個人事業は儲かってもお金が増えないというのは本当か?【税金の仕組みはよくできている】
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売上げが上がっても、毎期利益を出してもお金がなかなか増えないという話を聞いたことがあるでしょうか?業績がよくなってもお金が増えないメカニズムを考えてみましょう。
個人事業は儲かってもお金が増えないというのは本当か?【税金の仕組みはよくできている】
儲かっているのにお金が増えないという話を聞いたことがありますか?
一生懸命頑張って売上げを上げて利益を出している社長の悩みは「お金が増えないこと」です。
思った以上にお金は増えないようになっているのは、税金の仕組みが影響しています。
なぜ思ったよりもお金が増えないことになるのかを考えていきましょう。
租税根拠の考え方【昔と今は考え方が違う】
①昔は利益説という考え方が課税権の根拠だった
昔の税負担根拠は事業を行っていたりするとインフラなど社会的な便益を多く受けるので税負担は高くなるという考え方でした。
ところが、この考え方では税負担を求めることに限界が出てきました。
確かに言われてみればそうです。
アフィリエイトなど実際に使う場所は限られているのに、高額所得を稼ぐ方をイメージしてみてください。
マンションの1室しか使っていないのに税率は最高税率ということもあり得るのです。
マンションの1室しか使わない人が道路や役所のサービスなどを人より多く使っているということはあり得ません。
一億総中流という時代で誰もが同じくらいの稼ぎであれば矛盾を感じにくいかもしれません。
しかし、この考え方には限界があるということで義務という考え方に代わっていきました。
②義務説
利益説の次の考え方として出てきたものが、国家が目的を達成するために課税権があるという考え方が出てきました。
国の目的のために税金を払えということになってしまうと、国による課税権が一方的に強化されてしまいます。
これでは権威主義的な思想に近いということで批判があります。
③現在は会費説
「なるほど」という考え方です。
国家社会維持のための必要な負担を、国民が負担できる能力などに応じて支払う「会費」という考え方らしいです。
税金の負担は負担できる能力に応じて支払う会費という考えで作られているらしいということがわかりました。
次に、具体的に個人の場合と法人の場合の税金についても見ておきましょう。
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個人事業の税金の仕組み
個人事業で売上も上がり利益も増えてきてもお金が増えない理由を見ておきましょう。
個人事業で頑張ってもお金が増えない理由は税率の仕組みにあります。
所得税は超過累進税率なので稼いだ人ほど税率自体が高い
所得税法は超過累進税率というものを採用しています。
具体的には次の税率区分になります。
195万円以下:5%
195万円超330万円以下:10%-97,500円
330万円超695万円以下:20%-427,500円
695万円超900万円以下:23%-636,000円
900万円超1,800万円以下:33%-1,536,000円
1,800万円超4,000万円以下:40%-2,796,000円
4,000万円帳:45%-4,796,000円
これとは別に地方税がかかるので10%を加算した金額が所得が増えるとかかる税金になります。
配偶者控除や住宅ローン控除が使えなくなる【税率をかけるモトも高所得者は高くなる】
実は税率の問題だけではなく所得税は高所得者になればなるほど税金が高くなるようにできています。
高所得者への増税ということであまり大きく取り上げられていませんが、税率も高ければ控除も少ないという仕組みになっています。
①住宅ローン控除の制限
②配偶者控除の制限
③配偶者特別控除の制限
①住宅ローン控除の制限
一定の住宅を購入して住宅ローンを組んでいる場合、年末残高の1%相当額を所得税などから控除できるというものです。
住宅ローンを組んだ年の税制によって控除できる金額が異なるので注意が必要です。
ただ、この住宅ローン控除を受けられない人がいます。
住宅ローン控除を受けようとする人の合計所得金額が3,000万円を超えていると住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)が受けられません。
サラリーマンの年収という概念と合計所得金額は異なるのですが、高所得者になると住宅ローン控除が受けられないという可能性もあるのです。
②配偶者控除の制限
平成29年度税制改正では、合計所得3,000万円まで高くない人にも増税の影響が出ています。
合計所得金額が1,000万円超になると「配偶者控除がない」という増税がおこなわれています。
合計所得金額が1,000円超の人の場合、所得税の税率は33%~45%です。
住民税も含めると43%~55%にもなります。
配偶者控除を制限されることで、次の金額の増税になります。
・所得税率33%の人:125,400円
・所得税率40%の人:152,000円
・所得税率45%の人:171,000円
これとは別に住民税で33,000円の増税がおこなわれます。
③配偶者特別控除の制限
配偶者特別控除とは、配偶者控除を受けられないくらいパートなどで配偶者に収入がある場合にも配偶者控除の小型版のような控除を受けさせることができる制度です。
ただし、これも居住者の合計所得金額が1,000万円を超えると配偶者の所得要件を満たしていても配偶者特別控除は受けられません。
個人事業はお金が残らないのであればどうしたらよいか【上手に法人化がおすすめ】
個人事業で頑張って年収を上げてきた人は所得税の計算方法も税率も高くなる仕組みになっていることがわかりました。
これでは一生懸命稼いでも設備投資をするお金も無くなってしまいます。
個人事業で大きくするには限界があるといわれるのはこのような税制の仕組みにもあるかもしれません。
個人事業ではお金が残らない場合には、コンサルティングが得意な税理士さんに相談しましょう。
個人事業から法人に切り替えることで社長の収入を役員報酬というお給料にすることができます。
法人になることで法人に残った利益に対しては法人税がかかります。
法人税は利益が大きくなっても所得税のように最高55%の税率にはなりません。
さらに、一般的に個人事業が法人成りする会社の場合利益の大きな法人だからと控除が制限されることもありません。
個人事業の税率のように半分以上取られてしまうことがないので、しっかりと事業に対する投資もおこないやすくなります。
まとめ
個人事業の場合「頑張ってもお金が残らない」というのは税制の仕組みが法人と異なっているからです。
所得税は超過累進課税といって高い所得があれば税率も高くなります。
さらに税金計算の仕組みが高所得者は不利になるようにできています。
所得税の税と住民税の税率を合わせると最大55%にもなります。
これでは個人事業に投資をして大きくする財源が溜まりません。
事業を大きくするためには法人化をして個人の生活費はお給料・事業の投資は法人でと分けていきましょう。
法人化や税制の仕組みを使った節税対策は税理士さんに相談していきましょう。
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