個人事業主の車はどこまで経費で落とせるのか?【節税対策と自動車の関係】

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個人事業主は車を使った節税ができるという話を聞いたことはあるでしょうか?サラリーマンであればマイカーは経費で落とせませんが自営業者は車を経費で落としていきます。税務調査でも車はチェック項目なので事前に理解しておきましょう。

個人事業主の車はどこまで経費で落とせるのか?【節税対策と自動車の関係】

個人事業主にとって車は重要な節税ポイントになりますが、税務調査でのトラブルの多い項目にもなります。

なぜ個人事業主にとって車が税務調査で問題視されるかというと、自宅のプライベートの車と事業用の車を強要していることが多いためです。

プライベートの車がないのにSNSなどに「今日はキャンプに来ています」なんて投稿をしていれば、事業用の車と行ってもプライベート利用していることは一目瞭然です。

このように個人事業主の場合には車をどうやって経費で落としていけな良いかを考えておかなければなりません。

経費率の低い業種の場合、自動車が一番大きな固定資産になることも多いので、税務調査で問題になると所得が大きく動いてしまうこともあります。

税務上損をしないように自動車の経費の考え方を検討していきましょう。

個人事業の自動車が税務上問題になる理由【税務署はどこを見ているのか】

個人事業を始めた場合、車を100%経費で落としていることがよくあります。

実際には日常の買い物や子供の送り迎え、休日のレジャーなどにも使っているのに100%経費で落としていることがあるのです。

個人事業主の感覚としては、ほとんど仕事でしか使っていないので100%経費と思っています。

ところが税務署側の見方としては、プライベート利用があるはずなのに100%経費で落としていることが問題と考えます。

税務署はなぜ100%経費で落としているとわかるのか?

税務署は確定申告書につける「青色決算書」や「収支内訳書」の「減価償却費の計算」の事業専用割合という部分をチェックします。

その固定資産の事業割合が一目瞭然でわかるものです。

本来は減価償却費のうち「何割を経費で落としているか」がわかる部分ですが、その固定資産の事業割合の客観資料としても活用します。

減価償却費の計算の事業専用割合が表示されているので、車検やガソリン代など車両費の事業割合もこれと同じはずということになります。

税務調査の粗選の段階で車両の事業専用割合が100%で他にプライベート用車両がない可能性が高い場合には、税務調査の際に減価償却費・車両費の一部を否認される可能性が高くなります。

この事業専用割合は、減価償却だけではなくその資産に付随する諸経費の経費率(家事否認割合)にも影響を与えてきます。

事業専用割合が70%であれば、車検・ガソリン代・自動車保険なども70%と考えられるからです。

個人事業の節税対策【自動車の税務編】

個人事業の自動車はどこまで経費で落とせるのかというときに、どのように合理性を担保するのかということが重要になります。

税務調査の際に問題になるのは「合理性がない」ということです。

この合理性とは2つの意味があります。

①その人の説明に一貫性があるかどうか

②社会通念上一般的なことかどうか

2つの意味での合理性は全く別な意味があるので注意しましょう。

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①その人の説明に一貫性があるかどうか

税務調査は税務署と納税者との信頼関係の上に成り立っています。

納税者側の話が支離滅裂で信用できないと感じると税務署はより一層疑って見ていきます。

逆にその納税者の考え方に一貫性があり、それが妥当であれば税務調査の際に「正直に話している」という心証を与えていきます。

実際の税務調査の際には、自分が思ってもいない方向で話をとらえられてしまうこともあるので税理士さんに立ち会ってもらった方が安全です。

自動車の利用の場合には次のような項目がチェックされます。

・事業用の車以外の車を所有しているか?

⇒プライベート用の車がある場合、使い分けをしているという主張が認められやすくなります。

一般的には平日は事業で使うことが多いので、事業用車両の走行距離が多くなり、プライベート車両の走行距離は少なくなります。

・日常買い物はどの程度・どこに行くのか?

