健康診断や人間ドッグは経費で落ちるのか?【見解が分かれるポイントとは】
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個人事業でも株式会社や合同会社でも会社経営に健康は必要になります。この健康診断や人間ドッグは税務上どのように取り扱われるのかを考えてみましょう。
健康診断や人間ドッグは経費で落ちるのか?【見解が分かれるポイントとは】
会社経営上重要なものは「人材」です。
人材が健康であることが会社の活力になります。
社長の健康も従業員さんの健康も会社が成長していくためには必須です。
今回は健康管理に必要な「健康診断」や「人間ドッグ」が税務上どのように取り扱われるのかを考えてみましょう。
健康診断は法律の義務【役員には会社が受けさせる法律上の義務はない】
サラリーマンなど勤務時代は毎年健康診断がおこなわれていたと思います。
検診バスがやってきてみんなでレントゲンを撮ったり、健康診断のために病院に向かって検診をおこなったりしていたはずです。
この健康診断をおこなう根拠は法律で定められています。
この健康診断の義務は「労働安全衛生法」という法律に基づきます。
(労働安全衛生法規則第43条:雇入れ時の健康診断・規則第44条:定期健康診断)
1.既往歴及び業務歴の調査
2.自覚症状及び他覚症状の有無の検査
3.身長※、体重、腹囲※、視力及び聴力の検査
4.胸部エックス線検査※
5.血圧の測定
6.貧血検査※(血色素量及び赤血球数)
7.肝機能検査※(GOT、GPT,γ-GTP)
8.血中脂質検査※(LDLコレステロール、HDLコレステロール、血清トリグリセライド)
9.血糖検査※
10.尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
11.心電図検査※
※は定期健康診断時に医師が必要でないと認める際には省略できる項目
労働安全衛生法に労働者に対する措置として定められています。
労働者とは、事業または事務所に使用されている者で、賃金の支払われる者のことをいいます。(労働基準法第9条)
一般的なイメージでいうと従業員さんは雇入れ時や定期的に健康診断を行わなければならないということになります。
定期検診は1年以内ごとに1回おこなうことが義務付けられています。
労働安全衛生法という法律は役員など労働者以外に対して適用される法律ではないので、法律により健康診断を受けさせなければならないものは従業員ということになります。
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健康診断は経費で落ちるのか?【家族の健康診断も経費で落とせるのか】
法律で健康診断を定めている以上、従業員さんへの健康診断は経費になります。
健康診断は一般的には「福利厚生費」という経費で落としていきます。
福利厚生費という経費で落とすことができると「会社は経費」・便益を受けた従業員は「所得税・住民税などがかからない」というメリットがあります。
お互いに税金がかからないのでハッピーなのです。
ただし、高額な健康診断を経費で落としてよいのかというと高額なものは賞与として取り扱われると考えられています。
一般的な福利厚生の要件を見ておきましょう。
(一般的な福利厚生費の要件)
①特定の者だけを対象としたものでないこと
②高額すぎないこと
一般的に「これくらい大丈夫」と思っているものでも「福利厚生費としては認められないもの」というものもあるので注意しましょう。
たとえば、従業員の配偶者も健康診断の対象としたらどうでしょう?
従業員さんが一生懸命働けるのは家族の健康あってこそです。
個人的にはとても従業員重いの良い会社だと思います。
しかし、現時点では従業員の配偶者の分の健康診断費を負担しているケースもありますが、まだ一般的とはいえないと考えられているため「その対象となる従業員さんの賞与」として課税される可能性が高くなります。
今後、従業員の配偶者も健康診断の対象とする会社が増えて社会的にも「アリ」と認識される風潮になると福利厚生費として認められやすくなってくるでしょう。
人間ドッグは経費で落ちるのか?【役員の人間ドッグは経費になるか】
健康診断と似ていますが「人間ドッグ」は経費で落ちるのでしょうか?
健康診断は法定検診で検査項目も限られています。
人間ドッグとなると健康診断よりも金額的に高額になることと、検査項目が増えてきます。
健康診断は福利厚生費として認められるけども「人間ドッグは経費で落ちない」と思っている方も多いはず。
税理士さんや会計事務所に聞いても「人間ドッグは経費で落とせない」という人もいると思います。
人間ドッグも一定の要件を満たすと経費で落とすことができると考えられます。
(人間ドッグが経費になる要件)
①年齢制限などを設けてもよいが、条件に該当する全員が受信すること
②人間ドッグの検診内容が健康管理上必要であること
※役員だけが人間ドッグを受けている場合などは、役員に対する賞与として課税されるリスクが高くなるので注意してください。
役員も従業員も仕事が忙しくなると自分で病院に行く機会が減ってしまいます。
会社が健康管理をすることで企業としての競争力を維持・向上させていくことができます。
そのためには一定の年齢以上になった役員・従業員に対して人間ドッグを実施することは妥当性があると考えられます。
(法人加入の生命保険加入理由を考えても健康管理は重要)
会社で医療保険やがん保険に加入しているケースなどもあります。
生命保険への加入は節税のためだけではありません。
法人が生命保険に加入する大原則は人的損失に対するリスクヘッジです。
そう考えると、会社側が毎年の人間ドッグなどの健康管理をする理由はあります。
早期発見・早期治療によって会社のリスク防衛をすべきです。
生命保険に加入している会社の場合、受信結果によっては会社加入の保険に対する影響も出てきます。
まとめ
従業員に対する健康診断は労働安全衛生法という法律によって年1回は実施する義務があります。
健康診断は役員に対するものを含めて福利厚生費になります。
人間ドッグは特定の人だけを対象としない場合には、経費で落とすことができます。
健康診断の結果によっては、会社加入の生命保険にも影響するので健康管理はしっかりとおこないましょう。
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