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来年の設備投資に向けて、銀行に追加融資の相談に行ったA社長。経営計画書も熱意をもって説明したが、銀行の担当者の反応は、なぜか歯切れが悪い。「決算書の内容を、総合的に判断した結果…」と、望むような回答は得られなかった。
「今期も黒字だったのに、一体なぜだ!?銀行は、うちの会社の何を評価して、何を問題視しているんだ?」
このA社長の絶望的な疑問は、多くの経営者が経験するものです。熱意やビジョンも大切です。しかし、銀行があなたを評価する時、彼らはまず**「決算書」という名の、冷徹な健康診断書**しか見ません。そして、その診断結果には明確な「格付け(ランク付け)」が存在するのです。この記事で、あなたは「銀行の視点」を手に入れます
この記事では、銀行があなたの会社に融資をする際、決算書のどの項目を見て「格付け」しているのか、その5つの最重要視点を、専門家の監修のもと、徹底的に解説します。銀行の視点を知れば、あなたの会社が今、何をすべきかが見えてきます。
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銀行が使う「5つの物差し」
銀行は、決算書を「定量(数字)」と「定性(数字以外)」の両面から評価します。特に重要なのが以下の5点です。
安全性:会社はどれくらい「打たれ強い」か?(自己資本比率)
銀行が最も重視する項目の一つが、会社の財務的な体力、すなわち**「自己資本比率」**です。これは、会社の全財産のうち、返済不要の自分のお金(純資産)がどれくらいあるかを示す割合です。この比率が高いほど、不況や赤字に耐えられる「打たれ強い会社」と評価されます。最低でも10%以上、理想は30%以上を目指したいところです。
収益性:ちゃんと「儲ける力」があるか?(営業利益)
銀行は、最終的な当期純利益よりも、「営業利益」を重視します。なぜなら、営業利益こそが、会社の本業で稼ぎ出した「真の実力」を示す数字だからです。たとえ赤字でも、営業利益が黒字なら「本業は好調だ」と評価されることもあります。もちろん、2期連続の営業赤字は、極めて厳しい評価を受けます。
返済能力:借りたお金を返す「力」があるか?(債務償還年数)
銀行は、「この会社が、今の利益水準で、何年あれば借金を全部返せるか?」を見ています。これを**「債務償還年数」**と呼びます。一般的に、この年数が**10年以内**であれば健全、15年を超えると危険水域と判断されます。
視点4:資金繰り:会社の「血液」は流れているか?(役員貸付金など)
決算書に**「役員貸付金」**(会社が社長に貸しているお金)が多額にあると、銀行は「この社長は公私混同しているな」「会社の資金繰りを悪化させている」と判断し、一発で評価が下がります。また、売掛金や在庫が不自然に増え続けている場合も、資金繰りの悪化を懸念されます。
定性評価:社長を「信用」できるか?(経営計画書など)
数字だけでなく、社長自身も評価対象です。特に、自社の現状と未来を数字で語れる**「経営計画書」**や「予算管理(予実管理)」をしっかり行っている会社は、計画性があると高く評価されます。日頃から試算表を銀行に提出し、業績を報告する「誠実なコミュニケーション」も、信頼関係の構築に不可欠です。
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この記事のまとめ
- ✅ 銀行は、決算書に基づいてあなたの会社を厳しく「格付け」している。
- ✅ 会社の体力を示す「自己資本比率」(純資産)が最も重要。
- ✅ 最終利益よりも、本業の儲けである「営業利益」が黒字かどうかが問われる。
- ✅ 「役員貸付金」は公私混同の証拠と見なされ、評価を著しく下げる。
- ✅ 数字だけでなく、「経営計画書」と日頃の誠実な報告(定性評価)も重要。
社長、その決算書は「未来へのパスポート」です
決算書を「税金を払うためだけの、過去の通知表」だと思っていませんか? それは大きな間違いです。決算書は、あなたの会社の未来を創るための資金調達を実現する、**「未来へのパスポート」**なのです。
「どうせ銀行には分からないだろう」と、不透明な経理処理をしたり、公私混同を続けたりしていれば、そのパスポートは信頼を失い、あなたの会社は成長のチャンスを掴むことができません。
自社の決算書を銀行の視点で見つめ直し、強く、健全な財務体質へと磨き上げていく。それこそが、経営者が今すぐ取り組むべき、最も重要な「経営活動」です。「自社の格付けはどうなっている?」「どうすれば自己資本比率が上がる?」…そんな時こそ、専門家を頼ってください。優れた「経営コンサル型税理士」は、税務申告だけでなく、銀行から最高評価を得るための「強い決算書」作りを、戦略的にサポートしてくれます。
あなたのその誠実な経営姿勢が、銀行という最強のパートナーを動かします。私たちは、挑戦するあなたを、いつでも応援しています。
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