自分でやる確定申告の失敗談②~自分や家族に給料を払って失敗~
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確定申告を自分でやると決めた方はしっかりと知識をつけないと税務調査で痛い目をみます。先輩経営者の失敗談をみることで同じ失敗をしないように予習しておきましょう。
確定申告を自分でやるには簿記や会計という経理面だけではダメです。
しっかりと税金についての知識も必要になってきます。
個人事業の場合には所得税法という税法を理解していなければだめなんです。
法人と個人ではかかってくる税金も違います。
法人の場合には法人税という法律ですが、個人事業の確定申告は所得税という法律を上手に活用しなければデメリットだらけの確定申告をすることになります。
確定申告の内容を間違っていても税務署は提出時に間違っていますよとは教えてくれません。
「何かあれば後日ご連絡をするので提出していってください」と言われてしまいます。
確定申告時の税務署はものすごく混んでいます。
とても一人ひとりの納税者の申告内容をその場で確認して修正を求めることは難しいのです。
そのため集中して確定申告書の提出を受け付けてから集中して確定申告内容を精査し始めます。
すぐにわかる間違いであれば電話で問い合わせをして修正申告を促します。
軽微な間違いであれば修正申告をして追加の税金と加算税を払って終了になることが多いのですが、税務署からの電話にドキドキしてしまうことになります。
なるべく間違いの少ない確定申告をすることが無駄に税務署に勘ぐられないことにつながります。
先輩経営者がうっかりやってしまった間違いを見ることでミスの少ない確定申告を行っていきましょう。
自分でやる確定申告の失敗談②~自分や家族に給料を払って失敗~
所得税では原則として家族にお給料を支払っても経費になりません。
それどころか自分の生活費は経費になりません。
これを理解しないまま自分で確定申告をしてしまっている方が多いのです。
サラリーマン時代の延長線上で考えてしまうので自分への生活費=給料だと勘違いしてしまうのです。
この間違いは非常に大きなダメージを与えてきます。
具体的にどんなことが起こるのかを見ていきましょう。
1:自分の生活費をお給料と処理していて失敗:間違いに気が付いても一気に払のはキツイ税額になる!
前提条件:自分の生活費30万円/月を給料処理
自分への給料を引いた後の利益:年200万円
社会保険料:年40万円
配偶者・扶養親族なし
①間違って提出した確定申告の内容
事業の利益200万円-40万円(社会保険料)―38万円(基礎控除)=122万円(所得税のモト)
間違った所得税:122万円(所得税のモト)×5%(税率)=6万1千円
②本来の正しい確定申告
事業の利益200万円+30万円×12か月=560万円(本来の利益)
560万円(本来の利益)-40万円(社会保険料)-38万円(基礎控除)=482万円
正しい所得税:482万円×20%-42万7,500円=536,500円
③修正申告で追徴になる所得税(②-①):475,500円
正しい確定申告をしていると思って生活してしまっているので、こんな大金をいっぺんに用意することができくなります。
しかも、所得税だけでこれだけの税金が追徴されます。
本当はこれ以外にも住民税と国民健康保険も出てきます。
所得税・住民税・国民健康保険を合わせると100万円以上の支払いが一気に出てきてしまいます。
自分への給料の支払いについてのまとめ
所得税では自分の生活費を事業所得の計算上、経費で落とすことはできません。
事業主の生活費は経費にならないのです。
儲かった利益について税金を払えば、いくら使ってもよいということです。
自分のお給料を月○○万円としても、節税にはならないので注意しましょう。
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2:家族にお給料を支払って失敗:届出さえしておけば経費だったのに!
所得税では原則として家族へお給料を支払っても経費にできないようになっています。
しかも家族へのお給料の取り扱いは青色申告と白色申告で手続きや取り扱いが異なるのでより注意が必要です。①
① 届出をしないまま家族へ給料を支払っていて失敗!:数年後に気づくとダメージ大!
青色申告者の場合には家族に対して支払う給料が例外的に経費にできる特例があります。
しかし、これを知らずに家族に給料を払っているケースが多いのです。
そして自分への給料を払った時と同じパターンに陥ってしまいます。
1年あたり数十万円の所得税・住民税・国民健康保険が増えてしまう結果になります。
周りの先輩経営者からの話で気づいて青くなるケースもあるようです。
主にはそろそろ税理士さんをお願いしようと思った時に指摘されたり、税務署からの問い合わせや税務調査での指摘事項で発覚するケースが多くなります。
税理士さんに気付かれて修正するのであればまだダメージが小さいのですが、税務調査で発覚すると加算税が大きくなるので注意が必要です。
② 本当は青色申告の場合:家族に支払った給料が経費で落とす方法がある!
