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個人事業を法人化したときには経理や事務に混乱が生じることが多くなります。個人事業が法人になった時に事務がきちんと進まなければ会社の資金繰りにも影響するので注意しましょう。

個人事業を法人成りしたときの事務の注意点

個人事業を法人化することを「法人成り(法人なり)」といいます。

法人成りの場合には個人事業を法人化しているので取引先がすでにあるといえます。

社長が個人事業の時と法人になってから同じといえど、法人設立をすることで別人格になります。

「似たようなものだし、まっいいか!」ということにはなりません。

ここを曖昧にしたまま事業を続けていると税務調査の際にも大きなトラブルになるので注意しましょう。

個人事業を法人成りすることで変わることは何か?

個人事業を法人にすることで変わるところから見ておきましょう。

①個人事業と法人は別人格になる(納税主体が変わる)

②個人事業で消費税を納めていた人も法人は原則2期消費税の免税事業者になる(2年間消費税無し)

③社長の所得区分が「事業所得」から「給与所得」になる(役員報酬になるため)

④社長・配偶者・親族に対しても退職金を経費で払えるようになる(適正な範囲)

⑤生命保険は種類によって会社の経費になる

⑥個人の確定申告時期と法人決算申告時期は変わる(事業年度による)

⑦青色申告特別控除がなくなる

⑧社長も社会保険に加入できるようになる

⑩税務調査にあたる確率が増える

細かい点はほかにもたくさんありますが代表的な部分だけでもこれだけあります。

法人を設立するといきなり環境が変わってくるので、事前に知識を入れておかなければ大きなリスクを背負ってしまいます。

今回は法人設立時に特に注意が必要な部分に絞って説明していきたいと思います。

個人事業を法人化したときには請求・入金関係に注意!

個人事業を法人化していると得意先は共通ということがあります。

売上先も仕入先も以前のままということです。

しかし法人は個人事業主とは別の契約主体なのです。

原則として法人設立をした場合には改めて取引先と契約を結ぶ必要があります。

日々の仕入れに関しては契約書など作っていない場合も多いと思いますが、この場合でも請求書の宛名を個人事業の屋号から法人宛に変更してもらいましょう。

それにともなっておこってくる問題があります。

入金先が混同する事態です。

取引先に法人になったので「法人になってから販売したものは法人口座」に振り込みをお願いしてください。

たとえば、12/31まで個人事業の場合を例に見てみましょう。

a:(個人事業の取引)12/31締め売上請求100万円→1/31入金

b:(法人の取引)1/31締め売上請求80万円→2/28入金

a:(個人事業の取引)12/31締め売上請求100万円

売上自体は個人事業の時の売上なので個人事業の通帳に入金依頼してください

b:(法人の取引)1/31締め売上請求80万円

法人になってからの取引なので1月請求書の振り込み依頼口座から法人口座を指定してください

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Q1:もし個人取引のものが法人口座に入金された場合はどうしたらいいのか?

個人取引の分を法人口座に入金された場合には、次のように経理してください。

(普通預金)×××円/(役員借入金)×××円

法人の預金口座残高が増えているので預金の増加処理をします。

ただし、入金の原因が法人の取引とは関係ないもので社長の個人事業のお金が入ったので社長からの借入金として処理します。

借入金ですから法人口座から社長に返金してあげましょう。

運転資金がきつい場合には法人の資金繰りが改善してからの返金でも構いません。

Q2:もし法人取引のものが個人口座に入金された場合はどうしたらいいのか?

こちらはさきほどと逆のパターンです。

法人の請求書を出しているのに、取引先が昔のままの個人事業口座に入金してきた場合です。

これは問題が大きくなります。

待てど暮らせど法人口座に入金がないので、先方に電話すると「振り込みましたよ」となります。

よくよく聞くと「いつも通りの口座にしっかりと期日までに入金しました」と。

会社の財産が社長個人口座に入ってしまったということになってしまいます。

この場合にはすぐに社長の口座から法人の口座に振り込まれた金額を返金しましょう。

さもなければ社長が会社からお金を借りたという処理が必要になってしまいます。

社長が会社からお金を借りると会社に対して利息を払わなければならないので注意しましょう。

個人事業を法人化したときには支払い関係の変更も計画的に!

個人事業でも支払いは当然あったはずです。

この支払いも法人に変更する必要があります。

社長の自宅=事務所というばあであれば契約自体を無理に変更しなくても問題ありません。

店舗や貸事務所を借りている場合には、自宅とは関係ないので法人契約に変更します。

電気・ガス・水道・電話・インターネットなど毎月引落になっているものは契約と引き落とし口座を法人に変更しましょう。

引き落とし口座の変更には時間がかかるので法人設立と同時に依頼をしておくことをお勧めします。

役員報酬は事前にシュミレーションしておくこと

法人設立をするとすぐに役員報酬を決めなければなりません。

法人設立後社会保険を設置する際には役員報酬を定めた議事録を提出します。

その時に出した役員報酬とその後に支払った役員報酬がずれていると税務上トラブルになってしまいます。

役員報酬は一度決めたら原則として次の株主総会まで変更することができません。

業況が悪化した場合など一定の場合には減額はできますが、好況だからといって役員報酬をあげても法人税法上経費で落ちません。

個人事業を法人化する場合には個人事業時代の利益をもとに役員報酬をシュミレーションしておかなければスムーズに役員報酬が決められなくなります。

この部分は税理士さんに事前に相談しておいた方が安心です。

まとめ

個人事業を法人化する際は次の点に注意しておきましょう。

①引落や支払い関係をリスト化しておく

②法人口座を開設したらすぐに請求書に法人口座を登録しておく

③法人口座を開設したら引き落とし口座変更をすぐ行う

④請求書と同封する案内文に口座が変更になった旨を記載しておく

⑤役員報酬は事前に税理士さんに相談しておく

 

法人設立前の準備をしておかなければ数か月間会社の動きが取りにくくなるので注意しましょう。

法人決算と個人確定申告については「法人決算と個人確定申告の違いとは?」をご覧ください。

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