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確定申告を自分でできればコスト節約にもなるので得した気分になりますが、大きなリスクを抱えてしまうこともあるので注意しましょう。確定申告によくある間違いにお金が入ったら売上だと思っていて痛い目を見る方がいらっしゃいます。
確定申告時期になってから慌てて帳簿をつける方が多いのですが、なぜか毎年確定申告時期に慌てるという習慣は治りません。
「確定申告時期に慌てる=手あたり次第片づける」ということになってしまうために間違いに気づきにくいというリスクがあるのです。
今回は「売上=お金が入ってきたとき」と勘違いしていたために税務調査で痛い目を見る方が多い部分にスポットを当てていきます。
自分でやる確定申告の失敗談⑤~お金が入っていないのに売上?!~
自分で行う確定申告で税務調査でのトラブルが多いのが売上計上時期!
簿記検定の3級・2級と試験を受けていても、売上をいつ計上すべきかということはよくわかっていないことが多いのです。
なぜなら試験上では「売上は○月○日に」と与えられるからです。
さらに会計ソフトはここまで判断してくれないのです。
そのために自分で考えて売上を帳簿上計上していくことになります。
その際に間違いが起こる可能性が上がってきます。
税務署は間違いを見つけることを仕事としているわけですから、間違う時のポイントをしっかりと押さえて税務調査を行います。
すぐに売上の計上時期のズレや計上漏れが見つかってしまうというわけです。
特に売上の計上漏れを指摘された場合には、重加算税という重いペナルティーの課税を受けるリスクもありますので注意が必要な項目です。
お金が入ってきたときが売上の計上時期ではない!
「お金が入っていないのにどうやって税金を払えというのだ!」と怒りたくなるような話です。
気持ちはよくわかります。
だってお金が入っていなければ儲かっていないわけですから。
しかし、ここが会計や税金と一般的な感覚のズレなのです。
お金が入ってきたときに売上を計上するというルールにするとどのような事態になるかを見ていくとダメな訳が分かります。
(もし入金時に売上計上をしてしまうことを許してしまったら)
※注意! この処理は認められません!
① 12月商品販売時 100円:売上0円
② 1月入金時 100円:売上100円
商品自体は12月に販売していても、12月時点では入金になっていません。
そのため今年の確定申告では利益は0円になります。
1月になってから商品代金100円が入ってきます。
翌年の確定申告時に100円の売上を計上することになってしまいます。
継続していれば問題ないように感じてしまいますが、大問題なのです。
「利益が出そうなら入金を遅らせればよい」という荒業を使えてしまうことになってしまうのです。
これを認めてしまうと、同じ取引をしていても人によって売上のタイミングが動いてしまいます。
難しい言葉でいうと恣意性(しいせい)という、お手盛りができてしまうことなってしまうのです。
そこで、入金時に売上を上げることは原則として禁止されています。
(正しい売上計上基準の場合)
① 12月商品販売時 100円:売上100円
経理処理の方法(売掛金)100円/(売上高)100円
② 1月入金時 100円:売上 0円
経理処理の方法(現金・普通預金)100円/(売掛金)100円
商品の売上は12月に完了しているので入金になっていなくとも今年の確定申告に売上計上します。
翌年1月の入金時はあくまでも売掛金の入金になるので売上は発生しません。
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正しい売上計上時期をしっかり理解するポイント!
売上の計上基準はお金の出し入れに関係がありません。
入金になっていても、入金になっていなくても売上計上時期がきたら売上を計上しなければなりません。
重要なポイント
・売上の計上時期は代金の入金時期ではない
・売上の計上時期は請求書を出す出さないに関係ない
様々な販売形態があるので具体的に売上計上時期について押さえておきましょう。
1:商品を販売した場合
①原則:商品の引き渡しの日
②委託販売の場合:受託者が商品を販売した日
2:建設業や請負業などの場合
卸売りや小売りの場合は商品の販売がメインになりますが、建設業やサービス業などは一般的にわかりやすい商品自体がわかりにくい場合があります。
①請負業の場合:
○原則:目的物の全部を完成して相手に引き渡した日
○目的物の引き渡しを要しない場合:役務の全部を完了した日
請負業は製品の完成・引き渡しをすることで仕事が完了します。
そのため原則としえてゃ完成引き渡し時に売上に計上することになります。
請求書を出す・出さないや入金の有無とは関係なく売上を上げなければいけません。
3:販売代金が未確定の場合はどうしたらいいの?
商品を引渡しているけども代金が未確定な場合があります。
そんなバカなことがあるのかと思われる方もあるかもしれませんが、こんなことは事業をしていれば起きてきます。
例えば
・大体の金額は決めていたけども、詳細の金額は打ち合わせをしてから請求書を出すことになっている場合などです
ポイント:販売代金が未確定の場合には、12月31日時点の見積額をもって売り上げに計上します。
後日差額が生じた場合の取り扱い
最終的に確定した年の売上に加減算します。
まとめ
確定申告を自分で行うために重要なことは「売上の計上時期」です。
この売上の計上時期を間違うとその年の税金が変わるだけではなく、消費税の納税義務判定にも影響が出てきてしまいます。
これだけ多くのことに影響するわけですから税務署もこの部分の間違いが想定されるところを調査対象に選定しているわけです。
売上の計上時期についてきちんと理解しておくことで税務調査での指摘事項を減らす確定申告対策ができます。
(売上の計上時期の注意点)
・入金の有無では関係ない
・請求書を出す出さないは関係ない
・商品の引き渡しがあれば売上計上をする
簡単そうに見える経理ですが判断を間違うと帳簿があっているように見えても修正が必要になることがあります。
経理について不安なことがあれば今すぐ税理士さんに相談していきましょう!
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