建設業に税務調査は来る?!~建設業の脱税ってあるの?~
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税務調査と聞くと身震いが出るほど怖いものと感じてしまいます。建設業の方は税務調査なんて来ないとタガをくくっている方も多いかもしれませんが建設業にも税務調査はしっかりと来ます。税務調査がいつきてもよいようにしっかりと経理をしておきましょう。
建設業に税務調査は来る?!~建設業の脱税ってあるの?~
税務調査と聞くと経営者は背筋がピンとなってしまいそうですよね。
できれば一度も経験したくないものが税務調査です。
一般的には3年から5年で定期的な税務調査といわれていたりしますが、税務調査にあたらない会社は10年以上たっても一度も税務調査に当たらないということをご存知でしょうか?
税務署では適正に精査をして調査選定をしているということですので、何かしらの基準をもとに税務調査の調査対象を選定しています。
建設業は「税務調査が来るのか?来ないのか?」気になるところです。
特に建設業の一人親方の場合、日中家にいることはほとんどありません。
建設業の場合には、一人親方でなくても日々現場に出向いていてなかなか事務所や自宅に戻っていないことがほとんどです。
こんな忙しい建設業に税務調査は来るものなのでしょうか?
そして、建設業に脱税というものがあるのか気になるところです。
今回は建設業の税務調査についてみていきましょう。
建設業にも税務調査はしっかりとくる
結論からいうと税務調査は建設業にも入ります。
一人親方の場合でも数人で事業を行っている建設業でも税務調査はしっかりと入ります。
ある朝突然「税務署です」と事務所や自宅の前に来る税務調査は少ないと思います。
一般的に事前通知というものがある税務調査が主流です。
税務署から社長の携帯電話や事務所の電話に「○○税務署です」と電話連絡が入ります。
社長の携帯電話を届出書などに記載している場合や、以前税務署の連絡を取るときに携帯電話を税務署に知らせていると社長の携帯電話も税務署は知っているので連絡してきます。
顧問税理士がいる場合や、確定申告・法人税決算時だけのスポット契約で税理士に依頼している場合にも、税理士事務所に税務署から電話連絡が入ります。
お客様の方に先に連絡をいれる場合と税理士事務所に先に連絡を入れる場合があります。
社長に先に連絡が来た場合には慌てずに、「税理士さんと相談してから連絡させてください」とお伝えして問題ありません。
社長の日程だけを見て税務調査日程を決めてしまうと税務調査の事前準備や税理士さんの日程調整がつかなかったりしてしまうので注意しましょう。
一度決めた税務調査日程は変更するためには理由の通知など様々な手間がかかってしまいます。
税務調査を断ることはできるのか?
「税務調査を断ることができるのか?」と誰もが疑問に思うことです。
むしろ「税務調査を受けなければいいのでは?」と考えてしまう人もいるはずです。
一般的な税務調査は次のような位置づけです。
通常の税務調査は任意調査となっています。
ただし、任意調査といっても正当な理由がなく拒否をすると1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科されてしまいます。
税務調査で虚偽の帳簿書類を提示した場合にも、同様の1年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
そのために任意調査といっても強制されているのと似ていることから間接強制という言われ方をしているわけです。
つまり、実質的に税務調査から逃れることができないということです。
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そもそも「建設業の脱税」とはどんなもの?
建設業の脱税というと大げさな話になってしまいますが、一般的な感覚の脱税とは次のものだと思います。
一般の人の脱税の認識:税務調査に入られて追加で税金を払う羽目になった
脱税と聞くと、さも悪いことをしている感じがします。
本当の脱税であれば大問題です。
しかし、税務調査で追徴で税金を払っているものすべてが脱税ではありません。
むしろ脱税ではないものの方が多いかもしれません。
【本当の意味で脱税ではないもの】
①見解の相違
②経理ミスや経理知識の不足
③税務知識の不足
本当の脱税ではないケース①見解の相違
TVなどでも「会社側は見解の相違がありますが、すでに修正申告を終えています」というものをご覧になったことがある方もいるはず。
見解の相違というものは、次のような場合に発生します。
その1:会社側では問題のない経費として処理していたが、税務調査で経費性を否認された
その2:会社側では適正な金額による取引と判断していたが、税務調査で低価格や高額すぎる取引として否認された
その3:会社側では問題のない取引形態と考えていたが、税務調査の際に通常あり得ない取引として取引自体を問題視された。
会社側では問題ないと思っていたものでも、税務調査の際に意見が食い違うことが多々あります。
会社側では税務調査が長引くことや取引先への反面調査で迷惑をかけたくないということで、自主的に修正申告で早期に調査を終了させる場合もあります。
②経理ミスや経理知識の不足
経理のミスはどの会社にも起きうる問題です。
繁忙期に決算がある場合などは、経理ミスのチェックが甘くなってしまったりします。
代表的な経理ミスや経理知識の不足で起きるトラブルは次のものがあります。
その1:数字の打ち間違いや、請求漏れなども経理ミス
