キャバクラやニュークラ・クラブは経費で落ちるのか?
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キャバクラ・ニュークラ・クラブ・ラウンジなど会社の付き合いで利用する機会の多い会社もあると思います。ただ、こんなに高額なキャバクラ代を経費で落として大丈夫か不安になっている方も多いのではないでしょうか?
キャバクラ・ニュークラ・クラブ・ラウンジは経費で落ちるのか?
得意先の部長さんや現場担当者と会社近くの居酒屋で一杯やりながら仕事の打ち合わせをしたり、親睦を深めたりします。
これなら会社の経理も経費として認めてくれるだろうと心配することもなく領収書をもらって経理に回していると思います。
ところが、高級クラブやニュークラ・キャバクラという金額の高額になるお店になると「果たして経費で落ちるのだろうか?」と不安になってきます。
家族経営で奥様が経理をすると、クラブやニュークラ・キャバクラ・ラウンジなどの領収書を出しにくいので税理士さんに経理もお願いしている会社もあるほどです。
家族経営の法人などであれば経理の奥様に領収書を出す方が怖いのですが、経費で処理しなければ税金が多くなってしまうのでなんとか経理してもらっている人も多いと思います。
経理担当も怖いのですが、なんといっても経営者にとって一番怖いのは税務調査です。
キャバクラが経費で落ちなければ、税務調査でどんな酷い目に遭うのかを考えると夜も眠れなくなります。
根拠もなしに「大丈夫だろう」や頭ごなしに「キャバクラは経費になる」といわれても不安は募るばかりです。
今回はキャバクラなどが経費で落ちるかどうかのポイントをしっかりと押さえておきましょう。
1:キャバクラは経費で落とせるのか~法人税編
キャバクラ・ニュークラ・クラブ・ラウンジはなぜ税務調査でチェックされるのか?
キャバクラなどがなぜ税務調査の際に細かくチェックされるかというと「ひっくり返すことができれば大きな課税ができる」からです。
役員の給与(賞与)として課税することで法人税・所得税の両方から税金が取れる!
高級クラブやキャバクラに行くことができるのは「平社員」ということは少ないと思います。
それだけ高額な飲食代を使うことができるのは、ある程度の役職についている人になります。
中小企業の場合には、社長・取締役などの役員になります。
そのため「会社の経費として認められない」ということになると「社長や役員へのボーナス(役員賞与)」となる可能性が高いのです。
普通の社員の場合には「ただの従業員に対する賞与」となります。
ここでのポイントは「会社の経費と認められない=役員賞与」となるケースです。
法人税法上、役員に対する賞与は法人税の計算上経費になりません。
さらに役員個人の所得税・住民税も高くなります。
一方、従業員に対する賞与は法人税法上経費になります。
ただ、従業員さんの所得税・住民税は高くなります。
ポイント:キャバクラやニュークラなどの飲食代は「会社の経費として認められること」が一番重要
交際費とは何か?
法人税で「交際費」は特別な経費です。
今でこそ経費で落ちる枠が広がりましたが、昔は交際費の10%は法人税法上経費で落ちないというものでした。
税理士事務所の担当者の中にも交際費を法人税法の規定だと思っている方がいるかもしれませんが、法人税法の規定ではありません。
交際費課税の部分は「租税特別措置法」という別な法律で規定しています。「租税特別措置法61条の4(交際費等の損金不算入)に定めています」
交際費の定義は次のようになっています。
交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(以下この項において「接待等」という。)のために支出するもの(次に掲げる費用のいずれかに該当するものを除く。)をいいます。
一 専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用
二 飲食費であつて、その支出する金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額が政令で定める金額以下の費用 など
交際費等の額のうち接待飲食費とは、交際費等のうち飲食その他これに類する行為のために要する費用(専ら当該法人の役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除く。)であつて、その旨につき財務省令で定めるところにより明らかにされているものをいう
この定義から言えることは、次のことです。
①事業に関係のある人に対する接待・慰安・贈答などは交際費に該当する
②交際費に該当しないものは、もっぱら従業員にたいする慰安目的の運動会・旅行等で通常要する費用までのもの(福利厚生費)
③専ら会社の役員・役員親族のための飲食代は交際費にならない
キャバクラ代が会社の経費として認められるためには?
