売上の計上のタイミングは複数ある?!売上計上基準の見直しで節税?!
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税理士事務所に依頼していなくても売上の計上基準を知らなければ税務調査で大変なことになります。売上の計上時期はいつでしょう?
売上の計上のタイミングは複数ある?!売上計上基準の見直しで節税?!
「税金が出るくらいなら、請求書は翌期になってから」と請求書をずらして出している方、キケンな間違いを犯しています!
では、いつが売上を上げるべきタイミングなのでしょうか?
税法上の売上計上時期は、原則として、収益が実現したときです。
これを実現主義といいます。
なぜ、収益が実現したときに収入を計上しなければいけないかというと、収益が未確定なのに収入を計上していたのでは、債権者や投資家が取引をするときにリスクが大きくなるからです。
例えば、
A社(未確定収益を含んだ場合)
確定した収益1,000万円
未確定の収益500万円
利益(未確定収益含む) 1,500万円
資本金 10,000万円
投資利益率 15%
B社(確定収益だけの場合)
確定した収益 1,000万円
利益(確定収益のみ)1,000万円
資本金 10,000万円
投資利益率 10%
投資家がこの会社に出資しようと思うときに、利回りが大きく変わってしまいます。
利益に不確定なものが含まれているのであれば、どこまでが確定な利益がわかりません。
これでは、A社とB社が本来は同じ会社には見えません。
複数の会社を比較すること自体ができないことになってしまいます。
税金も収入が確定していないのに、収益と見なすと税額が大きくなってしまいます。
「収入の計上時期は収益の実現したとき」と覚えておきましょう。
収益が実現する時期の4つのポイント
収益の計上時期は、取引の形態に応じて合理的として認められる基準があるので知っておきましょう!
1.出荷基準
商品などを出荷したときに、売上が実現したものとする方法
売主からモノが移動したときに、売上を上げるものなので非常にわかりやすい計上基準です。
例えば、
小売業の場合であれば、レジでお会計をして商品引き渡しが同時に行われます。
このモノを引き渡した瞬間に売上が確定するので、売上を計上するという基準です。
2.検収基準
商品を出荷した段階では、まだ売上に計上しません。
相手に納品して、相手が検収してOKをだして初めて売上を計上する売上計上基準です。
例えば、
機械や工事などの場合、「できあがったので勝手に倉庫に置いておいたのでお金を払ってください」ということにはなりません。
きちんと注文通りのものが完成して、納品されたかを依頼主がチェックします。
規格通りのものが納品されていることを確認してから、受領証を発行したりします。
万が一、不具合が発見されたら返品して、やり直しです。これを繰り返して、検収してOKがでたときに初めて売上が確定するという基準です。
3.使用収益開始基準
納品後に相手が使い始めたときに、引き渡しがあったものとして売上を計上する基準です。
例えば、
不動産を販売した場合、買主が実際に使用収益できる状態になったときに売主が売上を計上するということです。
使用収益とは、自分で使うことや処分することをいいます。
4.検針日基準
検針などによって、売上量を把握したときに引き渡しがあったものとして売上を計上する基準です。
例えば、
電気料金・ガス料金・水道料金などは使ったときに瞬時に売上を把握せず、検針を行ったときに売上を確定していきます。
この検針日基準は、通常の業種ではなく電気・ガス・水道・電話などが合理的です。
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売上の計上時期の順番
売上は、「出荷 → 検収 → 使用収益開始 → 検針日」の順番になります。
つまり、売上の計上基準は出荷基準から右の検針日基準になるほど遅くなります。
<h2知らないで選択している基準は、出荷基準ということが多い!
納品をすると、納品書を作成します。
後日、月末に締めて請求書を作成するという会社が多いと思います。
自社の商品やサービスの特性をしっかりと見直すことで、売上の計上時期に選択の余地があるのです。
自社の商品・サービスごとに出荷基準を検討していきましょう。
あくまでも合理的なことが重要!
税理士事務所を依頼していない場合、こういう部分の情報が不足していまします。
売上の計上基準は、きちんと合理的な基準であることが重要です。
合理的でなければ、売上計上基準として認められない可能性もあります。
たとえば、
小売業の場合、お客様に商品を渡したタイミングに売上を計上するのが通常です。
これを検針日基準を適用したいと思っても無理があります。
お客様の家に行って、使った分だけお金をもらうということになります。
量り売りとは全く違う新しい、販売方式になってしまいます。
このかたちで、合理的なのは置き薬販売くらいです。
資金繰りで比べる売上計上時期
売上が早ければ早いほど税金計算上、利益に取り込まれます。
合理的な基準で売上計上が遅いものほど、資金繰りはよくなります。
例えば、
3月決算法人 (納品 3/31・検針日 4/10)
販売金額 200万円
仕入金額 100万円
(出荷基準の場合)
売上高 200万円
売上原価 100万円
利益 100万円
税金(30%として計算) 30万円
売上に計上しているため、利益が100万円計上されています。
これでは、決算日にお金が入っていないのに100万円の利益が出て、税金として約30万円の納税が確定してしまいます。
(検収基準の場合)
売上高 0円
売上金額 0円
利益 0円
税金(30%として計算) 0円
※ 在庫の金額 100万円
相手への引き渡しは3/31ですが、先方の検収は4/10です。
決算日は3/31ですから、この200万円の売上は翌期の4/10になります。
仕入れた商品も在庫として資産になりますが、利益100万円は合法的に翌期に繰り延べられました。
売上計上基準は継続が必要!
売上の計上基準は、継続して適用することが必要です。
今期だけ利益がでるから検収基準で、翌期は出荷基準というように変更することは認められません。
こういったことを認めてしまうと、決算書の比較ができなくなります。
税務調査でも、租税回避として不適切な会計処理が行われていると判断されます。
税務調査で痛い目にあってからでは遅いので最初から知っておきたいポイントです。
まとめ
売上の計上基準は、自社の商品やサービスごとに合理的なものを検討しましょう
資金繰りの観点から、売上計上時期は遅い方がよい
売上計上基準は継続が必要
節税について積極的に考えてくれる税理士事務所に相談してみてはいかがでしょうか?
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