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個人事業のまま行くか法人設立をするかを悩む経営者も多いはず。法人設立をしないまま個人事業を継続した場合のメリットを考えてみましょう。
個人事業主のメリットを再確認【会社設立にしない理由】
個人事業を続けていると周りから「法人設立しないの?」ということを聞かれることが増えてきます。
個人事業主のまま確定申告をしていくほうが法人設立をするよりも良いケースもあるのです。
なんでもかんでも会社設立を法人で行うことが必要ではないので、個人事業主のメリットを再確認してみましょう。
会社設立に株式会社・合同会社などの法人を選ぶ理由から考える
会社設立というと法人設立のことを指しているケースが多いので今回は会社設立という言葉を使っていきます。
「会社設立をした方が良いのでは?」という人が多いのには、会社設立の税務面のメリットに注目しているケースがあります。
では、会社設立によるメリットとして一般的に考えられているものを見てみましょう。
①個人事業主が会社設立で法人化すると2年間の消費税免税になる
②会社設立によって法人化すると上限の税率が所得税・住民税の合計よりも低くなる
③会社設立によって法人化すると生命保険などを活用した節税ができる
④会社設立によって法人化すると社長や家族にも退職金が出すことができる
⑤会社設立によって法人化すると社長も社会保険に加入することができる
⑥会社設立によって法人化すると個人事業主にくらべて人材確保で有利
⑦会社設立によって法人化すると新規営業をする場合に個人事業主に比べて有利
⑧会社設立によって法人化すると決算期が選択できる
⑨会社設立によって法人化すると会社の売却が株式などで行うことが可能
⑩会社設立によって法人化すると経営者が代わっても事業継続が容易
こう並べてみると、会社設立をして法人化することでたくさんのメリットがあることがわかります。
周りの人が「会社設立して法人化しないの?」と心配することには正当な理由があるようです。
では、個人事業主として事業を続けるメリットは全くないのか心配になってきました。
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あえて個人事業主を選択し続けるメリットを考える
会社設立によるメリットがたくさんある中で、個人事業主を続けるメリットを考えてみましょう。
個人事業主のメリットは次の点が挙げられます。
1:個人事業は確定申告の手続きが簡単
2:個人事業主は事業用の固定資産を売却した場合に税負担が低くなりやすい
3:個人事業主は保険金をもらった場合に非課税になることがある
4:個人事業主は事業廃止の手続きが簡単
5:個人事業主は会計ソフトが低価格
6:個人事業主は税理士顧問料も法人に比べて低料金
7:個人事業主は人数次第で社会保険に加入しなくてよい
8:個人事業主は税務調査に当たる可能性は法人に比べて低い傾向
個人事業主の場合には株式会社や合同会社などの会社設立をしたケースに比べると、事務手続きや事務コストが低くなる傾向にあります。
いきなり会社設立をして法人経営をすると、事業が立ち上がる前から事務コストの高い経営をしていくことになります。
さらに、税務調査も個人課税の調査よりも法人課税の税務調査のほうが数が多くなります。
税務調査の可能性も高くなるので、事務に対するレベルも個人事業主よりも法人のほうが高くなければなりません。
個人事業主としてメリットのある人とは?
個人事業主のメリットは税務や経理が簡単ということになります。
一般的に個人事業主であることにデメリットが出ない場合には、経理・税務知識が簡単なので会社運営は個人事業の方にメリットがあります。
個人事業主を続ける場合にデメリットが出るかどうかは、会社設立によるメリットを考えると見つかります。
①売上規模が1,000万円以下であれば個人事業でも損得は出ない
消費税の免税期間を会社設立によって伸ばすという節税方法がよく知られています。
消費税は売上高が1,000万円を超えて2年後から納税が発生する仕組みになっています。
売上が1,000万円を超えた場合、翌年中に会社設立をして法人化することで個人事業で消費税を納めなくてよいということになります。
さらに法人の方でも、売上が1,000万円を超えていても原則として2期は免税になるので会社設立のメリットが高いと考えられているのです。
ところが、個人事業自体の売上が1,000万円以下であれば元々消費税の納税がないので会社設立をしなくても問題ないのです。
②事業利益はある程度高くても法人税率よりも低いことも
財務省の資料によると、法人税の基本実効税率は23.4%となっています。
中小法人の法人税の実効税率は平成29年4月以後は19%となっています。
住民税の税率は一律10%となっていますから、法人税の税率をもとに考えると(23.4%-10%=13.4%)よりも所得税率が低ければ個人事業でも問題が少ないといえます。
所得税では課税所得が600万円の場合で、税率は復興特別税を含めても約13.14%となっています。(事業税は考慮に入れていません)
課税所得は売上ではなく、事業の利益から社会保険料控除や生命保険料控除・扶養控除・配偶者控除・基礎控除などの所得控除を引いた後の金額のことをいいます。
そうかんがえていくと、事業の利益としては700万円以上あったとしても法人税よりも低い税率になるケースも多いのではないでしょうか。
③毎年大きな利益がなければ個人事業主でも大きな影響はない
会社設立をしても高額な退職金を用意できるかは別問題です。
会社設立をして法人化した場合でも、退職金を出すことができない会社も多いのです。
つまり、会社設立をして退職金を経費で落とすことができるとしても退職金を支払う資金がなければ法人でも退職金は出せないのです。
個人事業の場合でも、小規模企業共済を活用することで節税しながら退職金の準備をすることは可能です。
④個人事業主の場合でも年金を増やす方法はある
個人事業主は社会保険に加入することはできませんが、iDeCo(イデコ)や国民年金基金などで節税しながら年金を増やすこともできます。
社会保険料のように給与の額で負担額が変わるものではないので、自分で予算を決めることができます。
⑤個人事業主でも通常の採用・得意先営業には問題が少ない
会社設立をして法人化しなければ優秀な人材確保が難しいという話があります。
第三者の高学歴な人材をリクルートする場合には株式会社などの法人の方が有利といえます。
しかし、個人事業を法人化したような「ほぼ個人事業」という法人の場合には個人事業主と採用活動に大差がありません。
新規の飛び込み営業のような場合には、法人でなければ取引してもらえないことがあります。
勤務先から独立して、取引先をのれん分けしてもらった場合など得意先がある場合には個人事業主でも影響がないことがあります。
まとめ
個人事業主のメリットは経理・税務知識面で法人よりも簡単になっています。
個人事業主のメリットは税理士顧問料が法人よりも低くすみます。
個人事業主のメリットは法人に比べて税務調査に当たる確率が低くなる可能性があります。
個人事業主のメリットは開業・廃業手続きが非常に簡単です。
個人事業を法人化するかどうかで悩まれている場合には税理士さんに相談しましょう。
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