個人事業の資金繰りが難しい理由とは【個人事業が税理士さんを頼む理由】

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個人事業主の方は自分は「いくら働いても楽にならない」と思っている人もいると思います。それは「自分だけではない」のです。個人事業主の税金の仕組みがそうさせているのです。個人事業主がお金がない理由を考えていきましょう。

個人事業の資金繰りが難しい理由とは【個人事業が税理士さんを頼む理由】

個人事業主で起業した人がいつも税金に追われているのは、税金の仕組みにあります。

もしかすると法人を経営するよりも個人事業主の方が経営は難しいのではないかと思うほどです。

一般的には法人のほうが経営は難しいと考えてしまいますが、実は個人事業主の方が資金繰りが難しいのです。

油断をすると個人が破産してしまうリスクさえあるほどです。

これは個人事業主に対する税金と個人ゆえに起きる感覚のズレが大きな問題になっています。

今回は個人事業の資金繰りが苦しい理由を考えてみましょう。

(目次)

①個人事業に対する税金は「稼ぐほど」税率が高くなる【超過累進税率】

②生活費は手元にあるお金でしてしまう(納税は忘れたころにやってくる)

③消費税が資金繰りに回っている(いきなり資金ショートの危機)

④住民税と事業税は翌年の稼ぎから払うことに(忘れたころに来る税金)

⑤税理士さんを個人事業から頼むことで資金繰り対策【個人事業で破産しないために】

⑥まとめ

1.個人事業に対する税金は「稼ぐほど」税率が高くなる【超過累進税率】

個人事業で開業して間もないころは「個人事業は紙切れ一枚で開業できて手軽だな」と思ってしまいます。

株式会社を設立する場合には約30万円弱のお金がかかります。

合同会社を設立する場合でも約20万円弱のお金がかかります。

個人事業主を開業する場合には、会社設立登記のようにコストのかかる開業をしなくても「個人事業主として開業できる」のです。

無料で経営者になれるのは、個人事業主だけです。

手軽に開業できるし、事業を廃業する時にも難しい手続きをしなくても個人事業の廃業もできます。

手続きだけをみると「お手軽起業」に個人事業主は向いています。

ただ、個人事業主の税金は非常に怖い仕組みになっています。

稼げば稼ぐほど税率が高いのです。

(税率はこんなに区分がある)

課税所得金額195万円以下:5%(住民税を含めると15%)

課税所得金額195万円超330万円以下:10%(住民税を含めると20%)

課税所得金額330万円超695万円以下:20%(住民税を含めると30%)

課税所得金額695万円超900万円以下:23%(住民税を含めると33%)

課税所得金額900万円超1,800万円以下:33%(住民税を含めると43%)

課税所得金額1,800万円超4,000万円以下:40%(住民税を含めると50%)

課税所得金額4,000万円超:45%(住民税を含めると55%)

個人事業を開業して最初の頃は、所得税の税率が5%か10%という方が多くなります。

住民税を含めても20%くらいなので税額としても何とか払っていける金額になります。

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創業融資など銀行融資があるときは要注意【手残りは思ったよりも少ない】

開業して事業を軌道に乗せるために、創業融資など銀行融資を受けているケースがあります。

手持ち資金が少なすぎるよりも、銀行融資を受けて事業を行っている方が健全です。

しかし、銀行融資などは返済していく必要があります。

借りたお金を返済しても経費にはなりません。

そのため、「事業で稼いだお金-銀行借入返済-税金分」が「運転資金」+「生活費」になります。

②生活費は手元にあるお金でしてしまう(納税は忘れたころにやってくる)

