法人の決算期の決め方【3月・12月ではない理由とは】
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会社設立をして法人を作る場合、重要になってくるのは「決算期」というものです。実は決算期は会社の任意で決めることをご存知でしょうか?3月決算・12月決算の法人が多いからといって適当に選ぶと損をしているかもしれないのです。
法人の決算期の決め方【3月・12月ではない理由とは】
会社設立をする場合に個人事業を法人化する法人なりというものとサラリーマンから会社設立をして法人を作るケースがあります。
法人を設立する手続き自体はそれほど難しくなく、自分で会社設立をしてしまうかたも多いのです。
書類ベースでの会社設立は簡単にできるのですが、経営的な部分を考慮に入れた会社設立となると話は別です。
税理士さんに相談しながら会社設立をしていないケースや創業に力をいれていない税理士さんに頼んだ場合によくある間違いがあります。
それは会社の決算期を戦略的に使っていないというものです。
会社の決算期だけで会社の資金繰りや節税にも大きな影響を与えてしまうのです。
今回は法人の決算期の決め方を考えてみましょう。
(目次)
1.法人の決算期は何で定めているのか
2.法人の決算期でこんなに違う
3.決算期を変える方法と注意点
4.まとめ
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1.法人の決算期は何で定めているのか
会社設立をするときに会社の事業年度というものを定めます。
株式会社や合同会社設立の際に「定款」というものに「事業年度」というものを定めています。
この定款に記載した事業年度で会社の決算期が決まっています。
一般的に多い決算期は3月と12月です。
個人事業の方が法人を設立すると切れのよいタイミングが1月スタート法人となるため、12月決算法人が多くなります。
消費税の免税期間をフルに使う都合上12月決算は最低2年間続きます。
そのまま12月決算を継続する方も多いので12月決算法人は多いと感じます。
3月決算法人が多い理由は、大手が3月決算だからという理由の気がします。
なんとなく法人=3月決算という感覚がTVの影響などであるのではないでしょうか。
親会社が3月決算の場合、子会社もその影響で3月決算としているケースもあります。
税制改正の影響をいち早く取り込むという場合には3月決算法人とすることも考えられますが、一般的に自分たちで会社を作るケースではほぼ皆無と感じます。
なんとなく4月スタートの3月決算法人という方も多いのではないでしょうか。
2.法人の決算期でこんなに違う
節税をしたいと考える方は多いのですが、決算期を変えるだけで節税ができるケースが多いことはあまり知られていません。
会社の繁忙期に決算期が設定されていると節税ができないまま利益を残してしまうのです。
建設業など締め・支払までに1か月から3か月のタイムラグのあるケースを考えてみましょう。
繁忙期に売上が大きくなり、利益も伸びます。
しかし、この部分の入金は翌月~3か月後です。
「節税をする=経費を使う」ということになるので、お金が必要なのです。
この入金が遅れてくるために節税をするための資金がないのです。
そのため、入金のタイミングで常に納税中心で節税や設備投資ができない会社になっているのです。
(決算期を変えるだけでできる節税は多い)
①最終月に利益が500万円でるケース
最終月に利益が500万円でる場合、翌月か翌々月あたりに500万円分の現預金が増えます。
しかし、納税で約25%程度のお金は税金として消えてしまうため、残りが370万円くらいの現金増加しかありません。
②事業年度変更をして利益が出た月の3か月後を決算期とした場合
繁忙期の影響の入金が決算期よりも1か月から2か月前におこります。
今回のケースでは500万円がまるまる残っていることになります。
この500万円を使うと、倒産防止共済で240万円の損金(経費)を作ることもできます。
事前確定届出給与を設定しておけば役員賞与を経費で落とすこともできます。
一般的な会社でも役員賞与として100万円以上とっても大きな問題は起きてきません。
従業員さんよりも高くとも「100万円の賞与が不相当に高額」といわれることはほぼないと考えられるからです。
生命保険を使った節税をすることもできます。
会社の経営上の体力をつけるための節税はとても重要なことです。
会社の体力がなくなってしまい、事業継続ができなくなる方が税収も下がり、従業員雇用も守ることができなくなってしまいます。
3.決算期を変える方法と注意点
決算期変更の手続きはとても簡単です。
株主総会や社員総会で「会計期間の変更(事業年度変更)」の決議をするだけです。
公証人の認証や法務局といったところに出向く必要がないのです。
次に、決算期を変える注意点を見ていきましょう。
決算期変更をする際に注意する点は
①変更によって事業年度が1年を超えないようにする
②消費税の簡易課税・本則課税などの影響に注意する
③事業年度変更により売上が下がって見える
消費税に関する部分は計算が面倒になることが多いので税理士さんにしっかりと相談した方が安全です。
税理士さんですら消費税の判定は相当注意しなければ間違ってしまいます。
銀行融資を検討している場合、事業年度を変更する年の売上が下がりやすくなるので注意しましょう。
3月決算法人を5月決算に変更する場合、4月・5月の2カ月間だけの事業年度が1回だけ出てしまいます。
このタイミングで銀行融資を打診ししまうと売上が極端に小さくなってしまいます。
担当者の理解が得られればよいのですが、売上が下がったり赤字なるケースは注意しましょう。
4.まとめ
事業年度はいつまでも同じである必要はありません。
事業年度変更で資金繰りが改善したり、節税できることが増えるケースも多いのです。
事業年度変更によるメリットの大きさは会社によって異なるので税理士さんに相談しながら進めることをおすすめします。
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