決算期を変更することで節税ができる?!~正しく使う事業年度変更~
- 2016/9/28
- 法人税
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「急激に予想よりも利益がでてしいそうだ」こんな時に使える節税が決算期変更です。この決算期変更は「事業年度変更」という手続きを活用したものです。使い方を間違うと税務上トラブルになるのでしっかりと理解しておきましょう!
決算期を変更することで節税ができる?!~正しく使う事業年度変更~
「予想よりも利益が出る」これに頭を悩ませている経営者がたくさんいます。
赤字の会社よりも黒字のほうが良いのですが、突然の利益の場合頭を抱えてしまいます。
なぜなら、「突然の利益」だからです。
来期以後はその利益は出てこないからです。
それなのに、多額の納税をしてしまうと資金繰りが厳しくなってしまいます。
売上を抜いたり・架空経費を計上したりすることは脱税です。
脱税は絶対にしてはいけません。
しかし、突然の利益がでそうだとなると脱税をしようとする人がいることも事実です。
会社の利益を合法的に正しくコントロールすることは節税で問題がありません。
今回は、正しい節税の中の「決算期変更」というものを見ていきましょう。
具体的に事業年度変更の効果は?
決算期変更することによって、どれくらいの節税効果があるのか気になるところです。
決算期変更の副産物として出てくる、税金への影響をみていきましょう。
①変更後の月の利益が翌期の利益になる
前月累計 | 10月 | 11月 | 12月 | 決算期利益 | |
12月決算 | 500万円 | 100万円 | 100万円 | 500万円 | 1,200万円 |
11月決算に変更 | 500万円 | 100万円 | 100万円 | 700万円 |
12月決算法人のままの場合、12月に大きな利益が発生することで最終利益は1,200万円になります。
これを11月決算に変更することで、その事業年度の決算利益は700万円になります。
売上の除外も、架空経費の計上のような脱税をすることなく、しっかりと利益をコントロールできています。
11月決算法人になったことで、翌期の最初の月(12月)に500万円の利益が計上されることになります。
利益を圧縮したのではなく、決算期変更を使って利益の発生する年度をずらしただけです。
12月決算のままの利益 1,200万円
11月決算に変更した利益 700万円
差引差額 500万円
法人税等の税率を約30%として計算すると150万円も税金に差があります。
同じ仕事をしているのに税金にこれだけの差がでるのです。
税金に差が出るということは、会社の成長に使うことができる資金力に差がつくということにつながります。
②役員報酬の改定時期が前倒しになる
役員報酬はその事業年度ごとに決めていくことが一般的です。
事業年度変更をすることで、役員報酬改定が前倒しになることが起こります。
先ほどの事例では、12月決算のままの場合定時株主総会が2月に行われて2月発生役員報酬か3月発生役員報酬から役員報酬の改定が行われます。
11月決算法人にすることで、1月に定時株主総会がおこなわれます。
そのため、1月からか2月に役員報酬の改定がおこなわれることになります。
役員の任期は株主総会までとなるので、事業年度改定がおこなわれることによって役員報酬改定時期が早まることになります。
③消費税の課税方針の変更が早まることがある
消費税には「本則課税」と「簡易課税」という2種類の計算があります。
本則課税は「預かった消費税―自分が仕入れなどで負担した消費税=消費税納税額」というものです。
簡易課税は、「売上×税率(8%)×業種ごとの率=消費税納税額」という計算になります。
簡易課税は厳密な消費税の精算をしないで、売上の種類ごとに決められた率をかけることで納税額を計算するものになります。
そのため、本則課税と簡易課税では有利不利が発生します。
本則課税は特に届出も必要ないのですが、簡易課税制度を選択する場合には事業年度開始の日の前日までに税務署への届け出が必要になります。
明らかに簡易課税が有利な業種なのに、出し忘れてしまっている場合には事業年度を変更することで簡易課税制度を早期に開始することができます。
決算期変更をして税務署に怒られないの?
決算期変更はきちんとした手続きを踏んでいれば問題がありません。
決算期を変更するしっかりとした理由があるということが重要ですので、単に節税のためというだけではトラブルになる可能性があります。
事業年度変更には手続きも必要になるので、手続き上のミスがあって無効ということがないように気を付けましょう。
決算期変更(事業年度変更)の仕方
決算期変更は事業年度を変更することで行います。
先ほどの事例をもとにみていきましょう。
12月決算法人を11月決算に変更する手続き
①11月中に臨時株主総会を開催する
②事業年度を「1月~12月」→「12月~1月」に変更する決議をとる
③臨時株主総会議事録を作成・保存する
④税務署・市町村・都道府県に「異動届」を提出する
⑤1月までに11月決算の法人税等の申告を行う
たったのこれだけです。
消費税の簡易課税を選択する場合には、11月中に事業年度を変更したことに関する異動届と簡易課税制度選択届出書を税務署に提出しておきます。
まとめ
決算期変更は節税のためだけではなく、様々な局面で必要になってきます。
銀行融資への影響などを含めて効果的に事業年度変更が活用できます。
今の事業年度が会社運営に合っているかを含めて総合的に検討していきましょう。
決算期変更は節税のためだけに行うとトラブルを起こす可能性があるので、事前に税理士事務所に相談してみましょう!