領収書のない経費は落ちる?~裁決から学ぶ~

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確定申告をしているときに領収書やレシートの多さに倒れたくなることはありませんか?いっそのこと領収書なんてなくても経費で落ちるという甘い話を聞いたこともあるかもしれません。しかし、そんなに甘くなかった判例があるのです。

領収書のない経費は落ちる?~裁決から学ぶ~

「領収書のない経費は一体どうなるのか?」は誰しもが疑問に思ったことがあるはずです。

税理士さんに相談できるのなら「領収書のないものも経費で落ちますか?」と聞いておきたいという経営者は多いのです。

税務調査があったら領収書のない経費はどうなってしまうのか不安でしかたないものです。

経営者自ら経理をしている場合や奥様など身内の方が経理をしている場合には、事務負担が重くなってきます。

そこで領収書がなければどのようになってしまうのかについて参考になる裁決があるので見ておきましょう。

(平成25年1月31日裁決)

なぜ領収書がなかったのか?~一人社長は忙しかった~

経営者が自分で仕事をしながら事務まで行うということは非常に大変です。

この事例は税理士さんで税理士業と不動産業の両方を営んでいた人の事例です。

今回の事例でも社長が一人で経営、営業、管理などの業務すべてをおこなっていました。

どうしても忙しいのでなんとか事務を効率化できないかと考えました。

そこで次のようにして事務の効率化を図りました。

【不動産部門の経費関係】

①交際費規定(月額○○円と規定)

②厚生規定(月額○○円と規定)

③交通費規定(月額○○円と規定)

④不動産部管理費用規定(月額○○円と規定)

これらの規定を定めて運営していくこととしました。

この規定の範囲内で必要経費として処理をしていきました。

これと別に奥様がアパートの修理手配と見回りをおこなっていたのでガソリン代・車両ローン、高速代・車両修理代・車両保険を負担していることを根拠として年間一定金額を経費で落としていました。

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【税理士業の経費関係】

①事務所近くのコーヒー代(自身・従業員・来客時に利用したコーヒー代)

単価×1日当たりの平均利用回数×1カ月当たりの利用日数×12か月

差額は朝食付きなどの注文の割り増し分

②訪問先近くのコーヒー代(外勤訪問の時間調整・事前準備・事後整理で利用した喫茶店コーヒー代)

単価×1日当たりの平均利用回数×1カ月当たりの利用日数×12か月

差額は朝食付きなどの注文の割り増し分

③その他の経費関係

①②以外にも次の経費も上記のように概算で計上されていたようです。

・福利厚生費として軽食・菓子・夜食

・旅費として通勤定期代・タクシー代など

「立証責任は税務署側がある」しかし・・・・・

立証責任は国税側にあるとしながらも次の点を考慮に入れ、一定の経費算入を国税が認めているのであれば経費が多いと主張するためには納税者が資料等を出さなければならないとされました。

資料提出がないのであれば、認めた金額を超える経費は存在しないと推定されています。

①経費が多くなることは納税者にとって有利である

②申告納税制度である点と経費の存否と経費の額は納税者が知っている

③納税者が資料を揃えておくことが簡単

納税者側にとっては、ほぼ不可能ですね。

資料があればよかったのですが、今回の案件は資料がないところが争点になっているわけですから。

「少額なものだから認められるだろう」が通じなかった

一つ一つの金額が小さいものの積み重ねであるので、資料がなくても経費で落ちるだろうと思っていたようです。

少額なものだから規定を設けてその範囲内で経費で処理していれば領収書がなくてもよいだろうと。

確かに少額なものの領収書は枚数が多くなることで事務処理を煩雑にさせます。

枚数のわりに経費が膨らまないのです。

経理にかかる手間だけ大きくなってしまって大変だったのでしょう。

ところが今回の裁決では少額だからよいということにはなりませんでした。

やはり、「そもそも論」の話になっています。

・営んでいる業務内容に照らして必要性直ちにを認めるのは困難

・支出自体があるかどうかもわからない

さらに一部「お買い上げ明細」と振込が確認できたものもありましたが、次のことが確認できないので経費として認められないとされました。

①具体的な品名

②使用した者

③使用した場所

④使用目的

⑤内容

重加算税は課税されずに過少申告加算税

今回のケースでは領収書などがなかった事例です。

資料の棄損ということになると重加算税の課税にいても気になるところです。

一部明細と資料の付け合わせによって支払いの事実も確認されていたという点が評価されたのかもしれませんが、重加算税の課税という話は出ていませんでした。

まとめ

「領収書がなくても経費で落とせるのか」という点ではなんでもかんでも領収書がないというのはやめましょう。

領収書があれば経費で落ちると思っていると税務調査の際には、購入目的・使用者・使用場所など細かいチェックが入ります。

経営者同士で「うちは大丈夫だったよ」という言葉を信じすぎないようにしましょう。

日ごろの経理をしっかり行って税務調査があっても答弁できるようにしておきましょう。

経理が忙しい時には税理士さんに経理代行もお願いしている方が安全です。

しっかりと税理士さんと相談しながら経理を進めておきましょう。

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