簡易課税なのに本則課税で消費税申告をしてしまったらどうなるの?
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消費税の申告納税期限は個人事業の場合3月31日・法人の場合には法人の決算日から2か月以内です。税務署に提出する消費税の申告書には「本則課税用」と「簡易課税用」の2種類があります。これを簡易課税なのに本則課税用で申告書を提出してしまったらどうなるかを見ておきましょう。
簡易課税なのに本則課税で消費税申告をしてしまったらどうなるの?
消費税の計算方法には本則課税と簡易課税制度の2種類があります。
簡易課税制度は事前に届出書を提出していなければ適用できないわけですが、うっかり会計ソフトの消費税申告書作成で間違った方の申告書で消費税を計算して提出してしまうミスがあります。
こんなバカなことはないと思っているかもしれませんが、消費税は油断すると申告書の種類を間違いやすい制度なのです。
もしも万が一簡易課税なのに本則課税の申告書を提出してしまった場合や、逆に本則課税なのに簡易課税の申告書を提出してしまったらどうしたらいいのかを知っておきましょう。
※簡易課税と本則課税の違いについては「いまさら聞けない簡易課税制度とはどんな仕組み?」をご覧ください。
簡易課税と本則課税の申告書を間違ってしまう理由とは?
消費税の簡易課税と本則課税は急いで申告書を作るとミスが起きやすい仕組みになっています。
簡易課税制度の概要は次の通りです。
①簡易課税制度を選択しようとする場合には、その事業年度開始の日の前日までに「簡易課税制度選択届出書」を税務署に提出していること
②簡易課税制度選択届出書を提出した場合、原則2年間は簡易課税制度で消費税の計算・申告をしなければならないこと
③簡易課税制度は簡易課税制度による計算・申告をやめようとする事業年度の前日までに「簡易課税制度選択不適用届出書」を提出しなければらないこと
④結果として本則課税のほうが有利でも簡易課税の取りやめを出すまでは原則として簡易課税制度による申告を続けなければならないこと
⑤基準期間の課税売上高(2年前の消費税対象売上)が5,000万円を超えている場合は、簡易課税制度を選択していても本則課税で計算・申告をしなければならないこと
消費税の申告書は税務署から原則として郵送されてきます。
この郵送されてきた消費税申告書をみると「簡易課税」か「本則課税」かがわかります。
消費税申告書の右上に〇簡(マルカン)と書かれていれば簡易課税です。
ところが決算作業がギリギリになっている場合などに、税務署から郵送されてきた申告書を開封しないまま会計ソフトの消費税申告書作成画面で作ってしまうとミスが起きやすくなります。
開業してから2年経って初めての消費税申告の場合にも簡易課税制度での計算には事前届け出が必要なことを知らないまま有利な方で計算・申告してしまう方がいます。
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上級者向けの消費税「本則課税」「簡易課税」の適用ミスの理由
消費税の簡易課税制度を提出していても基準期間の課税売上高が5,000万円を超えていると、本則課税による計算・申告をしなければなりません。
簡易課税制度を選択していても使う申告書は「本則課税用」を使って、本則課税で消費税を計算・申告をしていきます。
これがずっと続いていると「うちの会社は本則課税」と思い込んでしまうのです。
実際には「簡易課税制度を選択している会社」だけども基準期間の売上が5,000万円を超えているから「本則課税で申告しなければならないだけ」なのです。
こっそり簡易課税制度の選択は「生きている」のです。
業績が右肩上がりの場合には売上が5,000万円を超えているのですが、若干売上が下がってくると売上が5,000万円を下回ります。
売上が5,000万円以下になった年から2年後(2期後)の確定申告や法人決算時に税務署から送られてきた消費税申告書は「〇簡」なのです。
簡易課税が有利な場面であればラッキーで済むのですが、大きな設備投資をしていたり、外注費が多くなっていて本則有利の状況であれば目も当てられない状況になってしまいます。
本則課税だとおもって消費税を計算して、消費税の納税予測をしていたわけですから。。
簡易課税が不利な場面でも、簡易課税制度が生きていいた以上「簡易課税制度の消費税申告」をしなければならないのです。
この状況で売上が5,000万円を超えてきた場合には、5,000万円を超えた2年後からは再び計算・申告を本則課税で行う必要があります。
消費税の申告・納税を「本則課税」・「簡易課税」を間違って提出申告した場合はどうしたらよいか
税務署よりも先に自分で気が付いた場合には、気が付いたタイミング次第で次のようになります。
①消費税の申告期限内に気が付いた場合
個人事業の場合に多いのですが、消費税の申告期限よりも先に税務署に申告書を提出している場合があります。
この場合申告期限まで時間があるので、見直していて間違いに気が付くケースがあります。
この期限内に申告書の種類を間違ったことに気が付いたときは「訂正申告」というものをします。
正しい申告書を作り直して申告書の上部に「訂正申告」と手書きするだけです。
消費税の納付自体をしていなければ正しい納付書を書き直して納税してください。
間違った納付書で納付してしまった場合には、不足があれば差額をもう1枚納付書を書いて納税しましょう。
多く納付してしまった場合には、電話で税務署にその旨を伝えましょう。
②消費税の申告期限後に気が付いた場合
この場合には次のようになります。
・税額が多すぎた場合:更正の請求をする
・税額が少なすぎた場合:修正申告をする
・税額が多すぎた場合:更正の請求をする
申告書の種類が異なっていることで税金の計算の仕方が異なります。
そのため簡易課税と本則課税で結果として有利不利がでてきます。
納めすぎた税額が多すぎた場合には、確定申告ではなく「更正の請求」という手続きで正しい納税額との差額を還付してもらいます。
・税額が少なすぎた場合:修正申告をする
こちらは更正の請求の逆で、出した申告書の種類が違うことで税額が増えてしまうケースです。
消費税の修正申告書に正しい計算をして不足消費税を追加で納税していきます。
まとめ
消費税の計算・申告には「本則課税」と「簡易課税」の2種類があります。
本則課税と簡易課税は申告書の種類自体が異なりますので、税務署から郵送されてきた申告書を開けて確認しましょう。
消費税の簡易課税と本則課税の申告書の種類を間違って計算・申告した場合にはすぐに正しい申告を行っていきましょう。
気が付いたタイミングによって「訂正申告」「修正申告」「更正の請求」と手続きが異なるので税理士さんに相談しておきましょう。
税務署から郵送されてきた申告書で確認した場合、本則課税と簡易課税に気が付くのは時間的に遅くなります。
戦略的に有利不利を検討する場合にはすぐに税理士さんに相談しておくことが重要です。
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