アフィリエイト(グーグルアドセンス・グーグルアドワーズ)の消費税は難しい【電気通信利用役務の提供(平成29年1月1日改正)】
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電気通信利用役務の提供というと聞いたこともない人も多いかもしれませんが、アフィリエイトを行っている方には重要な項目になります。特にグーグルアドセンスやグーグルアドワーズを行っている場合には消費税は難しくなるのです。
アフィリエイト(グーグルアドセンス・グーグルアドワーズ)の消費税は難しい【電気通信利用役務の提供(平成29年1月1日改正)】
アフィリエイトにとって消費税は関係ないと思っている方も多いかもしれませんが、グーグルアドワーズやグーグルアドセンスは海外の事業者が運営しています。
海外の事業者がインターネットを通じた広告を日本国内で行っているケースがあるということです。
日本の広告代理店に広告を出稿する場合には消費税がかかり、広告代理店は預かった消費税を納めていくことになります。
では、グーグルアドセンスやグーグルアドワーズというものに対する消費税はどのようになっているのか気になるところです。
アフィリエイトにとって重要なグーグルの広告など海外ASPについては、消費税の取り扱いに注意が必要です。
グーグルアドワーズ(GoogleAdWords)はPPC広告を出す方
グーグルアドワーズ(GoogleAdWords)とはPPC広告の一つです。
世界的にも有名なグーグルが提供している広告で、ターゲット地域を絞って、ユーザーにとって興味のある広告を適切なタイミングで広告表示するものです。
ウェブサイトへの誘因やオンライン売上げの獲得など様々なビジネスの広告として効果を上げています。
日本国内で事業を行っている事業者が自社広告を海外事業者のグーグルに依頼して広告を出してもらっているということになります。
グーグルアドセンス(GoogleAdsense)は広告スペース提供のアフィリエイト
グーグルアドセンス(GoogleAdsense)は日本国内のアフィリエイターなどがホームページやブログにグーグル(Google Asia Pacific Pte.Ltd.)に対して広告配信を許可することにより収入を得ていきます。
アフィリエイトでホームページやブログを作り、グーグルアドセンス(GoogleAdsense)によって海外事業者に対して役務の提供をしているという形態になります。
電気通信利用役務の提供とは
(消費税法第2条第1項第8号の3)
電気通信利用役務の提供とは、資産の譲渡等のうち、電気通信回線を介して行われる著作物(著作権法第2条第1項第1号に規定する著作物をいう)の提供(当該著作物の利用の許諾にかかる取引を含む)その他の電気通信回線を介して行われる役務の提供(電話、電信その他の通信設備を用いて他人の通信を媒介する役務の提供を除く)であって、他の資産の譲渡等の結果の通知その他の他の資産の譲渡等に付随して行われる役務の提供以外のものをいう。
(具体的な電気通信利用役務の提供の例)
①電子書籍・音楽・映像・ソフトウエアなどの配信
②クラウドサービスの提供(ソフトウエア・データベースを利用させるもの・電子データ保存)
③インターネット等を通じた広告の配信・掲載
④インターネットを介して行う宿泊予約・飲食店予約サイト
⑤インターネットを介して行う英会話教室
など
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事業者向け電気通信利用役務の提供とリバースチャージ
電気通信利用役務の提供と併せて知っておきたいものがあります。
それは「事業者向け電気通信利用役務の提供」というものです。
昔の消費税は、国内取引と国外取引を「役務の提供を行う者の役務の提供に係る事務所等の所在地」で判定していました。
国内の事業者が提供していたサービスに対して消費税を納税するという形態でした。
国内の事業者が日本の消費税を納税することは普通だったわけです。
電気通信利用役務の提供という新しい問題に対応して国内取引・国内取引の考え方を導入したことから、昔は国外取引とされていたものでも国内取引として消費税の対象となることが起こります。
電気通信利用役務の提供は役務の提供を受けるものの所在地で消費税の国内・国外取引を判定します。
国外の事業者が国内の事業者や消費者にたいしてサービスを提供しても国内取引になります。
消費税の納税が難しいケースが出てきました。
そこで一定の取引については、消費者側に納税義務を転嫁する制度を導入しました。