会計ソフトへの入力間違いがおきると、会社の利益や消費税の計算が変わってくるので修正申告で追徴税が発生する要因になります。
その2:現場の仕掛がわからずに外注費や材料費・お給料を経費処理していた
在庫や仕掛についてはしっかりと対応していなければ税務調査で必ず引っかかります。
なにが仕掛になるのかを税理士さんに教えてもらうことが重要です。
その3:入金時に売上・支払い時に費用として処理していた
売上を入金時に売上として処理・経費処理は支払い時に処理している会社があります。
これはよくある経理ミスなのですが、所得税・法人税だけではなく消費税にも大きな影響を与えることがあります。
どのタイミングで売上が上がるのかを税理士さんに相談しておくことが重要です。
③税務知識の不足
社長や経理担当者に税金に対する知識が不足していると気が付かない間に税務的な間違いを繰り返していることがあります。
経理上は経費として正しくても、税務的に経費として認められないものなどがあります。
代表的な税務知識不足によるトラブルは次のものがあります。
その1:役員報酬の改定時期を知らずに増減していた
役員報酬の改定時期は細かい規定があります。
改定時期を間違うと増額改定部分が法人税法上経費にならないこともあるので注意が必要です。
その2:キックバックを外注費として処理していた
建設業に多いキックバックですが、このキックバックを外注費として処理していると税務調査で大きなトラブルになります。
最悪の場合、重加算税案件として主張してくることもあるので注意しましょう。
その3:奥様や親族は役員登記をしていなくても役員になることがあることを知らなかった
案外知られていないのですが、法人税法上の役員とは法務局で登記した人だけではありません。
一定の要件に該当する奥様や親族も役員に該当することがあります。
これを「みなし役員」といいます。
みなし役員に該当すると、さきほどの役員報酬の改定時期の問題が出てきます。
役員と考えていなかったので節税で奥様にボーナスを出していたりすると税務調査ですぐに指摘されてします。
こちらの追徴税については、重加算税という重たいペナルティーの対象というよりも過少申告加算税という小さなペナルティーがつく追徴税になります。
この本当の意味での脱税ではないものは、会社側が自主的に修正申告という申告をして税務調査が完了することがほとんどです。
【×本当の脱税に該当するもの】
①売上の除外
②架空経費の計上
③意図的な資料や勘定科目の仮装・改ざん・棄損など
※利益があるのに確定申告をしていないものも脱税に該当します。
どちらかというと、重加算税という非常に重たいペナルティーの対象となるものです。
法人税の申告や消費税の申告・個人の確定申告をしなければならない人や会社が確定申告をしていないことも脱税といってよいでしょう。
この場合には、無申告加算税というペナルティーもありますので注意しましょう。
最近の税務調査では、重加算税の対象となる間違いがないかを丁寧に調査されています。
①売上の除外
建設業でもエンドユーザー(一般家庭)を相手に仕事をしている会社によく見受けられるものです。
BtoBといわれる、事業者同士の取引であれば片方は売上として処理し、もう片方は経費として処理したりします。
税務調査が入る可能性がお互いにあるわけです。
しかし、一般家庭を対象にしたものは一般家庭に税務調査が入ることはほぼありません。
つまり、工事をした業者側の税務調査で発見しなければ見つけられないことになります。
そのため一般家庭の工事を行っている建設業の場合には、その会社の税務調査を定期的に行わなければならないのです。
これ以外にも売上の振り込みを社長個人の通帳に行ってしまうなど脱税の手口も様々です。
②架空経費の計上
架空経費の計上には様々なケースがあります。
・現場に来ていない作業員の名前を使って給料を払ったことにする
給料を払ったことにして、実際は経営者が自分で使っているような場合です。
・現場で使っていない外注に経費を払ったようにする
実際に払っていないのに払ったことにして経営者がお金を使ってしまう場合や、多く支払ってから一部を戻してもらうケースもあります。
・経費にならないものを経費で処理する
事務所の改装工事は経費にならない部分多くなりますが、全額を経費として処理してしまうケースなどもこれに該当します。
私的な支払いを経費として処理する場合も同様にこちらのケースです。
③意図的な資料や勘定科目の仮装・改ざん・棄損など
架空経費や売上除外をするための手段として資料の改ざんなどを行うケースがあります。
正常な取引に見せるために架空の資料を作成したり、一部の書類を破棄したりする会社があります。
上記の「売上除外」「架空経費の計上」も問題ですが、③の「意図的な資料や勘定科目の仮装・改ざん・棄損」は悪質度合いが高まります。
まとめ
建設業にもしっかりと税務調査はやってきます。
建設業の中でも一般消費者を対象に現金回収がある業者については、脱税が起こりやすい環境ですので税務調査の際にもしっかりとチェックされます。
脱税は犯罪ですので、疑われないようにしっかりと税理士さんと相談しながら経理を整えることが重要です。
税務調査が入る場合には元請け先や取引先にも税務署が実態確認に行くことがあります。
これを反面調査といいます。
この反面調査が元請け先や取引先にいくことで取引関係に悪影響になる場合もあるので、日ごろの経理・確定申告が重要です。
建設業の税務調査トラブルで多い外注については「建設業必見!税務調査の外注トラブルに注意!」をご覧ください。
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