個人事業を開業すると3年くらいは倍々ゲームで売上が上がっていくことも多いのです。

最初の頃は生活も大変ですが、売上が上がると手持ち資金に余裕が出てきます。

生活費も以前よりも使うことが多くなります。

開業時には自粛していた友人との交際も多くなってきたり、旅行や外食も増えてきます。

右肩上がりで売上が上がっている段階では納税までの期間、手元の現預金が潤沢になってきます。

預金をみると使っても来月の支払に問題ないので大丈夫と思ってしまいます。

これが大問題になってきます。

銀行融資を受けている場合には、余計危険です。

借入金で増えている預金を見て安心してお金を使ってしまうリスクがあるからです。

右肩上がりで売上が上がっている場合には、翌年の確定申告時の納税が大きくなるので一気にお金が無くなってしまうのです。

最悪な場合、税金を延滞してしまうことになるので注意しましょう。

③消費税が資金繰りに回っている(いきなり資金ショートの危機)

個人事業を開業すると基本的に2年間は消費税が免税になります。

消費税が免税なるということは、預かっている消費税を納税しなくてもよいということになります。

消費税の免税期間はあくまでも消費税として預かっているのではなく、商品販売代金やサービス料金の一部としていただいているということになっているのです。

そのため売上の金額から消費税の納税分としてよけておくお金がないため、資金繰りが楽になります。

事業の資金繰りに使うこともあれば、生活費として使ってしまうこともあります。

事業が順調に成長していくと売上が1,000万円を超えてきます。

売上が1,000万円を超えると2年後には消費税の納税がやってきます。

この段階までに消費税の分を使い切ってしまう生活になっていると、消費税の納税資金が足りないということが起きてしまいます。

税理士さんを頼まない個人事業主の方が消費税を滞納してしまうのはこれが原因ということも多いのです。

④住民税と事業税は翌年の稼ぎから払うことに(忘れたころに来る税金)

会社勤めの時には、住民税がお給料から天引きされていた方も多いと思います。

会社勤めの時は振り込まれたお給料を使い切っても大きな問題になりませんでした。

税金が遅れてやってくるということがなかったからです。

個人事業主として起業すると、税金は遅れて支払いがやってきます。

日々の資金繰りを入金と支払いだけで考えていると、遅れてくる税金分が資金繰りから漏れてしまいます。

個人事業主は確定申告が終わってから続々と税金の督促がやってきます。

(個人事業主の税金の支払い時期)

①個人所得税:翌年3月15日(予定納税は11月)

②消費税:翌年3月31日(一般的に予定納税は8月)

③個人住民税:6月・8月・10月・翌年1月の4回分割払い

④個人事業税:8月・11月

上記以外に償却資産税という固定資産税の一種が課税されることがあります。

確定申告が終わったとたんに毎月のように税金が出ることになります。

個人事業税や消費税などは、事業規模が大きくなるまではかからない税金です。

事業が好調になった段階でまとまった金額の納税が出てくるので資金繰りには注意が必要です。

⑤税理士さんを個人事業から頼むことで資金繰り対策【個人事業で破産しないために】

個人事業の場合、個人の生活費と会社の資金繰りが混同してしまいやすい環境になっています。

自制心の強い経営者や奥様がしっかりしている場合は問題が起きにくいのですが、資金繰りをしっかりと考えて経営することは非常に難しいです。

特に誰も何も言ってくれない状況で手元にお金があったら使いたくなってしまう誘惑が多いのです。

個人事業の場合、失敗してしまうと会社が倒産したという状況よりも厳しい個人破産という自体になりかねません。

資金繰りは法人よりも難しいので、個人事業のうちから税理士さんをつけてアドバイスをもらうことが重要です。

⑥まとめ

個人事業は手軽に起業できると思っていると資金繰りで大きなリスクを背負うことになります。

頑張って利益を出すと税率も高くなります。

個人の生活費と事業の運転資金が一緒になってしまいやすいので、税金を把握しながら生活しなければ生活費事態がショートしてしまいます。

個人事業の人ほど税理士さんに資金繰り相談や税金の納税計画を作ってもらわなければ精神的に厳しい状況になってしまいます。

遅くとも消費税が出る前には税理士さんに相談しておきましょう。

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