商品券の購入は経費で落とせるのか?~交際費問題~
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商品券であれば交際費で落ちると思っている経営者は多いのです。デパートなどで商品券を購入して得意先に渡したりすることが多い人もいると思います。商品券はビジネス上使いやすい交際費なのです。しかし、税務調査で商品券をめぐるトラブルは多いのです。
商品券の購入は経費で落とせるのか?~交際費問題~
商品券というと様々な銘柄があります。
旅行券・デパート商品券・信販系商品券など種類も豊富で贈答品として選択肢が広いものです。
営業マンがお礼の都度、担当者やお客様の好みを聞いてからお礼を買いに行っていたのでは時間の無駄につながってしまうところです。
その点商品券であればお礼の品としては使い勝手が良いと考える営業マンや経営者がいても不思議ではありません。
ところが商品券の購入は税務上気を付けなければとんでもない目に遭ってしまいます。
税務調査では商品券は狙われる項目なので事前にしっかりと勉強しておきましょう。
そもそも商品券は何のために購入するのか?
個人事業主でも法人でも商品券を購入する目的はなんでしょう?
基本的には取引先などお世話になった方への贈答の為ですね。
一般的には商品券は「誰かにあげたのだろう」と思う人が多いかもしれませんが、税務署はそうは見てくれないのです。
税務署は客観的に判断をしてくれるということになっていますが、あくまでも「資料を見て」「説明を聞いて」「総合的に判断する」ということになります。
個人事業主や経営者側は相手先を表に出さなくても贈答していれば経費になるだろうということで商品券を購入してしまいやすいのです。
ここに税務署と会社側に齟齬がうまれやすくなり、税務調査トラブルになってしまうわけです。
飲食代・ゴルフ代・贈答品・商品券などで公債費が膨らんでしまった場合は、会社のお金を使ってはいけないのか疑問に思っている方もいます。
交際費が定額控除限度額(800万円)を超えてしまう場合にどうしたらよいかは「交際費は800万円を超えると使えない?」をご覧ください。
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税務署側が予想する商品券の扱いとは?
税務署側は客観的・総合的に判断をすることになります。
しかし悪質な脱税に使われていないかどうかという点には細心の注意を払っています。
では商品券を使った脱税として想定されるものにはどのようなものがあるのかを見ていきましょう。
①商品券を自分で使っていないか
②商品券を転売して換金していないか
③商品券を渡したものに紐が付く売上を除外していないか
④個人的なお礼を商品券という経費で落としていないか
⑤キックバックなど取引先や担当者に還流しているものはないか
①商品券を自分で使っていないか
商品券を自分で使ってしまっていると重加算税という問題に発展します。
個人事業であれば交際費の否認で個人所得が増えることになります。
法人の場合にはより深刻な問題になります。
法人の方では商品券を社長にボーナスとして上げたということになります。
役員に対する臨時ボーナスなので法人税の計算上経費になりません。
商品券を社長が使ってしまっているので、社長にも所得税・住民税・社会保険がかかります。
そして法人に対しても重加算税がかかる可能性があります。
②商品券を転売して換金していないか
商品券は換金性の高い金券です。
商品券を転売してお金に換えていると大問題です。
なぜなら商品券購入時に交際費という勘定科目で経費で落としています。
それを裏でコッソリお金に換えているとなると脱税のにおいがします。
そのお金を裏金として個人の口座や金庫に入れていたら大問題です。
商品券に限らず経費で落としているものを売ってお金に換えているのに収入として申告していなければ脱税なのです。
③売上を除外していないか?~商品券を渡したものに紐が付く~
商品券を渡すということは「何かしらのお礼」なわけです。
何もしていない人にいきなり商品券を渡すということはないはずです。
そう考えると商品券の行先を追跡することで売上などとヒモをつけることができます。
商品券が多量に渡されているにもかかわらず、売上が伸びていないのであれば「何かがおかしい」と調査官は感じるはずです。
実際には商品券などの交際費の伸び以外にも仕入れや外注費・旅費の伸びなどをトータルでみて売上除外の兆候をチェックしていきます。
④個人的なお礼を商品券という経費で落としていないか
商品券であればだれに渡したかわからないだろうということで、プライベートのお祝いなどを会社の経費で落としてしまっていないかもチェックされます。
個人事業主や法人の役員は周りの人に対してお礼をすることで情報が入ることを知っているので経費として考えていても税務調査の段階では売上とヒモがついていないため経費でないといわれることもあります。
⑤キックバックなど取引先や担当者に還流しているものはないか
商品券をめぐる税務調査で一番起こりやすいトラブルはこの事例かもしれません。
建設業によくあることですが現場担当者に対するキックバックが起きていることがあります。
この現場担当者に対するキックバックが税務調査で発覚すると取引先にいくキックバック(売上割戻)を担当者が横領していないかを相手に確認するという主張をしてくることがあります。
税務署側が取引の実態確認をすること自体は違法性はないのでこれを止めることができません。
しかし税務署が元請会社に対して担当者がキックバックを受けていると知られては会社と元請の関係が悪化する可能性があります。
これで泣く泣く社長が自分で使ったことにして役員賞与として修正申告をする羽目になってしまうのです。
商品券を経費で落とすポイント~使用状況がわかる書類を用意する~
税務調査でもめている原因は「使用状況がわかるものがない」からです。
会社側は商品券を管理のいらない簡単な交際費の道具として商品券を使っています。
ここが税務調査でトラブルになる要因なのです。
判例などをみても「使用状況がわかる書類」の提出がないという点で負けています。
資料がないから事業に関連したと判断できないという論理です。
中には「頭の中に誰に渡したかわかっている」と主張したものもあるようですが資料がないことで負けています。
商品券を管理するポイント
①いつ・誰に・何枚渡したかを記録する
②何の目的で渡したのかを記録する
③商品券の受領者から受領書を受理しておく
まとめ
商品券は紹介をうけたり今後の取引発展のために手渡すことの多い交際費です。
しかし商品券はその特性ゆえにしっかりと管理しておかなければ税務調査でトラブルになってしまいます。
特に高額な商品券をまとめて購入している場合には渡し先・金額・目的などをしっかりと保存しておかなければ調査の段階で資料がないことを理由に否認されてしまいます。
商品券を使う会社は税理士さんとしっかりと事前打ち合わせをしておく方が安全です。
まずは税理士さんに相談していきましょう。
税務調査でトラブルになりやすい領収書については「税務調査で大きなトラブルになる領収書管理」をご覧ください。
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