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海外旅行を経費で落とすのはなかなかハードルが高くなっています。特に海外旅行などは金額も高額になるので税務調査でチェックが入りやすい項目です。しっかりと、どういう海外旅行が経費で落ちるのかを知っておきましょう。

海外旅行も経費で落ちる?~福利厚生を使った会社活性化術~

海外旅行と聞くと税理士事務所も税務署も敏感になってしまうものなんです。

これは非常に難しい判断が必要になってくるもので、判断を間違うと社長や会社が思いがけないデメリットを受けてしまうからです。

海外旅行と海外出張は全く取り扱いも異なります。

従業員に対する海外旅行の取り扱いと取引先に対する海外旅行でも取り扱いが変わるのです。

最近では身近になった海外旅行ですが、使い方を間違うと税務上のデメリットを受けることになるので注意が必要です。

今回は海外旅行を上手に活用した会社活性化術をお話しします。

税務調査で注目される海外旅行の調査目的は賞与(給与課税)になるかどうか

海外旅行が経費で落ちるということは、海外との取引や具体的な効果・効能があってこそ経費になると考えられます。

そのため海外旅行の航空券や旅行申込の書類・海外旅行保険などがでてくると税務調査の際にものすごくチェックを受けてしまいます。

建築家が海外の街並みを歩き回って写真を撮って、帰国後に自身の建築設計に生かそうとしても税務調査で認められなかったこともあります。

観光地で街並みなどの写真をかなりの枚数を撮っていてたけども観光目的として一蹴されています。

なぜ、税務調査の際に海外旅行をチェックしてくるかというというと次の違いがあるからです。

①給与課税になることで源泉所得税の徴収漏れが指摘される

②役員に対するものは役員賞与の損金不算入で法人税法上経費で落ちなくなる

海外旅行に出席した人数が複数になればなるほど、源泉徴収漏れを指摘できる人数が増えます。

出席役員が多ければ多いほど、役員賞与の損金不算入額が増えてくることになります。

税務調査で「源泉所得税の徴収漏れ」と「法人税の過少申告加算税」という2つのポイントを見つけることができるのです。

調査官は税務調査の際に「海外旅行」や「海外出張」が行われていると最低限この2箇所のチェックを行いたくなってしまうのです。

海外旅行の課税上の取り扱い

法人の海外旅行の考え方は次のように区分して考えます。

1:課税上の取り扱いが給与になる場合(賞与)

会社の役員や従業員のうち一部の人だけを旅行に行かせる場合です。

あくまでも観光旅行(慰安目的を含む)であって、海外出張ではありません。

①海外旅行の対象者:特定の人

②旅行の目的:観光

③課税上の取り扱い

(会社側):給与(賞与)として処理

(旅行参加者):給与として年末調整の対象

2:課税上の取り扱いが福利厚生費になる場合:ケース1

①海外旅行の対象者:永年勤続表彰

②旅行の目的:福利厚生(観光)

③課税上の取り扱い

(会社側):福利厚生費として処理

(旅行参加者):課税されない

永年勤続者にたいする福利厚生として、次の条件を満たしていることが必要です。

・永年勤続者の勤務期間等に照らして社会通念上相当と認められる

・勤続表彰がおおむね10年以上の勤続者を対象としていること

・2回以上の表彰にはおおむね5年以上の間隔をあけていること

課税上の取り扱いが福利厚生費になる場合:ケース2

①海外旅行の対象者:従業員の50%以上参加

②旅行の目的:福利厚生(観光)

③課税上の取り扱い:福利厚生費(給与課税されない)

次の両方の条件を満たしていることが福利厚生費として認められる上で必要

・現地滞在日数4泊5日以内

・全従業員等の50%以上が参加

・会社負担が高額でないこと(高額部分は給与課税のリスクあり)

従業員の士気高揚のために海外旅行を活用

最近では人材不足が会社経営の問題になってきています。

会社は利益を出すことも難しい中で人材確保も行っていく必要があります。

優秀な人材を確保し、日々の売上向上のために福利厚生も充実させていくことが重要になってきています。

さらに学生を含めて海外旅行のハードルは低くなっているので、海外旅行自体一般化していて過度な旅行という感覚もなくなってきました。

福利厚生費になる慰安旅行の海外旅行の基準を見ておきましょう。

・現地滞在日数4泊5日以内

・全従業員等の50%以上が参加

会社負担が高額でないこと ←ここが重要なポイント

ここで福利厚生費になる海外旅行の問題点が出てきます。

「従業員さんのなど職場の50%以上が出席する点」と「現地滞在日数4泊5日」という点はクリアしやすいのです。

問題は「会社負担が高額でないこと」という基準がわからないのです。

ここで国税不服審判所の裁決の判断が面白いことになっています。

福利厚生費としてのレクリエーションの判断に重要な点を次の点に置いています。

この時点では海外旅行の判断ではなく、レクリエーションの福利厚生費としての妥当性の判断です。

①-1:レクリエーションは希望しないまま参加しなければならない面がある

①-2:レクリエーションの経済的利益は自由に処分できない

②-1:使用人が受ける経済的利益は少額だから課税しなくても差し支えない

②-2:受ける経済的利益の評価が困難(自由度100%なわけではない)

③:使用者が費用を負担してレクリエーション行事を行うことは社会通念上も一般的

社会通念上、レクリエーションとして認められているものまでも課税すると国民感情を害すると考えているようです。

ここからが海外旅行のレクリエーション性についてです。

注目しているのは②-1「使用人が受ける経済的利益」に注目しています。

あくまでも少額なものに対してまで課税しないことの判断は、「使用者が受ける経済的利益」がいくらなのかです。

レクリエーションとして成立しているかどうかが、「参加者の割合」という論理構成です。

社会一般的な福利厚生に該当するレクリエーション費用は少額であることが普通なので、高額だと非課税としての根拠を失うと判断しています。

高額な部分だけが課税されるのではなく、福利厚生費にならなかった旅行代金全体が課税対象という判断をしているのです。

福利厚生費で海外旅行を正しく経費で落とすポイント

高額な海外旅行は福利厚生目的であっても全額が給与課税されてしまいます。

今回の裁決で注目すべき点は、5年に一度の海外旅行でも毎年海外旅行にしていても判断に影響がない可能性がある点です。

会社側の主張は5年に一度の海外旅行なので1年あたりの負担額で高額でない旨を主張しましたが、次の点で却下されています。

①レクリエーションは実施したときに経済的利益を受けるもの

②レクリエーション行事は実施ごとに判断すべきもの

この点から「5年分をおこなった」といっても、単年当たりの負担額として高額かどうかの判定をすべきではないと一蹴されています。

この判断を基に考えると「海外旅行で会社を活性化するポイント」は次のようになります。

①毎年、福利厚生で海外旅行に行っていたとしても否認される根拠にはならない

②会社負担額をおさえて従業員に別途賞与を出すことで福利厚生と給与を明確に分ける

まとめ

これからは優秀な人材確保と業績の向上を作っていくことが重要になります。

海外旅行も一般的になっていることから会社の福利厚生に取り入れることで社員の活力になってくる可能性があります。

しかし、安易に海外旅行を福利厚生費として処理していると税務調査で思いがけない税務トラブルになることがあるので注意しましょう。

海外旅行や海外出張が行われた場合には、必ず資料提示を求められるので資料を用意しておきましょう。

海外旅行に関する税務は対策と判断が難しいので税理士さんに相談して行っていきましょう。

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