節税だけを重視していると会社がおかしくなる理由とは

スポンサーリンク


Pocket

節税ときくと経営者は心が動かされるかもしれません。税理士さんに期待することは節税だけでよいのでしょうか?節税だけを重視していると起こりうる経営リスクを見ておきましょう。

節税だけを重視していると会社がおかしくなる理由とは

節税ができる税理士=優秀な税理士という考えが多い時代がありました。

未だに税理士さんの中には「節税」を武器に営業をしているところもあります。

実際に経営者は頑張れば頑張るほど「税金との闘い」になってきます。

しかし、本当に節税だけに興味を持っていることが経営的に正しいのでしょうか?

節税偏重主義で経営をしていると陥りやすい失敗を見ておきましょう。

節税とはなにか【節税にも大きく分けて2種類ある】

節税とは合法的に税負担を軽減するものです。

日本は租税は法律によって課税される国です。

つまり、税法の規定によって認められている規定を上手に活用することで税負担を軽減することが節税といえます。

実際には税法の解釈などについては通達というもので運営されている側面もありますが。

原則としては各種税法の規定によって税金の計算方法や課税の範囲などが決められています。

税負担が小さくなることには理由があります。

所得税や法人税などの節税には大きく分けて次の2つの方法があります。

①税金のモト(課税標準)を小さくする方法

②税額控除など税金自体が小さくなる規定を活用する方法

同じ税金が低くなるという意味では節税ですが、この2種類の節税には大きな違いがあります。

スポンサーリンク

①税金のモト(課税標準)を小さくする節税

①の税金のモト(課税標準)を小さくするものは「経費を大きくした節税」ということになります。

「経費を大きくする=支払を大きくする」ということによって課税標準を小さくしていきます。

一般的に高額な設備投資をしても減価償却をして数年間から数十年かけて経費化しなければなりません。

これではお金の払いばかり先行して経費で落ちるのはごく少額ずつになってしまいます。

お金がないのに利益が出るという状況になってしまいます。

そこでこの経費を大きくする節税に効果的なものが「特別償却」といわれるものです。

特別償却は減価償却費の前倒し制度です。

本来であれば数年後の償却額を設備投資した年に前倒しして経費化する割合を増やす制度です。

勝手に減価償却を前倒しできませんが、税理士さんが情報提供してくれている人が上手に活用しています。

特別償却も事前手続きが必要なものなどもあるので、税理士さんと連携しながら上手に活用していくことをオススメします。

②税額控除など税金自体が小さくなる規定を活用する節税

本当の意味で税金が安くなるものは②の「税額控除」です。

同じ課税標準(税金を掛けるもと)なのに納めるべき税金が低くなるのは税額控除というものを適用した場合です。

税額控除がある人は、税額控除がない人に比べると単純に税額控除分納税額が低くなります。

特別償却のように減価償却費などの経費を前倒ししているわけではないので、将来的に経費かできるものは温存しています。

あくまでも税額控除が使えた分だけ納税額が低く抑えられたということになります。

なぜ税額控除よりも特別償却を選ぶ人がいるのか

「税額控除>特別償却」で税務上得をするのが税額控除ということは分かりました。

しかし、実際には税額控除でも特別控除でも選べる場合に、税額控除を選ばない方が多くいらっしゃいます。

税金がトクする税額控除よりも特別償却を選ぶ人がいる理由は何でしょう?

これは特別償却は減価償却の前倒しですが、その年に納める税額が小さくなることがあるからです。

一般的な税額控除は出た税金が最大20%安くなるだけです。

そのため納めるべき税額は8割くらい残ってしまいます。

ところが数百万円や数千万円の特別控除が使えた場合、納税額はほぼ0円になることもあります。

ただし、将来的な減価償却は使い切ってしまっているので来期以後はその年々の状況によって税額は変わってきます。

ある意味で背に腹は代えられないという場合には、税額控除よりも短期的な手持ちキャッシュの減少を抑えるために特別償却を使うことが多いのです。

まとめ【短期的な節税にこだわることで会社がおかしくなる理由】

ここまでの話でお気づき気になったと思いますが、節税だと思って繰り返していた①の節税で会社の資金繰りは長期的に悪化していきます。

特に所得税の場合、超過累進税率という税率が悪影響を与えてきます。

超過累進税率とは所得の多い人ほど高い税率が適用される仕組みです。

今年の利益が多くなったので特別償却を使うと、その年の税率は低くなります。

右肩上がりの成長をしている場合、翌年のほうが売上も利益も今年よりも多くなります。

特別償却を使って減価償却は前倒ししているのです。

残るのは将来的に高い税率になってしまうという事実だけです。

そのために、新たな設備投資をせざるを得なくなります。

大きな利益をつぶすために大きな投資が必要になります。

大きな投資には銀行融資が必要になります。

これを繰り返していくことで、銀行借入が増え続けてしまう上に納税額も毎年上がっていきます。

これが短期的な節税にこだわることの大きな問題点です。

この問題点に気がつくのは相当年収や利益が上がってからになります。

この仕組みについて理解して説明してくれる税理士さんをビジネスパートナーにしておくことで事前対策を取っておきましょう。

スポンサーリンク

あなたにおすすめ!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

ピックアップ記事

  1. 資本金は大きければよいの?【法人設立の素朴な疑問】

    資本金が大きければ大きいほど良い会社と思っていませんか?法人を設立を検討している方によくある疑問です…
  2. 頑張っている社長の役員報酬の決め方~役員報酬はいくらが妥当か~

    頑張っている社長の悩みは「役員報酬をいくらにすべきか」です。役員報酬を高く設定しても、結局所得税・住…
  3. 知的女子に見える!?センス抜群のおしゃれブックマーク6選

    ビジネスは男性だけのものではありません。女性もビジネスを楽しむ時代です。今回は知的女子に見えるブック…
  4. 知らないとソンをする売上割戻し

    経営者の皆様、「売上割戻し」という言葉をご存知でしょうか?簿記会計の専門用語の一つですが、これをしっ…
  5. 今「付き合うべき税理士」の見分け方【税理士で全然違うんです】

    経営者にとって税理士とはどんな存在でしょう?会社の経理担当者と打合せさえしてくれればよいと思う方もい…
ページ上部へ戻る