青色申告者の場合次の要件を満たしていれば、不相当に高額でない限り支払った家族への給料を経費で落とせます。
(生計一親族の注意点)
ここでいう家族とは生計一の親族のことをいいます。
生計一の親族とは、その事業主の収入で生計を維持している家族のことをいいます。
一般的に扶養に入っている人は、生計一親族に該当してきます。
A:事前届け出が必要:
その年3月15日までに「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出する
B:お給料を家族は6か月以上事業に専従していること
ここは非常に重要なポイントになります。
家族がその個人事業に6か月以上専ら従事していることが必要です。
※途中から従事可能になった場合には、従事可能期間の1/2を超える期間の専従が必要です。
つまり他でパートなどで働いている場合には、専従とはいえないのです。
C:事業専従者の年齢が12月31日時点で15歳以上であること
12月31日時点で15歳未満というケースは少ないと思いますので、これはあまり気にしなくてよいと思います。
D:青色事業専従者給与に関する届出書に記載されている方法により支払われていること
青色事業事業専従者給与に関する届出書には親族と一般の使用人について次の項目の記載欄があります。
・氏名
・仕事の内容・従事の程度
・年齢と経験年数
・資格
・お給料や賞与の支給時期
・月給と賞与の支給基準
・昇給の基準
これらの記載内容通りに支給されているかどうかが重要になります。
E:青色事業専従者給与に関する届出書に記載されている金額の範囲内であること
青色事業専従者給与は、「青色事業専従者給与に関する届出書に記載されている金額の範囲内であること」となっています。
超えてしまったら経費にならないということはわかっていても、記載金額を払わなければ経費にならないと勘違いしていることがあります。
つまり、支給金額が記載金額を下回っている分には問題ありません。
資金繰りの都合や利益状況で減額する場合にはできるということを知っておきましょう。
3:白色申告の人は払った給料事態は経費にならない:事業専従者控除という概算給料が経費になる
青色申告者の場合には、青色事業専従者給与に関する届出書を提出していなければ家族への給料は経費になりません。
白色申告者は特段の届出をしなくても事業を手伝っている家族がいれば概算給料が経費になります。
対象となる家族の条件は青色事業専従者の場合と同じです。
手伝っているレベルは青色申告の時と同じく専従していることが条件になります。
白色申告者の概算の給料は決まった算式で計算したものしか経費になりません。
①と②のいずれか低い金額が経費になります。
①事業専従者が配偶者かそのほかの親族化で金額が異なる
・事業専従者が配偶者の場合:86万円
・配偶者以外の親族の場合:50万円/人
②事業専従者控除前の事業所得をもとに計算した金額
・事業専従者控除前の事業所得÷(1+事業専従者の数)
4:青色事業専従者と事業専従者の共通注意点
「青色事業専従者で給与の支払いを受けた人」と「事業専従者控除の対象とした人」は配偶者控除・扶養控除の対象としてはいけません。
特に注意が必要なのは青色事業専従者給与を中途半端に払ってしまうと損をするので気を付けましょう。
青色事業専従者給与として38万円未満しか支給しないのであれば、配偶者控除を受けたほうが得になります。
配偶者控除に改正がはいらなければという前提ですが、配偶者控除は38万円あります。
扶養控除も最低で38万円/人が認められています。
つまり、これよりも低い金額を支給していても配偶者控除や扶養控除が受けられないことになります。
それであればお給料の支給をしないで配偶者控除や扶養控除を受けたほうが得になります。
5:まとめ
自分で確定申告をする場合によくある間違い項目が自分への給料は家族への給料問題があります。
うっかり間違うだけで数十万円以上の納税漏れにつながる可能性が高いので絶対にミスが許されないポイントです。
特に家族への給料については、節税にも効果的に使うことができるので税理士さんの相談しながらプランニングしてもらった方が良い項目です。
もし過去の家族や自分への給料の処理で間違いに気が付いた場合には一度税理士さんに相談してみましょう!
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