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売上代金が入金になっていないのに税金がかかることをご存知でしょうか?会社にとっては踏んだり蹴ったりの「貸倒損失」についてみていきましょう。
売上金が入らないのに税金がかかる!~貸倒損失の怖さ~
個人事業でも法人でも会社を経営していれば、遅かれ早かれ売上金が入ってこないことが起こります。
一番は、毎月の取引が安定していて、入金も期日通りに入金になればよいのですが。
売上金が入ってこないというのは、「入金が遅れる」のではなく、「入ってこない」のです。
よくあるパターンとしては、
取引先の社長から電話が来て、「少し待ってくれ」と言われます。
うちも元請けから入金が遅れていて・・・
元請け先から減額されて・・・・
取引先も大変だし、世話になっているし、連絡をくれたから大丈夫だろうと思っています。
延期した入金期日になって銀行で記帳したら入金になっていない。
慌てて電話をしたら連絡が取れない。
こんなひどい目に遭うことが実際にあります。
これは、現金商売以外であればどの業種でも可能性があることなのです。
こんなにひどい目に遭っているのに、税金が取られることがあるので注意しましょう。
貸倒損失が経費にならないこともある
貸倒損失とは、売上金や貸付金などのお金を取りっぱぐれることをいいます。
貸したお金が焦げ付くことだけが貸倒ではないのです。
入るべきお金が入らないのに、経費にならないで税金の対象になるなんて泣きっ面に蜂です。
貸倒になるには様々なパターンがあります。
貸倒になるパターン1:法律の規定などによる貸倒(法人税法基本通達9-6-1)
これはどうしようもないパターンです。
会社更生法などの法律の規定や債権者集会の協議で、債権の切り捨てが行われた場合です。
債権者集会のイメージは、TVなどで社長や経営陣が頭を下げていて、会場に来ている債権者が怒鳴っている映像です。
会社としては払えないので、債権カットをしてくださいと説明しているものです。
税務は恣意性を嫌います。お手盛りであれば認めないというスタンスです。
法律的な手続きであれば、会社の都合ではないので合理的な判断で行われたものとして認識されています。
貸倒になるパターン2:全額回収不能による貸倒(法人税法基本通達9-6-2)
取引先が、実質的に倒産状態です。
どうやっても、こちらの売上金などが1円も入ってきそうもない状態です。
全額が回収不能に陥っている場合、担保物があればこれを処分した後で、残額が貸倒損失になります。
トラブルになる要因
全額が回収不能かどうかが、誰にもわからないのがトラブルの原因になります。
あくまでも、会社側の主観で決めざるを得ない点がエイムトラブルの原因になってしまいます。
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貸倒になるパターン3:① 取引がなくなって1年以上が経過(法人税法基本通達9-6-3)
実務上一番よく目にする事例かもしれません。
今までは、安定して取引していたのにある時から急に入金が止まってしまった場合です。
この貸倒の要件は、
対象の債権:継続的な取引先に対する商品やサービスの代金(売掛金)
弁済停止期間:取引停止から1年以上の期間が経過していること
備忘価額を残すことを忘れずに!
前提として、売掛金の回収努力をしていたことが必要ですので、回収努力はきちんとしていきましょう。
不動産取引などの場合は、継続的な取引ではないことが多いためこの規定の適用ができない可能性が高いので注意しましょう。
通常の取引がある状態で、ちょっと支払いが遅れただけで債権保全に走る会社はあまりないと思います。
これは、商習慣として普通の状態です。
そのため、このような規定が設けられています。
貸倒になるパターン3:② 取引相手が遠い場合(法人税法基本通達9-6-3)
お金を払ってくれない相手に対して、お金を払ってくださいと旅費をかけていくのは厳しいものがあります。
払ってくれない人は、行っても払ってくれない可能性が高いでしょう。
そこで、次の場合には備忘価額を残して貸倒損失として処理することが認められております。
A: 取引相手と同じ地域の取引先に対する売掛債権の合計額が取り立てにかかる旅費などの経費に満たない場合
B: 取引先に対して支払いを特則していても弁済がないこと
貸倒損失が否認されないように、きちんと債権を管理しましょう
① 売掛金などの債権の管理
・ いつの売上分の入金が遅れているのか
・ 請求書の出し忘れがないか
・ 取引先ごとの残高の把握
② 督促の履歴や資料の保存
・ 請求書の発送履歴の保存
・ 入金遅滞時点の督促履歴の保存
③ 法的書類の保存
・ 会社更生法等の規定による再建切り捨て通知の保存
・ 債権者集会の再建切り捨ての同意書の保存
まとめ
貸倒については相当注意が必要です
法人を経営していると、否応なしに貸倒になるリスクを抱えてしまいます。
商売をしていくためには、ついて回るリスクです。
しかし、貸倒損失が経費になるか、税務上否認されて損金不算入になるかはコントロールできます。
貸倒はお金が入ってこないという、資金的な影響が大きい事件です。
ここで有税による処理になると、入ってこないお金の30%前後のお金が追加で納税させられてしまいます。
こんなことにならないようにきっちり対策を立てておきましょう。
特に難しい貸倒損失については、税理士さんに相談して日ごろから対策を立てておきましょう。
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