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役員報酬は次の株主総会まで変えられないというのが一般的な認識です。役員報酬を決めるのは株主総会で次の株主総会まで変更できないものでしょうか?1年間の売上や利益の予測なんて難しいご時世ですが対策はあるのでしょうか?
役員報酬が高すぎたというときの決算対策【株主総会まで固定なの?】
役員報酬を高く設定しすぎて赤字決算になってしまうことがあります。
政策金融公庫や銀行から融資を受けようと思っている場合、赤字決算は避けたいところです。
赤字決算になってしまうことで銀行融資のハードルは大きく上がってしまいます。
その後に黒字決算を出すということは1事業年度待たなければ銀行融資のタイミングが来ないのです。
そもそも役員と会社の契約は一般の従業員さんとは異なることをご存知でしょうか?
通常その会社で採用されると、雇用契約書というものを結んで雇用保険をかけてもらうということになります。
従業員として会社の業務に従事する場合には「雇用契約」という契約によって規定されているということになります。
労働条件として終業時間や休憩時間・時間外労働など様々な条件が明示されて、これに従って働くことになります。
役員の場合にはどうでしょうか?
役員は労働者と同じように雇用契約ではありません。
役員は株主総会などで決められます。
役員と会社は委任契約という契約で会社との関係が出来上がるということになります。
雇用契約であれば労働条件でお給料がきまりますから、残業をすれば残業代が規定通り払われます。
しかし、役員の場合には委任契約に基づくことから労働時間の管理が行われません。
株主総会などで次の株主総会までのお給料が決まるという形態になるのです。
実際にはもっと細かい規定ああるのですが、原則として税法上もその事業年度開始の日から3月以内に役員報酬を決めることが要件となっています。
株主総会から次の株主総会までの業況予測をしながら役員報酬を決めていくということになります。
1年後までの売上や利益状況が見えない中で、役員報酬を決めなければならないという難しさがあるのです。
役員報酬が高すぎると起こる問題点【決算対策が必要になる理由】
役員報酬が高すぎると税務上の問題点と経営上の問題点の両方があり得ます。
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1:役員報酬が高すぎると起こる問題【税務編】
役員報酬は株主総会等で承認されていれば問題ありません。
ところが税務上は手続き上合法であっても経費で落ちないことがあるのです。
租税回避をする目的でなかったとしても、法人税法上「過大」と認定された部分は経費で落ちないのです。
法人税法上経費で落ちないお給料はどうなってしまうかというと、もらった役員側ではしっかりと所得税・住民税・社会保険の対象になります。
でも、払った法人では経費で落ちないという事態になってしまいます。
税務上、不相当に高額かどうかは「同業他社と比べて不相当に高額」という基準で考えられます。
実務上役員報酬が過大かどうかは非常に難しい問題です。
その理由は同業他社と比べて高額かどうかがわからないからです。
同じ業種の他の会社とはどこの会社がどれくらい儲かっていて、役員報酬はいくらくらいかなんてことはほぼわかりません。
判例上はわかるとなっていますが、日常業務の中で統計的な数値を調べて大丈夫かどうかなんてことをしている会社は少ないと思います。
そうはいっても税務上は過大役員給与と認定されると個人も法人も大きなデメリットを受けるということになるので注意しましょう。
この過大役員給与に関する問題として「泡盛事件」の記事をご覧ください。
2:役員報酬が高すぎると起こる問題【経営編】
役員報酬は経費科目です。
役員報酬が高すぎる場合、法人の利益は少なくなります。
場合によっては役員報酬が高すぎる結果、会社が赤字になることもあり得ます。
赤字であればどこからかお金を調達してきて役員報酬を支払うことになってしまいます。
会社の資金繰りを圧迫する要因にもなりかねないのです。
①役員報酬はお給料だけではない【社会保険料もアップしている】
役員報酬が高額であれば社会保険料も高くなっています。
役員報酬を高くすることでお給料以上に会社に負担が出ているのです。
②銀行融資が受けられなくなる【赤字決算はハードルが上がる】
役員報酬が高くなることで会社の利益が下がります。
結果として赤字決算に転落してしまうと銀行融資を受ける際に、ハードルが高くなってしまいます。
2期連続で赤字を出してしまうとその時点で銀行融資はより厳しくなります。
役員報酬を高くとった結果赤字決算になるだけで、資金的に厳しい会社は資金調達でも厳しくなってしまいます。
役員報酬が高すぎる場合の解決策【臨時株主総会などで減額】
役員報酬を決めるのは株主総会や社員総会です。
次の株主総会まで順風満帆とは限らないので、場合によっては決算対策が必要になります。
予想していたよりも売上が伸びなかった場合やリーマンショックの時のように急降下ということもあり得ます。
中小企業の場合、赤字決算にするだけで銀行融資が受けられないなどのリスクも増えてきます。
毎月税理士さんに帳簿を見てもらいながら、利益が取れない場合やこのままの役員報酬では決算内容が悪くなって資金調達に影響が出るときには対策をしてもらいましょう。
具体的には臨時株主総会や臨時社員総会で役員報酬の減額承認を取ります。
役員報酬を減額することによって資金繰りや資金調達に影響が出ないように対策をすることが重要です。
この場合に注意すべきことは、役員報酬の減額は期中1度だけにしてください。
2回も3回も減額をすると法人税法上経費で落ちない部分が出てしまいます。
その点も含めて税理士さんと相談しながら手続きを取りましょう。
まとめ
株主総会などで役員報酬を次の株主総会等までの期間決めます。
役員報酬が高額すぎる場合、税務上の問題だけではなく資金繰り上も悪い影響が出ます。
業況が思わしくない場合などは税理士さんに相談しながら役員報酬の減額を検討しましょう。
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