今さら聞けない消費税がかかるもの

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消費税なんてわかっていると思っていると足元をすくわれます。個人事業主や法人経営者の方は税率だけではない消費税の仕組みをしっかりと知っておきたいところです。ただ、なかなか聞きにくい消費税について勉強していきましょう。

今さら聞けない消費税がかかるもの

消費税が5%から8%になって個人事業も法人も消費税を納める会社が増えました。

同じ条件であれば、消費税の税率が5%よりも8%になるほうが消費税を納めなければいけない人は増えるのです。

消費税を納める必要があるかどうかで話題になるのは「1,000万円基準です」

売上が1,000万円を超えたら2年後に消費税を納めなければいけないというルールです。

では、なぜ消費税が5%から8%になるだけで消費税を納めなければいけない人が増えるのかというと、次の仕組みです。

① 消費税の納税義務があるかどうかの判定は、原則税抜き1,000万円を超えたかどうかによる

② 免税事業者は、税込み1,000万円を超えたかどうかによる

消費税5%でギリギリ1,000万円の人は、消費税が8%になっただけで1,028万円になってしまいます。

しかも、この判定をしている人は免税事業者ですから税込み売上が1,000万円を超えてしまって2年後には消費税の納税が待っています。

このように、消費税を納めなければいけないのかどうかは消費税がかかるものを理解していないと判断ができません。

今回は、消費税の掛かるものを見ていきましょう。

消費税がかかる取引のことを課税資産の譲渡等といいます

課税資産の譲渡等とは、消費税の掛かる取引のことをいいます。

つまり、この課税資産の譲渡等に該当しなければ消費税の掛からないものになります。

では、課税資産の譲渡等(消費税がかかる取引)の要件を見てみましょう。

① 国内において行うもの

② 事業者が事業として行うもの

③ 対価を得て行うもの

④ 資産の譲渡、貸付又は役務の提供

消費税がかかるのは、国内で消費される付加価値に対してです。

ですから、国内において行うものが消費税の対象になります。

最近では、インターネットを使った通信が国際的に行われていることから、電気通信利用役務の提供という難しい名前がつけられて別個で判断基準を設けています。

この部分は、非常に判定が難しく、国税庁HPの開設を見てもわかりにくいので注意が必要です。

Businessperson pushing question mark in room with business charts on wall

判定1 国内において行うものとは?

消費税は、国内において消費されるモノやサービスに対して、広く負担する税金です。

つまり、国外で消費されるものについては消費税の対象外になっています。

海外旅行に行くときに、国内免税店で購入したものは海外で使うことを予定しているので消費税が免税になっています。

判定2 事業者が事業として行うものとは?

ポイントは2つ

その1 事業者がおこなっていること

その2 事業として行っていること

次の例を見ていきましょう。

① 個人事業者が、事業として商品を売買していれば消費税の対象です。

② 不動産業者が、事業として建物を売買していれば消費税の対象です。

③ サラリーマンが、マイホームを売買しても消費税の対象外です。

④ 個人事業主が、マイホームを売買しても消費税の対象外です。

⑤ 法人が倉庫を売却しても消費税の対象です。

① 個人事業者が、事業として商品を売買している場合

個人事業主が商品を仕入れて販売することは、通常の事業の一部です。

そのため、事業主が事業として行っている取引になります。

判定:事業者として行っているか → 事業者として行っている

事業として行っているか  → 事業として行っている

結論 :消費税の対象取引

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② 不動産業者が、事業として建物を売買している場合

不動産業者にとっては、建物や土地は販売用の資産です。

つまり、棚卸資産を売買することは正常な事業の取引になります。

判定:事業者として行っているか → 事業者として行っている

事業として行っているか  → 事業として行っている

結論 :消費税の対象取引

③ サラリーマンが、マイホームを売買している場合

サラリーマンは、事業者ではありません。

マイホームの売却も、不動産業者のように商品ではありません。

判定:事業者として行っているか → 事業者として行っていない

事業として行っているか  → 事業として行っていない

結論 :消費税の対象外取引

④ 個人事業主が、マイホームを売買している場合

個人事業主は、事業者です。

個人事業主といっても、マイホームは事業に関係のない資産になります。

ただ、注意する点はマイホームと店舗や事務所を併設で使っている場合、事業と関係のある部分は事業としての部分に該当します。

判定:事業者として行っているか → 事業者として行っている

事業として行っているか  → 事業として行っていない

結論 :消費税の対象外取引

⑤ 法人が倉庫を売却している場合

株式会社などの法人は設立目的が事業といて活動をすることですから、すべての取引は事業として行うものになります。

question 疑問 はてな

判定3 対価を得て行うものとは?

消費税は、原則として対価をもらっているものが対象になります。

つまり、無償(タダ)で資産を譲渡した場合・無償(タダ)で資産を貸付けた場合・無償(タダ)でサービスを提供した場合は、原則として消費税がかかりません。

例えば次のようなものは消費税がかかりません。

・自社の広告宣伝のために、自社の商品を無償(タダ)で配った

・自社の広告宣伝のために、懸賞で車をプレゼントした

・試食商品を無償(タダ)で提供した

判定4 資産の譲渡・貸付または役務の提供とは?

資産の譲渡とは

資産の譲渡とは、商品の販売だけではなく建物などの固定資産の売買も対象となります。

このようにカタチのあるものだけではなく、権利やソフトウエアなどの無形資産などもその対象になります。

資産の貸付けとは

賃貸借契約や消費貸借契約によって資産を貸すことをいいます。

この資産を貸すことには、資産に係る権利の設定などをして他人に資産を使用させることを含みます。

消費税法の条文では「資産に係る権利の設定」という難しい言葉を使っているのですが、具体的には次のものをいいます。

① 工業所有権・特許権などの使用させること

② 著作物の複製・上映・放送・展示・上映・翻訳などその著作物を利用させること

③ 生産や業務に関するノウハウの提供

役務の提供とは

役務の提供とは、サービスです。

土木工事・修繕・運送・保管・印刷・広告・仲介・興業・宿泊・飲食・技術援助・情報の提供・便益・出演・著述などのサービスを提供することをいいます。

具体的には次の業種も、役務提供に含まれます。

弁護士・公認会計士・税理士・作家・スポーツ選手・映画監督・棋士など

外国貨物にも消費税がかかる

消費税は国内で消費されるモノやサービスに対してかかる税金です。

外国貨物も国内でその後消費されるものには消費税がかかります。

具体的には、保税地域から引き取られる外国貨物には消費税がかかりますので注意しましょう。

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まとめ

・国内において行われたものかに注意すること

・事業者として行った取引かどうかを検討しましょう

・対価を得て行われたものかを確認しましょう

・取引内容が資産の譲渡・貸付・役務の提供かどうかを調べましょう

・外国貨物を引き取っても消費税がかります

実際には、消費税法は判定が非常に難しい税法です。

取引一つ一つが消費税の対象か否かを判定していきますので、チェックするボリュームが非常に多くなります。

消費税については、複雑ですので税理士さんに相談してみてはいかがでしょうか?

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