1stステップ:会社の経費かどうか
最初のステップとして「交際費が会社の経費」かどうかが重要になります。
当たり前のことを言っていると思われるかもしれませんが、これが重要なポイントです。
「会社の経費=会社の事業として支出すべきもの」ということです。
これが会社の経費ではないということになると社長や役員の個人的支払いを会社が行ったということになります。
こうなると会社の経費ではないものを支払ったので、役員に対する賞与として課税されることになります。
2ndステップ:事業に関係のある人に対する接待かどうか
社長が個人的に好きなお店に一人で通っている場合は、1stステップの段階でアウトになります。
キャバクラの飲食代でも事業に関係のある人への接待であれば交際費として主張していくことができます。
事業に関係のある出費・取引先等であることを記録しておく
会社の経費ということは、事業に関係のある出費ということになります。
事業に関係のある出費であることを記録しておく必要があります。
キャバクラに同席した人の氏名・会社名なども記録しておきましょう。
少し恥ずかしい気もしますが、事業に関係のある出費ということを数年後に説明する羽目になるのでここは頑張りましょう。
実際の税務調査では。参加者が事業に関係のある人で情報交換をしていたり、取引関係があるということを説明した場合より具体的にどういった関係かを聞かれます。
記録をし忘れていて慌てて適当な名前を書いてしまったりすると、反面調査で相手方に聞かれたりすると恥ずかしいことになるのでやめましょう。
例えば、事業の関係性については次のように説明できるようにしておきます。
・○○という物件の紹介をしていただいた方
・○○さんは自分の業界情報を提供してくれる方 など
実際に経営上有効な情報や人脈であることをしっかりと説明する必要があります。
2:所得税編~個人事業主と「キャバクラ」は経費で落とせるのか
基本的には法人税と同じ考え方が強いと考えられます。
ところが所得税法は非常にグレーゾーンが多くなります。
法人は営利目的の行動をするというのが原則的考え方です。
個人事業主は人ですから、すべてが営利目的の行動ではなく消費者としての個人も兼ね備えてしまっています。
そのために経費だと思っていたものが税務調査で認められないという「まさか」が起きてトラブルに発展してしまうのです。
税務調査の際に交際費の部分で、調査官が事業と直接的関係のない交際費は経費にならない旨を主張してくることがあります。
極端な話をいうと、手土産は原則として経費にならない。
売上になる紹介をもらったから贈答品を渡した場合だけ経費になると主張することもあるようです。
ここで事業所得の考え方を条文に沿ってみておきましょう。
所得税法37条1項で事業所得の経費を次のように定めています。(別段の定めがあるものを除きます)
①所得の総収入金額にかかる売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額
②販売費・一般管理費その他所得を生ずべき業務について生じた費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く)の額
接待交際費は①の売上原価でも売上と直接対応関係のある費用でもないことは明白です。
この時点で先ほどのお土産や交際費が①の種類の経費でないことがわかります。
売上と直接の紐が付かなければ経費にならないという主張には無理があります。
ただ、しっかりと税法を理解して説明してくれる税理士さんがついていない場合には押し切られてしまうかもしれません。
ここで個人事業主の交際費についての有力な判例があるので押さえておきましょう。
平成21年東京地方裁判所での判決です。
この判例の中でも個人事業の接待交際費は①の種類の経費ではないと判断しています。
問題は②の必要経費の考え方です。
②の必要経費は事業をおこなっていることで投下した資本を回収するための支出が必要経費という考え方をしています。
個人事業主は消費者としての支出と投下資本回収としての支出の2種類の支出があるため、必要経費と家事費とを明確に区分すべきものとしています。
必要経費として経費で認められるものは、
①事業と直接関係すること
②業務の遂行上必要であること
この判断には事業主の主観的判断ではなく、事業の業務内容等個別具体的な諸事情に即して社会通念に従って客観的に行われるべきとされています。
個人事業主にとっては非常に厳しい判断になってきます。
なんといっても今回は「キャバクラが経費で落とせるのか」という点です。
事業と直接関係のある支出という点では事業と関係のある人の参加が必要になります。
一番は「業務遂行上必要であるかどうか」が争点になってきます。
キャバクラに行かなければ業務が滞るのかどうかを具体的個別的事情に照らしてどうかを見ていかなければなりません。
さらにキャバクラに連れていくことが社会通念上普通かどうかということを客観的に判断すべきということになります。
一緒にキャバクラに行った取引先が「キャバクラが好き」というのが一つの根拠になります。
ものすごく売り上げに貢献してくれている取引先がキャバクラが好きであれば接待をして売上を伸ばすことに妥当性はあります。
さらに事業上有効な情報をくれたり、多大な売上をもたらしているのであれば業務遂行上も必要といえるわけです。
ただし、税務調査の際には非常に難しい交渉を強いられることがあるので税理士さんに相談しておくことが重要です。
まとめ
・キャバクラを経費で落とすためには個人・法人とも税務調査で重点的にチェックを受ける可能性が高いので注意しましょう
・法人の場合には否認されると役員賞与としてダメージの大きい課税になるリスクがあります
・同席した人の取引先の関係・氏名などを記録しておきましょう
・キャバクラは非常に難しい経費になるので税理士さんに相談しながら経理処理をしていきましょう