定款の変更が必要なケースと定款変更が不要なケースの違いは?

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株式会社や合同会社を設立する際には、「定款」というものを作成する必要があります。会社を運営していくうえで最初に作った定款を変更する必要が出ることは多いのです。この定款の内容を変更すると必ず定款変更が必要なのでしょうか?

定款の変更が必要なケースと定款変更が不要なケースの違いは?

「定款とは会社の憲法である」

定款についての説明としてよく使われる説明です。

この説明が定款について使われる理由は、定款は会社に関して最低限度決めなければならないことやその会社の特徴的な運営ルールなどを定めたものだからです。

定款のルールは会社法など、会社が守らなければならい法律で規定しているもので、日本全国共通のルールで作っているものです。

会社を設立する際に作った定款も、会社が成長していく中で当初の内容と合わなくなってくることがあります。

最初は小さなアパートの一室で始めた事業が順調に大きくなって、本店を街中のオフィスビルに移動するなんてこともあります。

追加出資が行われて資本金が増えることもあります。

役員が増えて、会社がにぎやかになることもあります。

このように会社の成長や発展に合わせて定款を変更することがあります。

会社の成長に合わせて定款を変更した際に、定款変更が必要なことがあります。

「定款変更の必要なもの」と「定款変更が不要なもの」を間違うとペナルティーもあるのでしっかりとおさえましょう!

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なぜ定款が必要なのか?

そもそもの話ですが、なぜ定款なんて必要なのでしょう?

周りの中小企業をみると「社長=株主」という会社がほとんどかもしれません。

俗にいう「雇われ社長」という方がめずらしいですね。

法人という形態を見ていくとなぜ定款が必要なのかが見えてきます。

「法人は出資者のもの」

これが原因です。

株式会社を例にとってみてみましょう。

・株主=出資者

・会社を経営する人=取締役

中小企業では、たまたま出資者と経営者が一致しているだけです。

上場企業を見ると、出資者はあちこちの株主です。

場合によっては、別な会社が株主になっていることも珍しくありません。

経営者は会社の日々の経営をしていく「人」です。

経営能力を見込まれた人が株主のお金を効率的に運用して、株主に利益を還元するということです。

経済的な利益の還元は次のように行われます。

・株主=「会社に財産などが増えて株の価値が上がる」・「配当金をもらう」

・取締役=役員報酬など

このように株主は会社を運営していく人に会社を託しています。

定款は会社のルールです。

定款がなければ経営者が好き勝手な経営をしていても、会社の本来のルールもなにもないので出資者が置き去りになってしまいます。

定款がいかに会社運営に大切なものになるかお分かりいただけると思います。

株主にとって非常に大切な定款ですから、取締役が定款を変更して会社の存続意義を変えることはできません。

会社は株主のものですから、定款変更というのは株主が決議をすることによって可能になります。

小さな疑問を調べる人

定款にはどのようなことが書いてあるのか?~絶対的記載事項・相対的記載事項・任意的記載事項とは~

・定款の絶対的記載事項

定款は会社の憲法です。

日本の様々な会社が作るルールです。

会社が好き勝手に決めてしまっては、統一的な最低限のルールが無くなってしまいます。

そこで、定款に必ず決めなければならないことを定めています。

これを「絶対的記載事項」といいます。

 (定款の絶対的記載事項の例)

①目的

②商号

③本店の所在地

④設立に際して出資される財産の価額またはその最低額

⑤発起人の氏名または名称及び住所

⑥(発行可能株式総数)※

※絶対的記載事項には含まれないが、原子定款に記載をしなかった場合、会社設立までの間に、発起人全員同意で定款に追記する必要あり。

・定款の相対的記載事項

定款の相対的記載事項とは、定款に記載しなくても定款自体は有効になります。

しかし、相対的記載事項は定款に定めがなければその事項の効力が認められないものをいいます。

それぞれの会社ごとに、特殊な株式を導入したり、取締役会など会社運営の機関設計などは様々です。

こうしたものが、相対的記載事項とされています。

(相対的記載事項の例)

①現物出資

②株式の譲渡制限に関する定め

③取得請求権株式に関する定め

④取得条項付株式に関する定め

⑤株券発行の定め

⑥取締役会等の設置に関する定め

⑦取締役等の任期伸長 など

・定款の任意的記載事項

会社は定款によって運営されていきます。

公序良俗に反しない限りは、定款に様々な事項を定めることができます。

代表的な任意的記載事項は次のものです。

(定款の任意的記載事項の例)

・事業年度(決算月)

・役員の人数

・役員報酬の決め方

・公告の方法 など

手紙を読むビジネスマン

会社運営でよくある定款変更が必要な場合

法人を作って事業を始めて数年たつと、定款変更が必要になる会社がでてきます。

しかし、定款変更が必要にもかかわらず定款変更を怠っているケースもあるので注意しましょう。

定款変更を忘れていた事例1~商売繁盛で本店移転していた~

会社を始めてから3年も経つと業績が良い会社は本店を引っ越すケースがあります。

本店が移動する場合、定款の定め方にもよりますが定款変更が必要になるケースがあります。

移転前本店所在地:東京都新宿区北新宿

移転後本店所在地:東京都新宿区新宿

定款に本店所在地を「東京都新宿区北新宿に置く」と定めている場合には、定款変更が必要になります。

定款に本店所在地を「東京都新宿区に置く」と定めている場合には、定款変更は不要になります。

この場合でも、本店の住所が移転しているので定款変更は不要でも、本店移転登記が必要になります。

定款変更を忘れていた事例2~新しい事業を始めていた~

法人を作ってから新しい業務を始めることがあります。

会社設立時点では「飲食店業」と目的にありましたが、飲食店のノウハウがついてきたため飲食店専門のホームページ作成業を行う場合などです。

ホームページ作成は自社で行うノウハウがあれば、同業他社のホームページを請け負うことも考えられます。

このように新たな事業を同じ法人で始める場合には、定款の変更が必要になります。

会社がおこなう事業は定款の目的変更に該当するために、登記変更も必要になります。

定款変更を忘れていた事例3~事業年度を変更していた~

事業年度は定款の「任意的記載事項」です。

会社の定款に事業年度を定めている会社は、事業年度を変更すると定款変更が必要になります。

定款に事業年度を定めていない場合には、事業年度変更をしても定款変更は不要です。

一般的には、事業年度を定款に定めていることが多いので自社の定款を確認しておきましょう。

事業年度変更は定款の任意的記載事項で登記される事項ではありません。

事業年度を変更しても、登記変更をする必要はありません。

しかし、税務署などには事業年度の変更をすると届出が必要になるので注意しましょう。

 

まとめ

定款は会社を設立する時だけでなく変更する場合にも注意が必要です。

定款は会社にとって非常に重要なルールを定めているものですので、定款変更をする際にも株主総会を開く必要があります。

株主総会の準備に時間がかかることや、登記事項を変更すると登録免許税も必要になってきます。

定款変更にはお金と時間がかかってしまうので最初の定款作成の段階でプロのアドバイスを聞いておいたほうがお得です!

会社の設立も定款変更も法務局や税務署への提出が必要になるものがあるので、一度税理士さんに相談してみてはいかがでしょうか?

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