無申告でも税務調査がある!~ばれないと思っていたら大間違いのネット世界~
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無申告でもネット世界の仕事ならバレないと思っていませんか?今回はライブチャットというインターネットが普及した今だからこそでてきた新しいビジネスですが税務調査トラブルが起こることがあるのでしっかり見ておきましょう。
無申告でも税務調査がある!~ばれないと思っていたら大間違いのネット世界~
ネット副業であれば税務署にバレないと思っているかもしれませんが、それほど甘い世界ではないようです。
確定申告をしていなければ税務署は気が付かない。
ましてインターネットの世界の仕事は特定されないに違いないと思っていたら大間違いなのです。
ライブチャットはインターネットが普及して高速ブロードバンドになった今だからこそ普及しているビジネスかもしれません。
インターネットを使ってウェヴカメラを使って会話をするビジネスといえば、どこまでが経費になるのか木になるところです。
今回は国税不服審判所で争われた事例をもとに勉強してみたいと思います。
今回の事例は平成26年5月22日 国税不服審判所の裁決です。
そもそも確定申告をしていなかった~無申告でも税務調査はある!~
インターネットで仕事をしていても税務署にバレることなんてないと思っている人は多いかもしれません。
ネット世界は匿名性が高いので無申告でもバレないと思っていることがあります。
以前でいうとヤフオクやアフィリエイトでも無申告でもバレないと思っていたら税務署からお問合せがきたという話も聞きます。
なかなか表に出てこない話なので「本当?」と思われることがあったり、ネット世界はバレないという都市伝説が出来上がってしまいます。
今回の裁決はそういう意味で衝撃的な話です。
なんとライブチャットを経営していた人は「確定申告をしていなかった」のです。
しかし、税務署はしっかりと見ていました。
資料によるとサイト運営会社が海外であったので、代金決済代行業者から受領した代金について「国外送金等に関するお尋ね」が送付されています。
そこで税務署側は無申告だったライブチャット運営者にたいして決定処分という手続きによって税額を決めて通知したというのがことの始まりです。
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いよいよ税務調査に突入~調査担当者も困ったかもしれない~
国外送金等に関するお尋ねでは「サイト運営業務に従事していた」と回答していたのですが、税務調査になると話が変わってきたようです。
・自分は業務に従事していない
・サイトもサイト運営会社も知らない
ライブチャットに関係ないと主張することになったので、当然税務調査で経費などの資料を提示することもしませんでした。
事実認定による決定処分が行われた
サイト運営会社とライブチャット経営者との約款によると次のことが決まっていました。
ビデオチャットサービスと利用によると、ライブチャット経営側が次のものを用意するように決められていました。
・ビデオチャットサービスのアクセスにと利用に必要な備品(PC・webカメラ・ネット接続等)
・コンテンツ制作上必要な装飾等
税務署側は決定処分をする際に、ライブチャット経営者の申述に基づいてウェヴカメラ・カーテン・ソファーの購入費用を経費と認めたうえで金額を算定して決定処分等が行われました。
ついに経営者側が異議申し立て
決定処分を受けてそのままになると税額が確定してしまいます。
そこでライブチャット経営者側が異議申し立てをしていきます。
①業務に従事したことを認めた
業務に従事していないとした場合、経費の漏れの主張もできないので0か100で争うことになります。
やっていないと主張して認められる可能性が低いと判断し、業務従事を認めて経費の漏れを主張していくことになったのだと思います。
②必要経費の漏れ
③扶養親族に関する扶養控除の適用
どこまでは経費で落ちるのか問題~事業に使っているだけでは経費で落ちない~
今回のライブチャットは経営者側は日常の様子をアピールしているので日用品の購入費用や撮影に関する消耗品などは経費と主張しています。
さらに、アクセスを増やすために衣服・水着・ソファー・カーテンや美容費も業務で必要だったと主張しています。
不服審判所の判断は次のようになっています。(国税不服審判所一部抜粋)
所得税法第37条《必要経費》第1項に規定する「販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用」とは、当該業務の遂行上生じた費用、すなわち業務と関連のある費用をいうが、ある費用が必要経費に当たるといえるためには、単に業務と関連があるというだけでなく、客観的にみてその費用が業務と直接の関係を有し、かつ、業務の遂行上必要なものに限られ、また、業務の遂行上必要なものというためには、その者の主観的な判断のみによるべきではなく、通常必要なものとして客観的に認識できるものでなければならないと解するのが相当である。
一言でいうとハードルが非常に高いです。
「業務に使っているというだけでは経費ではない」といっているのです。
さらに自分で事業に関係あるものというのは関係ないともいわれています。
①客観的にみて業務と直接関係があること
②業務遂行上実際に必要なものであること
③通常業務に必要なものと客観的に認識できるものであること
※主観的に事業遂行上必要というべきではないとまで言われています。
資料として認められるのか?~自分で作った資料は通用するか?~
次の資料はなかなか厳しい判断になっているようです。
①自分で作った資料:購入日や購入先が不明
②購入先が作った資料:購入日が不明
③ネットショッピングのページ:購入日はわかるが印刷時点の金額のみで購入額不明(一部手書きで金額記載)
④商品の取扱説明書・保証書に手書きで金額が記載
答弁の一貫性がないという点と合わせて購入した証明にならないとして認められなかったものもあるようです。
衣類等は経費で落ちるのか?
衣服やバッグ・時計などは特殊な衣装や小道具ではなく、日常使用するものとして販売されているもので、業務で身に着けたのか私的に身に着けたのかを合理的に区分できないといわれています。
さらに今回の裁決では使わなくなった服を捨てたり人にあげたという旨を主張していましたが、信憑性に乏しく、業務のみで使用する目的ではないという判断もされています。
やはり服やバッグなどはしっかりと事業用のものとプライベート用のものを分けておくなどしっかりとした管理をしていない限り経費で落とすのは難しそうです。
自宅で仕事をしている場合には経費の取り扱いに注意!
ライブチャット経営者の答弁が信用できないことが前提かもしれませんが、今回の裁決の中で空気清浄機などの家電製品・音楽・テレビ録画再生器などは自宅であることも考慮に入れて、業務に通常必要なものとは認められないといわれています。
税務調査ではかなり具体的に質問をしていた形跡が
税務調査を甘く考えている人は注意しましょう。
今回の裁決についてを読んでいても、かなり具体的に突っ込んだ質問をしていることが窺えます。
例えば「一人掛けソファーをどのように事業に使っていたのか」・「サイズのバラバラな服を経費で落としている理由」などを含めて非常に細かいところまで見たうえで質問をしています。
その回答内容を積み上げることで、主張が信用できないものということを説明していました。
経費で落としたパソコンを「捨てた」といえば経費で落ちると思っていた経営者側にとっては甘かったといわざるを得ない結果となったようです。
まとめ
・インターネットの世界であれば特定されなくて無申告でも大丈夫と思っていると大間違いです。
・自分で資料を作っていても経費で認められないケースもあるので資料保存はしっかりとおこないましょう。
・税務調査ではかなり突っ込んだ質問を受けるので税理士さんに立ち会ってもらいながら進めましょう。
・経費で落ちると思っていても経費と認められないケースもあるので税理士さんに相談しながら進めていきましょう。
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