法人決算で帳簿の現金が多くなる理由とは?

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法人決算を進めていくと損益だけが正確であればよいと思ってしまうかもしれません。利益が決まれば税金が計算できるはずと思いがちですが、法人は現金管理も重要なのです。

法人決算で帳簿の現金が多くなる理由とは?

法人決算や個人確定申告では一番最初に売上を漏らさないことが重要になります。

売上の脱漏があると重加算税というペナルティーのある課税処分が行われやすくなるからです。

税務調査があると重加算税という話をしたがる調査官もいるわけです。

「売上が漏れている=経理上のミス」と思っていると大間違いです。

調査官によっては売上の漏れは「売り上げを除外したから」と考えられることも多いのです。

売上の除外ということになると悪質なものとして認識されて過少申告ではなく、重加算税という重いペナルティーのあるものを適用されることがあります。

そのため法人決算も個人確定委申告でも一番最初に売上の漏れがないかを慎重に検討していかなければなりません。

売上の入金形式が手回収や自動引き落としなど様々な決済が行われている場合には管理をする方も大変です。

法人決算で売り上げにばかり気を取られていると、会社の現金残高の管理がおろそかになっていることがあります。

特に中小企業では会社の財布と社長の財布が区別されていないことが多いのです。

しかし、会計帳簿の中では会社の現金はいくらというように管理されています。

実際にはない会社の現金残高がなぜ発生しているのかを突き止めていく必要があります。

現金が膨らんだ原因を突き止めた後は帳簿上の膨らんだ現金をどのように処理しなければならないのかを考えていかなければなりません。

特に初めての決算の人や法人設立から3年以内の経営者は知っておかなければならない重要な項目です。

なぜ法人の帳簿上の現金が膨らむのか?

お金を使うと帳簿上の現金も減っていきます。

逆にお金を手にすると現金が増えます。

当たり前のことですが、これがわからなくなるのが経理なのです。

家計簿をつけたことのある人であればわかるかもしれません。

なんせ続けることが難しいのです。

会社の帳簿も毎日コツコツつけることは忍耐力がいる仕事なのです。

中小企業の場合には経営者自身や家族が経理をしている場合もあり、なかなか時間が取れません。

その忙しさの中で経理をしていると少しずつ遅れが出てきてしまい、決算時には記憶もあやふやになっていることが多いのです。

一般的に会社の現金残高が膨らむ理由は次の通りです。

①現金で支払った経費が抜けている

②個人的な支払いが多い(プライベートな支出が多い)

③領収書や請求書・ATM振込明細の内容が思い出せない

④個人事業時代の借入の支払いがある

⑤役員報酬以上の生活費がかかっている

きちんとお金が社外出たことを処理していれば現金は膨らみません。

内容がわからないうちは「とりあえずそのままにしておく」ということを繰返すと帳簿上の現金の支払処理が起きません。

実際には現金はなくなっているのですが経理をしていないのです。

1カ月に1万円の処理をしないだけでも年間12万円になります。

5年間で60万円も帳簿上なにもないのに現金があることになってしまうのです。

これが仮に月10万円役員報酬以上の生活費を取っていたら5年間で600万円になります。

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帳簿上の現金が膨らむデメリットは?

「ただ帳簿上の現金が多いだけ」と思っていると大間違いです。

帳簿上の現金が実際の会社の現金とずれていると次のようなリスクを抱えているのです。

①税務調査の際に「役員賞与」として不明現金が取り扱われる

②銀行融資が受けられない

③税務署から現金管理が行われていない会社としてみられる

①税務調査の際に「役員賞与」として不明現金が取り扱われる

会社の現金が会わない理由は経営者の責任と考えられます。

仮に経理担当者がしっかりしていなくとも会社としての責任者は社長です。

中小企業の場合には現金に最も近いのは社長ですから、現金を使ってしまったのは社長と見られてしまいます。

1年12万円のずれでも5年目で税務調査が入った場合には、調査時点で60万円の現金がずれています。

税務調査時点で現金差の部分に対して「役員賞与の損金不算入」が適用される恐れがあります。

法人税法上は特別な手続きをしていない役員賞与は経費になりません。

それにもかかわらず、役員賞与に対しては所得税・住民税・社会保険がかかります。

現金管理をしっかりしていないために無駄な税金などを取られるということになってしまいます。

②銀行融資が受けられない

銀行に実際に現金がないということを説明しても「はいそうですか」とはなりません。

その実際にない現金が「なぜ発生したのか」を説明しなければなりません。

自分でもわかりませんということであれば「融資をしても経営のために使うとは限らない」とみられてしまいます。

③税務署や金融機関から現金管理が行われていない会社としてみられる

現金が不自然なほど溜まっている会社は現金管理ができていないと思われます。

実際に現金管理ができていないために現金が膨らんでいるのです.

銀行も税務署も「この会社はしっかりしていないな」と考えてしまう可能性があります。

帳簿上の現金が膨らんだときの対策

帳簿上の現金が膨らんでしまったときには次の手順をとりましょう。

①預金通帳から引き出した後の記憶と記録をたどる

②どうしても不明な場合には不明金を「役員貸付金」として処理する

③役員貸付金の返済計画をしっかり立てる

これができなければ銀行融資を受けることができません。

さらに今後の現金管理をしっかりおこなうためにも今すぐ税理士さんに相談しましょう。

まとめ

会社経営では現金管理が非常に重要です。

資金繰り対策をとるためにも実際の現金と帳簿上の現金を一致させていきましょう。

現金が膨らむことで税務調査の誘発・銀行融資のハードルが上がるなどよくないことだらけです。

現金が膨らみ始めてしまったらすぐに税理士さんに相談していきましょう。

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