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節税に強い税理士さんと付き合いたいと思っている法人や個人事業主も多いはず。ただし、節税に強い税理士というのは税金に詳しいだけではダメなのです。
節税に強い税理士とは?【税金に詳しいだけではダメなんです】
節税に強い税理士を探したいと考えている経営者も多いことと思います。
節税というと税金に詳しい税理士さんが一番よいと思っているかもしれませんが、そうではないのです。
ただし、税務についての知識がなければ節税ができないということは事実です。
実際のところどのような税理士さんが節税に強い税理士さんなのかを考えてみましょう。
条文通りに処理していても税務調査や税務訴訟で負けることも多い
節税に詳しい税理士の条件としては、税務に詳しいということがあります。
節税とは税務の規定を上手に活用して税金を減らすことをいいます。
あくまでも条文上合法であるということが大前提になります。
ただし、日本の税法は非常に難しい作りになっています。
なぜなら条文上認められている通りに処理をしても税務調査や税務訴訟で負けることがよくあるからです。
条文通りに処理していても税務上認められないとはどういうことかも知っておきましょう。
一般的な感覚と条文や判例は異なる【思っているよりも厳しい判断が必要】
漠然とした話をしてもイメージがわかないのでどんな話なのかを見ていきましょう。
仕事の流れで飲食をした場合やスナックやニュークラにいった場合やゴルフにいった場合など様々な付き合いがあると思います。
せっかく個人事業を開業したり法人を設立したのであれば、経費で落とせるものは経費で落としてしまいたいと考えている方も多いと思います。
しかし税務訴訟などの判例をみると非常に厳しい判断がされているので注意が必要です。
ここでは個人事業主の場合についてみておきましょう。
所得税法の事業所得の条文は次の通りです。
(所得税法37条1項)
その年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、事業所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るために直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他事業所得を生ずべき業務について生 じた費用の額とする
一般的な個人事業主や法人経営者であれば、少しでも仕事に関係したものであれば経費で落として問題ないと考えていると思います。
所得税法の事業所得の計算方法の条文だけをみると次のように見えてしまいます。
①仕入れた商品など売上と直接対応関係にあるものは経費になる
②販売費及び一般管理費などは直接の対応関係がなくても事業遂行上発生したものは経費になる
ところが、別の条文もあるのです。
所得税法は45条に厄介な規定があります。
所得税法第45条(家事関連費等の必要経費不算入等)
居住者が支出し又は納付する次に掲げるものの額は、その者の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上、必要経費に算入しない。1 家事上の経費及びこれに関連する経費で政令で定めるもの
(所得税法施行令96条)
第九十六条 所得税法45条第1項第1号(必要経費とされない家事関連費)に規定する政令で定める経費は、次に掲げる経費以外の経費とする。
1: 家事上の経費に関連する経費の主たる部分が不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の遂行上必要であり、かつ、その必要である部分を明らかに区分することができる場合における当該部分に相当する経費
2:前号に掲げるもののほか、青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けている居住者に係る家事上の経費に関連する経費のうち、取引の記録等に基づいて、不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき業務の遂行上直接必要であつたことが明らかにされる部分の金額に相当する経費
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判例をみるともっと厳しい判断をしている【事業活動と直接の関連などを重視】
判例をみると家事関連費以外の経費について次のことを求めています。
①事業活動との直接の関連性
②事業遂行上必要な費用
③①②について客観基準を満たしている必要性
この条件を満たしていないものは、プライベート部分が含まれているので家事関連費として取り扱われるということです。
この必要経費と家事関連費との判断は一般の人が思っているよりも厳格でハードルが高いのです。
一言でいうと経費で落ちると思っているものは、かなりの確率で経費で落とせないものがあるといえます。
なんとかく経費になる・経費にならないという程度の判断ができるくらいでは、節税に強いとは言えないのです。
節税に強い税理士の条件とは【税務知識だけでは不十分】
一般的には税金のことを知っている人であれば節税に詳しい人と思ってしまうかもしれません。
しかし、これは間違いなのです。
①税務知識だけではなく資料準備もしっかり対応する税理士
節税に強い税理士というのは「ただ税金について知っている人」では力量不足です。
ビジネス書で売り出されている程度の内容では「ダメ」なのです。
ビジネス書に書いてある節税というのは、あくまでも条文のままであればそうなるという程度のものが多いのです。
実務上、税務調査でトラブルになって税務訴訟まで考えると、とても太刀打ちできる内容ではありません。
しっかりとした客観的資料をどこまで担保しておくのかとい資料作りから対策ができる税理士である必要があります。
②税務判例も勉強している税理士
税理士試験だけでは税務判例まで勉強しません。
税務判例は様々な方法によって勉強することができます。
概要だけではなく全文を読むことによって判例上提示された資料についての評価なども勉強できます。
ここが市販のビジネス書では掘り下げられない部分です。
税務判例についてもしっかりと情報収集している税理士さんの方が節税に強い税理士です。
③柔軟なアイデアマンの税理士
税務に関する知識を持っていても使い方がわからなければ意味がありません。
規定をどのように考えて、組み合わせると何ができるのかを考えつくアイデアマンの税理士が節税に強い税理士です。
誰も教えてくれないことを自分で思いつく税理士がいるのです。
このような税理士さんは希かもしれませんが、教科書通り以外のことを考えて情報として教えてくれます。
まとめ
税理士であれば誰でも同じと思っていると大きな違いがあります。
税理士になってからどれだけ真剣に情報収集をしているかで情報量に大きな差が生まれています。
税金の仕組みを判断するだけではなく、柔軟なアイデアが作れる税理士が節税に強い税理士といえます。
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