経費で落せるか経費で落とせないか迷った時の基準は?

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経費で落ちるとわかるものだけではなく「これは経費でいいの?」と迷うときが出てきます。そんなときに、経費で落とせる基準をもっているかいないかで税務調査の際に結果が変わってきます。

経費で落せるか経費で落とせないか迷った時の基準は?

経費で落ちると言い切れるものだけであれば楽なのですが、事業をしていくうえで判断に迷うものも出てきます。

自分の経理している帳簿を見てみると「こんなに色々なものを経費で落しているんだ」と実感することになります。

起業したての年と売上が順調に伸びてきた今とを見比べると経費の使い方も変わってきていませんか?

起業したての頃はあまり経費として落としていないかもしれません。

年々売上が上がるようになってくると使う経費の範囲も増えてきて、経費で落とす基準があいまいになってきたりします。

しかも、起業後すぐに税務調査は来ないため基準がなくなった5年後以後にやってくることが多いのです。

経費で落とす基準がない状態で税務調査に当たると、調査官にきちんと説明することもできないため本来経費で良かったものまで経費として説明できなくなってしまいます。

会社を作ってから経費で落とす基準をしっかりと作っておくことは日常からの税務調査対策になります。

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経費で落として問題のない「シロ」経費とは?

経費の中でも完全に問題のないものがあります。

これを「シロ」と呼びましょう。

このシロ経費とは、誰がどう見ても経費として問題のないものです。

例えば、

・商品の仕入れ

・社員・パートアルバイトの人件費

・お店や事務所の家賃 など

商品であれば売るために仕入れているわけで誰でも経費として必要なことがわかります。

社員やアルバイト・パートの人件費も事業を進めていくうちには必要なものです。

お給料は払った会社側では経費、もらった方では収入としてきちんと処理されていきます。

お店や事務所・倉庫などの家賃はこれらがなければ仕事をする場所がないわけですから、事業をする上で必要なものとして認められます。

「シロ」の経費については一般常識に照らして、誰もが経費だとわかりやすいものです。

 

絶対に経費で落としてはいけない「クロ」経費とは?

「クロ」経費とは、法律的にもアウトな経費です。

経費という表現をしていますが、経費にならないものです。

例えば

・実際にはない架空の外注費

・働いていない架空の人件費

・実際にはない架空の仕入

・完全プライベートの飲食代

・処分していない資産の除却損 など

誰がみても経費どころか「嘘」のレベルということがわかります。

これらは完全アウトな経費です。(経費といえないのです)

よくニュースで「架空のコンサルティング料を支払ったように装い○○億円の所得を圧縮した」など出てきます。

あれがクロ経費です。

一般的に脱税と言われるものになります。

会社の資金繰りが悪くなる「クロ」経費

クロの経費は経費でないものを経費として装っていることがわかります。

税務調査でこれらが発覚すると重加算税というペナルティーの重い税金が課税されます。

クロ経費を落とす前の本来納めるはずだった税金に加えて重加算税が来るのでものすごく重い税金です。

一気に会社の資金繰りも悪くなります。

税務調査で悪質とみられた場合には、その税務調査の対象期間が3年から5年・7年と延長されることもあります。

税務調査の定期的な当たりが短くなる「クロ」経費

クロ経費を落としていたことなどで重加算税を課税された会社は税務調査に当たるスパンが短くなります。

一般的には5年から7年程度で定期的に税務調査が来ますが、重加算税を課税された会社は3年・4年で次の税務調査が来ます。

悪質なことをしていた会社という認識になるため、再度悪いことをしていないか定期的に監督したいのです。

そこで問題がなければ通常の税務調査のスパンに戻っていきます。

戻るとはいえクロ経費を使っていたという記録は残るわけですから、絶対にしてはいけません。

疲れたビジネスマン

問題はグレー経費はどこまでなのか?

経営者にとって悩みの種は「シロ」でも「クロ」でもないものです。

よくいわれる「グレーゾーン」はどこからどこまでなのかです。

この基準を作っていなければ税務調査の際に説明ができないことになります。

そもそも経費とは何かを基準に考えていきましょう。

法人税法の規定では次のように損金を書いています。

法人税法22条3号

内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる額とする。
一 当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額
二 前号に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額

法人税の規定を見ていくと販売費・一般管理費は法人税の計算上経費になるということがわかります。

販売費及び一般管理費とはなにかを見ていくと、財務諸表等規則というものがあります。

財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則の第84条に「販売費及び一般管理費の範囲)が定められています。

「会社の販売及び一般管理業務に関して発生したすべての費用は、販売費及び一般管理費に属するものとする。」

先ほどのクロ経費が経費にならないのは、完全に販売にも一般管理業務にも関係のないものだから経費にならないのです。

社長を悩ませる経費のグレーゾーンも「会社の販売及び一般管理業務に関して発生したすべての費用」に該当するかどうかを基準に考える必要があります。

・会社の売上向上のための支払いか?

・会社に関係のある支払いか?

・自分の私的な支払いではないか?

これを基準に経費で落とすかどうかを決めましょう。

例えば、会社の経費で落とす飲食代も次のように分かれます。

・従業員と定期的に懇親会をする

→福利厚生の一環

・取引先と飲食をしながら打合せをする

→会議(場所にもよる)

・取引先を接待で飲食をする

→接待交際費

・社長が一人で好きなキャバクラに行く

→自腹(経費では落とせない)

胸を張って会社のためのものだと言えれば税務調査でもその旨を主張してきましょう。

例えば、お酒を飲まない経営者が取引先の接待のためにスナックに行くこともあるでしょう。

お酒を飲まなくても行きつけで一人でよく通っていれば問題になりますが、取引先接待のためだけの利用であれば問題ありません。

具体的にその後の取引金額が増えている・現場が獲得できているなど実績があればきちんと説明していきましょう。

最後の最後は見られてもいいかどうかも判断基準の一つ

グレーかクロで悩んだ時の最後の判断基準です。

その領収書を人に見られてもいいかどうかです。

「?」と思われるかもしれませんが、税務調査の際の調査官は他人です。

男性調査官の場合もあれば女性調査課の場合もあります。

さらに、会社の経理担当者にも領収書の内容確認をすることもあります。

奥様が経理をしている場合にはそのお店や支払い内容を奥様に確認することもあります。

その際に胸を張って説明できずに「ゴニョゴニョ」となってしまうようであれば、調査官も後ろめたい支払いなんだなと感じます。

仕事だと胸を張って言えるのであれば、誰に見られても恥ずかしくないはずというのが基準になるからです。

グレー経費かどうか悩んだ際には、人に見られてもいいかどうかも判断基準の一つになります。

まとめ

誰が見ても事業に関係あるとわかるものは迷うことなく経費で落としましょう。

経費で落とせるかどうか悩んだ際には仕事に必要だったかどうかを基準に経費で落とす基準を決めましょう。

どうしても経費かどうか迷った際には「人に見られても恥ずかしくないかどうか」を基準に決めましょう。

最後の最後は税理士さんに相談していきましょう。

 

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