【令和7年分】年末調整で一番ややこしい「あの書類」の書き方、わかりますか?記入例つきで徹底解説!

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10月に入り、経理・総務担当者のデスクに、年末調整関連の書類が届き始める季節となりました。その中でも、ひときわ複雑なオーラを放ち、毎年多くの従業員を悩ませる「ラスボス」のような書類がありますよね。

そう、正式名称を「給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」という、あの非常に長くてややこしい書類です。

「うちの社員、毎年この書類の書き方で質問に来るんだよな…」「正直、自分も全ての項目を完璧に理解しているか不安だ…」。そんな担当者様の静かな心の声が聞こえてくるようです。

この記事を社員にシェアすれば、質問がゼロになるかもしれません

この記事では、この最難関の書類を3つのパートに分解し、「誰が」「どこを」「どう書けばいいのか」を、豊富な記入例と共に徹底的に解説します。この記事一本で、年末調整の問い合わせ対応業務が劇的に楽になることをお約束します。

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パート1:「給与所得者の基礎控除申告書」の書き方

まず最初のパートは、所得税の基本的な控除である「基礎控除」を受けるための申告書です。

【対象者】原則、全員が提出します

この部分は、合計所得金額が2,500万円以下の**給与所得者全員**が記入・提出する必要があります。つまり、ほとんどの従業員が対象です。

【書き方のステップ】

  1. 「あなたの本年中の合計所得金額の見積額」欄:今年の年収(1月〜12月の見込み総支給額)から給与所得控除額を差し引いた金額を記入します。給与明細や源泉徴収票を参考に、おおよその金額で問題ありません。
  2. 「控除額の計算」の表:①で計算した所得金額が当てはまる区分(A, B, C)にチェックを入れます。
  3. 「基礎控除の額」欄:②でチェックを入れた区分の右側に記載されている控除額(例:48万円)を転記します。

【記入例】

年収500万円のAさんの場合、給与所得は356万円。区分は「A」にチェックが入り、基礎控除の額は「48万円」となります。

パート2:「配偶者控除等申告書」の書き方

次に、配偶者がいる場合に「配偶者控除」または「配偶者特別控除」を受けるための申告書です。

【対象者】配偶者がいて、一定の所得要件を満たす方

本人の合計所得が1,000万円以下で、かつ、配偶者の合計所得が133万円以下の場合に記入します。配偶者がいない方や、所得要件を満たさない方は記入不要です。

【書き方のステップ】

  1. 配偶者の氏名、マイナンバー、生年月日などを記入します。
  2. 「配偶者の本年中の合計所得金額の見積額」欄:配偶者の所得(パート年収など)を計算して記入します。年収103万円の壁などが関係する、最も間違いやすい部分です。
  3. 「控除額の計算」の表:本人の所得と配偶者の所得が交差する部分の控除額を確認し、転記します。

パート3:「所得金額調整控除申告書」の書き方

最後に、特定の条件を満たす場合にのみ適用される、少し特殊な控除の申告書です。

【対象者】給与年収が850万円を超え、かつ特定の条件を満たす方

この申告書は、給与の年収が850万円を超えている方で、なおかつ以下のいずれかに該当する場合にのみ記入します。
・本人が特別障害者である
・年齢23歳未満の扶養親族がいる
・特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族がいる

【ポイント】

多くの方はこの条件に該当しないため、このパートは空欄のままで問題ありません。「自分は関係ない」と判断できることが重要です。

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この記事のまとめ

  • この書類は3つの申告書が1枚になったもの。自分に関係ある部分だけ書けばOK。
  • 「基礎控除」の部分は、ほとんどの人が記入する必要がある。
  • 「配偶者控除」は、配偶者の所得が重要。事前に確認を。
  • 「所得金額調整控除」は、年収850万円超で、かつ特別条件に合う人だけ。多くは無関係。

経理・総務担当者のあなたへ。心からの敬意と感謝を。

年末調整は、従業員一人ひとりの生活に直結する、絶対に間違いの許されない大切な仕事です。この複雑な書類の山と向き合い、社員からの無数の質問に一つひとつ丁寧に答える。そんな経理・総務担当者の皆様のプロフェッショナルな仕事に、心から敬意を表します。毎年、本当にご苦労様です。

その地道で誠実な仕事が、会社の信頼を支え、全従業員の安心を守っているのです。

もし、社内の手続きをもっと効率化したい、従業員への説明会を開きたいといった悩みがあれば、ぜひ専門家を頼ってください。優れた「経営コンサル型税理士」や「社会保険労務士」は、年末調整業務全体のフローを改善し、あなたの負担を劇的に軽くするお手伝いをしてくれます。

あなたの頑張りを、私たちは知っています。またいつでも、知識の補給や、ちょっとした息抜きに、この場所に戻ってきてくださいね。


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