スポンサーリンク
廃業しなければならなくなったときに一番困ったことが起きます。顧問税理士を頼んでいた人も途中で解約していて自分で確定申告や廃業の手続きをしなければならないことも多いのです。廃業時に「確定申告の必要があるのか?」・廃業時の手続きはどういうものがあるのかを見ていきましょう。
廃業した場合には確定申告の必要があるの?~廃業に関する手続き~
廃業をしたくてする個人事業主はなかなかいないはずです。
廃業と一言でいっても3つのパターンがあります。
①個人事業を法人化するための個人事業廃業
②業績不振による個人事業廃業
③事業主の死亡による個人事業廃業
個人事業を廃業する場合にはこのように事情が全く異なる状況で廃業を迎えていきます。
①の個人事業を法人化する場合には、顧問税理士を依頼するケースが多いので税理士さんにすべて任せていれば安心です。
ところが②と③の場合には、顧問税理士さんがいないケースが出てきます。
開業と廃業は一生に1度くらいの経験ですので、慣れないことだらけの確定申告と税務手続きが必要になります。
廃業したときにしっかりと手続きを取っていない場合、後日思いがけないトラブルに巻き込まれますのでポイントをしっかりと押さえておきましょう。
廃業時には「確定申告が必要な場合」と「確定申告の必要がない場合」がある
確定申告が必要な場合と確定申告が必要ない場合は、事業を廃業した場合だけには限りません。
確定申告が必要な人は厳密に決まっています。
確定申告をしなければならない人は次の人です。
(注:今回は退職所得がある場合と公的年金等の収入がある人については割愛しております。)
1:次の給与収入がある人は確定申告義務があります
①給与の年間収入が2,000万円を超える人
②次の両方の要件を満たしている場合
a:給与を1か所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となること
b:給与所得と退職所得を除く所得金額の合計額が20万円を超える
③次の両方の要件を満たしている場合
a:給与を2か所以上から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象であること
b:年末調整されなかった給与と給与所得・退職所得以外の所得金額の合計額が20万円を超える
④同族会社の役員やその親族などで、その同族会社から給与のほかに利息や賃料収入がある人
⑤災害減免法の規定により所得税等の徴収猶予や還付を受けた人
⑥在日外国公館に勤務する人や家事使用人の人で、給与を支払いを受ける際に所得税などを源泉徴収されないこととなっている人
スポンサーリンク
2:個人事業や不動産収入がある人で確定申告をしなければならない人
次の計算式で残額がある場合には、確定申告義務があります。
①課税所得金額=各種所得金額の合計額(譲渡所得・山林所得を含む)-所得控除
②課税所得金額×所得税率-配当控除額>0円
難しい算式ですが、簡単にいうと税金を計算してみて税額が出るのであれば確定申告をしなければならないということです。
廃業の場合に限って確定申告義務の規定を置いていないことから、上記の2番で確定申告義務の有無を判断することになります。
つまり事業が赤字で計算しても税金が出ない場合には、確定申告義務がないことになります。
注意点としては、確定申告をしなければ受けられない規定などを使わないで計算しても税金が出ないことが前提になるので注意しましょう。
(確定申告をしないと適用できないもの)
・青色申告特別控除の65万円
・医療費控除 など
3:廃業時確定申告の注意点~廃業した後の経費の取り扱い~
廃業した日以後にも事務所の整理や最後の光熱費などかかってくるものもあります。
廃業日後に生じた費用については、所得税法63条の規定で事業を廃止していなかったならば必要経費に算入されるべき費用は、事業を廃止した年の必要経費に算入することができます。
4:廃業した場合の個人事業税はどうしたらよいの?
個人事業に対して課税される事業税は、事業を廃止した場合には廃業日から1か月以内に個人事業税申告書を提出・納税をする必要があります。
廃業時の事業税の確定申告を忘れたまま確定申告をすることになった場合などは、次の算式で計算した見込み事業税を所得税の計算上必要経費に算入することができます。
概算事業税の必要経費算入額:(A±B)R÷(1+R)
ぱっとみると、「はぁ?」となってしまいますね。
どんなことを行っているかというと、事業税の見込み額を算入する前の状態で事業税の概算を計算する仕組みになっています。
そのためBの部分が非常にわかりにくい説明になっています。
・A:事後湯税の課税見込み額を購入する前の事業所得の金額
・B:事業税の課税標準に合わせて修正するための金額(事業主控除290万円/年と青色申告特別控除額10万円または65万円の調整など)
・R:事業税の税率
廃業年分の事業税を入れ忘れた場合はどうしたらいいの?
廃業年の事業税を経費に入れ忘れた場合には、廃業年分の所得税について更正の請求という手続きをとることになります。
確定申告とは別の手続きですが、廃業年の確定申告書と事業税の納付書を手元に用意して手続きをしましょう。
廃業したら税務署に提出する書類は何があるの?
①個人事業の開業・廃業等届出書
:廃業日から1か月以内に税務署に提出する
※給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書は、この「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出するので省略できます。
②青色申告の取りやめ届出書
:青色申告を取りやめようとする年の翌年3月15日までに税務署に提出する
③事業廃止届出書
:消費税を納めていた人は廃業後速やかに税務署に提出する
まとめ
事業を廃止する場合にも意外と手続き関係があります。
しっかりと手続きを取らないと、廃業した年の翌年も税務署などから問い合わせなどが出てしまいます。
廃業時の確定申告や手続きで不安がある場合には税理士さんに相談していきましょう。
個人事業を法人成りした場合には「個人事業を法人成りしたときの事務の注意点」をご覧ください。
スポンサーリンク