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法人決算が終わると株主総会や社員総会を開きます。株主総会や社員総会で前事業年度決算内容の承認と次の株主総会や社員総会までの役員報酬を決めることになります。決算報告を受けて次の役員報酬をどのように決めるべきなのかを考えておきましょう。
新事業年度の役員報酬の決め方【決算と同時に決めるべき事項】
法人決算で多い時期が3月・12月です。
法人の決算期が終わってから2カ月以内に株主総会と法人税の申告などをしていきことになります。
この法人決算が終わってから2カ月以内に決算の内容の確定と併せて、時期の役員報酬についても決めなければなりません。
事前確定届出給与を支給する場合にはその支払日・支払金額まで細かく決めなければならないのです。
1年先の業況なんて誰にも分らないのですが、役員に対しての給与設定は非常に厳格になっているので注意が必要です。
今回は新事業年度の役員報酬を決めるときのポイントを見ていきましょう。
(目次)
1.役員報酬を決めるなら事前確定届出給与を使うか使わないかが重要
2.消費税の影響を考慮に入れた利益予測が重要
3.銀行融資を受ける予定があれば利益を残すプランニングが重要
4.まとめ
1.役員報酬を決めるなら「事前確定届出給与を使う」か「使わない」かが重要
役員報酬は法人決算で「経費」として現れてきます。
会社にとって大きなコストを占める役員報酬を1年分決める必要があるのです。
その役員報酬も大きく分けると「経費で落ちる役員報酬」と「経費で落ちない役員報酬」があります。
誰でも経費で落ちる役員報酬を選びたいのですが、気を付けなければ経費で落ちないものもあります。
その一つに役員のボーナスを経費で落とすことができる「事前確定届出給与」というものです。
役員だってボーナスが欲しいという気持ちがあります。
業績が良くても悪くても毎月定額をもらっていたのでは、モチベーションがあがりません。
さらに節税という観点からも、利益が出たときに役員賞与を経費で落としたいわけです。
ここで経費で落ちる役員報酬も、定期同額給与と事前確定届出給与の2種類があるということを知っておきましょう。
毎月の固定のお給料のことを定期同額給与といいます。
利益が出ても変えることができない「キッチキチ」の固定給です。
定期同額給与は役員賞与を「いつ・いくら・どの役員に支給するか」を株主総会などで決めて、株主総会から1カ月以内に税務署に届出る必要があります。
法人の経費で落とす役員報酬は、「定期同額給与+事前確定届出給与」が「年間の役員報酬」となります。
そのため役員報酬を決める際には「事前確定届出給与」を使うか使わないかをしっかりと検討しておくことが重要になります。
余談ですが銀行融資の関係がない法人の場合には、税務調査リスクを下げる意味でも赤字であることを望む会社も大きいのです。
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2.消費税の影響を考慮に入れた利益予測が重要
役員報酬を経費で落とした後の利益がちょっと黒字や赤字と方向性を決める法人があります。
その際の役員報酬を支給した後が赤字・黒字のシュミレーションをする場合に、消費税の影響を忘れていることがあるので注意しましょう。
特に注意が必要なのは次の2つのパターンです。
①個人事業を法人なりさせたばかりの法人
②設立後3期目の法人
①個人事業を法人なりさせたばかりの法人
個人事業で消費税を納めていた人が法人設立をして役員報酬を決める場合に、個人事業時代の利器をスタートで考えることがあります。
この考え自体は間違いではなく正しいのです。
しかし、消費税を引いた後の利益で考えていたはずなのに法人になった年は消費税が免税でかからないことが多いのです。
そのため役員報酬をとった後で利益がほぼ0円の予定が消費税分利益が残ってしまうケースがあります。
そのことに気が付かないまま決算期を迎えてしまうと通常100万円~200万円程度の利益が残ります。
法人税で30万円~70万円程度の納税になることも出てきます。
それなら役員報酬をしっかりっととっておいた方が後々よかったということになります。
特に設立後3期目の法人はたいてい消費税がかかり始めます。
②設立後3期目の法人
設立後3期目の法人は消費税がかかり始める場合です。
法人経営になれてきたところなので役員報酬の設定で利益を0に近づける方も多いと思います。
そこで消費税の納税が発生するタイミングをうっかり忘れて役員報酬を設定してしまう方がいるので注意しましょう。
税理士さんが付いているケースであれば安心ですが、自分で経理をしている場合に陥りやすいミスです。
消費税の免税機関に比べると消費税の納税分だけ利益がへこみます。
消費税の納税の大きな業態の場合には100万円以上の利益が消費税で飛んでいきます。
役員報酬の設定が高すぎると、社会保険料の負担・個人所得税・住民税の負担も高くなるので注意しましょう。
3.銀行融資を受ける予定があれば利益を残すプランニングが重要
中小企業にとって資金繰りは非常に需要です。
特に銀行や信金などとの付き合い方一つで銀行融資が受けられないという事態に発展してしまいます。
銀行融資があれば節税の財源も納税の原資もあるのに、手持ちキャッシュがないために税金対策もできないままという方もいます。
銀行融資を計画的に使う場合には、融資を受けたいタイミングでは黒字で決算を終わらせた方がベターです。
役員報酬の決定と銀行融資を受ける計画はセットで検討して、役員報酬を設定しておきましょう。
4.まとめ
新事業年度にはいって2カ月以内に役員報酬の改定と事前確定届出給与を決めなければなりません。
その際には利益コントロールと資金調達のタイミングなどもセットで検討しておきましょう。
消費税の影響で利益が増減するケースもあるので事前に税理士さんと相談しておくことが需要です。
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