡易課税制度は生きているので、売上さがると簡易課税になるので注意)

②簡易課税制度選択届出書を提出していない場合(何も届出をしたことがない場合)

③簡易課税制度選択不適用届出書を提出して簡易課税制度を取りやめていること

消費税を滞納しないためにすべきことは?

消費税を滞納しないために、「売上のうち8%を貯金しておけばいいですか?」という話が出ることがあります。

ある意味で正しいです。

売上のうち消費税相当をしっかりと預金に預けていれば消費税の納税資金に困ることはありません。

ただ、これは多すぎるのです。

先ほどの消費税の計算方法は「本則課税」と「簡易課税」の2種類でしたね。

売上全体の消費税を全部納めるという計算ではないのです。

売上の消費税を全部預けていると、消費税の納税予測額を大きく超えて預金していることになります。

つまりその分だけ利益が必ず出るということになります。

消費税は税込み経理・税抜き経理など経理の方法で見え方は異なりますが、消費税の納税額分だけ利益が小さくなるのは「税込み経理」「税抜き経理」両方とも同じです。

消費税の実際の納税額を超えた分は利益が残っていることになります。

納税時期には困らないのですが、もっと売り上げを上げたり、翌期への投資できるお金を預金口座で寝かせていることになります。

一体いくらよけておけば消費税は滞納しなくて済むのか?

消費税の計算が2種類に分かれているので「本則課税」と「簡易課税」でよけておくべき金額が変わります。

実際には納税用の銀行口座を作っておいて納税資金をプールしておく方が安全です。

①本則課税の場合に毎月よけておく金額

本則課税はすべての取引の消費税情報を計算しなければ消費税の予測額が出てきません。

手順1:毎月の帳簿を入力してから会計ソフトの表示を「税抜き」表示にします。

手順2:「仮受消費税」-「仮払消費税」=納税予測額になります。

※中間納税などがある場合には、その会社ごとの中間納税の経理が影響するので税理士さんに相談しましょう。

②簡易課税の場合に毎月よけておく金額

簡易課税は売上から消費税が計算できます。

自社がおこなっている商売の種類で大体わかりますが、飲食店の場合にはテイクアウトとイートイン・物販などが混在しているときは帳簿から計算した方が安全です。

(業種ごとの消費税納税予測額の目安)

第1種:卸売業⇒売上の消費税×10%

第2種:小売業⇒売上の消費税×20%

第3種:製造業⇒売上の消費税×30%

第4種:飲食店など⇒売上の消費税×40%

第5種:サービス業⇒売上の消費税×50%

第6種:不動産業⇒売上の消費税×60%

簡易課税制度の場合には、売上に含まれている消費税のうち10%~60%が納税額になります。

自分の会社がどの業種をいくらおこなっているかをしっかりと把握しないと納税予測額がずれてしまうので注意しましょう。

例えば、卸売業が全体の60%・飲食店が40%の構成比の会社の場合には、全体として卸売業や飲食店の業種としてみません。

しっかりと、卸売業の部分は卸売業の簡易課税で計算した納税額・飲食店部分は飲食業の簡易課税で計算した納税額を合算した金額が納税予測額になります。

まとめ

消費税は滞納が多い税金です。

しかも、税務署からすると消費税はお客様から預かっている他人のお金なので厳正に取り立てをする税金です。

ここを滞納してしまうと会社の資金繰りが一気に悪化するので注意しましょう。

できるだけ毎月消費税を計算して消費税預金の預金口座に移しておきましょう。

毎月いくら良ければよいかは毎月経理をした後に税理士さんに相談して目安を出してもらいましょう。

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