これをリバースチャージといいます。
リバースチャージの対象となる取引とは【特定資産の譲渡等】
リバースチャージは消費者側が消費税を納税することになるので、今までの消費税からみるとイレギュラーな取引です。
そこでリバースチャージの対象となる取引を「事業者向け電気通信利用役務の提供」と「特定役務の提供」の2種類としています。
①事業者向け電気通信利用役務の提供とは
(消費税法第2条第1項第8号の4)
事業者向け電気通信利用役務の提供とは、国外事業者が行う電気通信利用役務の提供のうち、当該電気通信利用役務の提供にかかる役務の性質又は当該役務の提供にかかる取引条件等から当該役務の提供を受ける者が通常事業者に限られるものをいう。
具体例としては、インターネット配信広告などが該当します。
②特定役務の提供とは
(消費税法第2条第1項第8号の5)
特定役務の提供とは、資産の譲渡等のうち、国外事業者が行う演劇その他の政令で定める役務の提供(電気通信利用役務の提供に該当するものを除く。)をいう。
(消費税法施行令2の2)
映画若しくは演劇の俳優、音楽家その他の芸能人又は職業運動家の役務の提供を主たる内容とする事業として行う役務の提供のうち、国外事業者が他の事業者に対して行う役務の提供(当該国外事業者が不特定多数の者に対して行う役務の提供を除く。)とする。
具体例としては、外国アーティストなどの国内講演・日本国内のテレビ出演などが該当します。
【平成27年10月1日以前の国内・国外判定】
電子書籍など電気通信役務の提供については、役務の提供が行われた場所が明らかでない取引として考えられていました。
そこで、役務の提供を行う者の役務の提供にかかる事務所等の所在地によって国内取引と国外取引を判断していました。
平成27年10月1日以前は、次のように判断していました。
【役務の提供を行う者で判断】
①役務の提供を国内の事業者が行う場合:国内取引
②役務の提供を国外の事業者が行う場合:国外取引
【平成27年10月1日~平成28年12月31日までの電気通信利用役務の提供の国内・国外判定】
電子書籍・音楽・広告配信などをインターネット等を介して行われるものを、電気通信役務の提供とされました。
平成27年9月以前は、同じ電子書籍や音楽配信であっても国内の事業者が国内の消費者に対して行う場合には国内取引として消費税が課税されていました。
一方同じ電子書籍や音楽配信などを国外の事業者が国内の消費者に提供している場合には国外取引とされていました。
同じサービスをインターネットなどを通じて受けているのに、国内取引の場合には消費税がかかり、国外事業者が行った場合には国外取引として消費税がかかっていませんでした。
これでは同じサービスをおこなっている国内事業者と国外事業者間で競争力に差が生まれてしまいます。
そこで今回の改正によって、役務の提供を受ける者の住所等で国内・国外を判定するように改正されました。
役務の提供を受ける者の住所等※1を基準に国内・国外を判定【平成27年10月以後平成28年12月】
【役務の提供を受ける者で判断】
役務の提供を受ける者の住所等が国内→国内取引
役務の提供を受ける者の住所等が国外→国外取引
※1住所等とは、住所・居所(現在まで引き続いて1年以上居住する場所)・本店・主たる事務所の所在地をいいます。
【平成29年1月1日~の電気通信利用役務の提供の国内・国外判定が改定】
1:国外事業者が国内支店等で受ける「事業者向け電気通信利用役務の提供」の取り扱い
①国内において行う資産の譲渡等に要するもの→国内取引(リバースチャージの対象)
②国外において行う資産の譲渡等にのみ要するもの→国外取引
※国外事業者が恒久的施設以外で受けた「事業者向け電気通信利用役務の提供」は国外取引に該当します。
2:国内事業者が国外支店等で受ける「事業者向け電気通信利用役務の提供」の取り扱い
①国内において行う資産の譲渡等に要するもの→国内取引
②国外において行う資産の譲渡等にのみ要するもの→国外取引
まとめ
国境を越えた役務の提供に対する消費税の考え方は非常に難しいものがあります。
アフィリエイトの消費税の難しさもこの電気通信利用役務の提供が絡んでくる点です。
インターネットを使った海外取引が想定される場合には、事前に税理士さんに相談しておかなければ消費税の取り扱いに間違いが起きてしまいます。
消費税は改正の多い税法ですから、日頃から税理士さんとのコミュニケーションをとって情報を集めておきましょう。
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