外交員報酬とお給料の境目とは【消費税も所得税も異なる大事な区分】

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外交員とセールスマネージャーなどの営業担当とで、所得税法上も消費税法上も取り扱いが異なることをご存知でしょうか?生命保険の募集人や不動産の営業の中にはこの区分が難しいものがあります。区分を理解して節税対策をしておきましょう。

外交員報酬とお給料の境目とは【消費税も所得税も異なる大事な区分】

外交員というと保険外交員という言葉が一番有名かもしれません。

生命保険の販売をしている方の中には、保険外交員という形態の人とその生命保険会社の従業員として営業している人がいることをご存知でしょうか?

見た目では違いが分かりにくいかもしれませんが、実は保険外交員になる人と保険会社の従業員とでは営業の人の税金形態が大きく異なっているのです。

自社で営業を雇用するのか外交員として契約を締結するのかを判断する場合にも違いを理解しておいた方がトラブルが少なくなります。

一般的には同じようなものと考えていても、消費税や源泉税の処理など税務調査で指摘されやすい項目絵の影響が大きいので注意したいところです。

外交員の契約形態と税務問題【雇用契約と委任契約がある】

営業を頑張ってもらってお金を払うということは生命保険業界だけではなく、建設業や不動産業販売業・不動産仲介業など様々な業種にあります。

営業などの外回り業務を会社に代わって行う人々を外交員といいます。

営業マンも会社の外交員ということです。

この外交員は契約形態が「雇用契約」と「委任契約」の2つのパターンがあります。

雇用契約の場合には、雇用主側は給与として処理すべきです。

委任契約の場合には、発注者側は外注費として処理していきます。

ここで大きな税務上の違いが出てきます。

雇用契約の場合、会社側には源泉徴収義務という税務上の手続きが必要になります。

雇用の場合には消費税の仕入れ税額控除を使うことができません。

委任契約の場合、会社側は外注費処理をするため消費税の課税仕入れが受けられます。

さらに、会社側で年末調整や源泉徴収も必要ありません。

契約書事態は雇用契約書や委任契約書というものであっても、実態がこれと異なることがあります。

そこで所得税法では、判断基準として次の基準を設けています。

1:外交員報酬が職務遂行のための必要な旅費とそれ以外とに明らかに区分されている場合

①給与所得者等の旅費で非課税とされる部分:非課税

②上記外の部分:給与課税

2:1以外の場合で、報酬・料金等が固定給とそれ以外の部分と明らかに区分されている場合

①固定給部分:給与課税

②①以外の部分:報酬・料金(会社側は外注費処理)

固定給部分からは、次のものが除かれています。

(固定給でも給与課税にならないもの)

・一定期間の募集成績等によって自動的にその額が決まるもの

・一定期間の募集成績等によって自動的に格付けされる資格に応じてその額が決まるもの

3:1及び2以外の場合

旅費等の費用の額の多寡その他の事情を総合勘案して、総額を給与または報酬・料金とする

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外交員報酬の基本的な考え方【給与と外注は違う】

原則的には雇用形態なのか委任契約なのかを中心に考えていきます。

特に注意が必要なケースは、契約書が委任契約になっているにもかかわらず実質的には雇用契約と同じような状況になっている場合です。

契約上が委任契約で実質が雇用形態に類似するものについては、所得税法の基本通達201-22で上記のように判断をしていくことが多くなります。

外交員報酬も給与課税すべきものか外注として処理すべきかをしっかりと判断すべき

税務では実質課税ということがおこなわれます。

契約書など形式的なものではなく、実質的にどう判断すべきかという事実認定です。

外交員は対外的に営業活動をおこなうという仕事です。

これは給与であっても外注であっても同じことを目的としています。

同じことを成果としている仕事でありながらも、支払った金銭が給与となったり外注となったりするわけです。

営業活動を頼んでいる会社として、外注と給与では様々な税務的な問題が異なってきます。

会社と外交員との支配関係は雇用関係の方が強く、外注(報酬・料金)の場合は弱くなります。

①時間的・空間的な拘束を伴う場合:給与

②役務提供が代わりの人ではダメな場合:給与

③役務提供に必要な材料・用具等を支給してもらう場合:給与

④未完成・不可抗力などで滅失した場合の責任をとらない場合:給与

まとめ【外交員報酬が給与か報酬かは難しい部分もある】

外交員という形態であれば、給与ではなく外注として処理できると考えてしまっている会社もあります。

外交員に対して報酬を支払う会社側は、外注費として処理することで消費税の節税ができると考えてしまうケースもあります。

しかし、なんでもかんでも外注費として処理することができると思っていると税務調査で大きなトラブルを作ってしまうので注意しましょう。

給与と外注の区分についても、しっかりと理解しておくことが重要です。

営業に力を入れていく会社は事前に税理士さんと相談しておきましょう。

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