⇒事業用車両の減価償却が100%でプライベート車両がなければ家事否認をしたいという方向で話を聞いていきます。

日常の買い物が少しはなれたスーパーということになると、車で行っているはずと考えます。

「この辺だとどこら辺に買い物に行かれるんですか?」

「家族も多いと買い物も大変ですよね。」

などで、車両を使わないと買い物ができない可能性を打診していたりします。

・社長の趣味や家族の保育園や習い事など

家族のライフスタイルと車の関係をチェックします。

チャイルドシートが付いている車をみると経理率は100%ではないと判断していきます。

保育園に通っている場合や子供の塾の送り迎えをしている場合なども判断材料になります。

社長の趣味が旅行やドライブという場合も当然家事否認割合があることになります。

②社会通念上一般的なことかどうか

「正直であること」は税務調査の心証形成では重要になります。

ただし、正直でも認められないことも多いのです。

税務署が認めない基準には「税法上認められない(税法違反)」と「社会通念上妥当性がない」という2つの側面があります。

正直に話してくれた事実が、税情報認められないものだったり一般的にあり得ないものの場合には、否認するということになります。

社会通念上妥当性がないという例は次のような例です。

通常100円で売っている商品をこの人だけに10円でというようなことに、まともな理由がなければ認められないということです。

同じようにこの人だけに10円で売っていたとしても社会通念上妥当性のある事例もあります。

例えば、抽選で1様限定で100円の商品を10円で売りますという広告宣伝を兼ねたキャンペーンです。

このように同じ100円のものを10円で売るといった場合、その背景にある事実によって課税上の取り扱いが変わってくるのです。

節税に強い税理士さんは毎月の顧問をしていく中で、どのように行うと税務上問題ならず会社の行いたいことを実現するのかを考えてアドバイスしてくれるのです。

自動車の例では家事否認割合の考え方が合理性があるかどうかが重要になります。

一番正しいものは走行事績表を作成して年間走行距離のうち事業で走った割合を計算する方法です。

しかし、実務上ここまで細かくつけている個人事業の方は多くありません。

どのように合理的で税務署も納得してくれる割合を考えるかは合理性があれば主張の根拠になります。

家事否認割合の根拠を次のように考えることも合理性があります。

A:プライベートで使う場合の年間概算距離を出す

⇒行きつけのスーパーまでの距離×月の買い物回数×12カ月+概算の旅行などの距離

B:休みの日の割合

平日が仕事の場合、7日間のうち2日は休日になります。

そこで2/7が家事利用割合と考えることもあります。

③経費の処理を「事業割合対象」と「100%事業」を分けて管理する

家事否認割合が対象になるのは、あくまでも事業用とプライベートに共通する部分だけが対象になります。

ただし、事業100%とプライベートと事業共通のものを分けていないと全体に家事否認割合を掛けたものを経費から外します。

節税に強い税理士さんはあえて家事否認の対象になるものとならないものを分けて経理することでこの家事否認のダメージが小さくなるようにコントロールしています。

具体的には次のように区分します。

A:100%経費で落とす自動車経費

・事業場の駐車料

・事業遂行上で起こった事故の修理費(保険金等で控除したものを除く)

・事業遂行上でしか使わない車両設備(梯子を載せる台など)

B:プライベートと事業に共通するもの

・ガソリン代

・自動車保険

・タイヤ代

・車検

・車載設備(事業にしか使わないものを除く)

まとめ

個人事業主の税務調査は経費で落としているものの中にプライベートな支出がないかのチェックが行われます。

特に車輌関係の経費は100%経費で落としているかどうかはしっかりとチェックされます。

自動車の経費は個人事業にとって大きな経費になるのでしっかりと節税対策を行いながら管理をしていきましょう。

節税に強い税理士さんは管理方法もアドバイスをくれるので積極的に相談していきましょう。

中古車を購入するなら何年落ちが節税になるのかはこちらをご覧ください。

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