営業マンのお給料は適正ですか?~給料の3倍稼げの意味~

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給料の3倍稼げといわれる理由はいったい何なのか?経営者になって一体いくら稼いでくれたらよいのかの基準をどう考えたらよいのかを知っていますか?

営業マンのお給料は適正ですか?~給料の3倍稼げの意味~

経営者にとって頭の痛い問題は、給料をいくら払えばよいのかです。

給料を高く設定すればするほど、残業代もかさんで、未払い残業リスクも増えます。

売上をたくさん上げる営業マンだから、会社にとってメリットのある営業とは限らないのです。

グラフ・売上

起業して好調な2年間

建設業で起業した社長は、独立する前の付き合いもあり好調に売上を伸ばしていきました。

大きな仕事ではないけれど、自分と外注で十分な利益が得られる現場をこなしていました。

仕事も順調なので徐々に社員を増やしていきました。

建設業を起業して1年~3年は売上が順調に伸びていきました。

資金繰りの面でも、設立1期目は納税はなく資金的にも余裕です。

利益の分だけキャッシュが入ってきます。

取引先も昔なじみの社長ですから、入金も安心です。

設立2期目は1期目の利益に対する税金の支払い程度で、まだまだキャッシュの手残りもありました。

ところが、起業して3年目からは消費税も出てきて資金繰りが徐々に悪くなってきました。

取引先も徐々に増えてきているのですが、支払い条件が手形という会社もでてきました。

さらに、景気が悪くなってきたせいか売上も徐々に下がってきました。

売上が下がってきているのに、手形を抱えなければいけなくなってきました。

創業時に銀行融資を受けていたのですが、徐々に売上が下がり、消費税の納税もあり資金繰りが苦しくなってきました。

景気が悪くなると、仕事を取ることが難しくなり、さらに利幅の悪い仕事が回ってくる悪循環に入っていました。

銀行に追加融資を打診してみたものの、次の点で融資を断られてしまいました。

・ 売上が下がっていること

・ 赤字になっていること

・ 税金の滞納があること

銀行が融資に慎重になる理由には十分でした。

しかし、社長が考えたことは「売上を上げること」でした。

 

会社の窮地だからこそ、「営業に力を入れる」社長

「売上が下がっている理由は営業力がないからだ」と考え始めました。

確かに、営業力があって売上が上がっていけば利益も出てきます。

さらに社長は、売上が足りないからこそキャッシュが足りないと考えました。

売上=キャッシュと考えたのです。

そこで、売上を上げるために営業を雇うことを決意しました。

社長は、「現場を取ってきてくれる人なのだから月40万円はないといけない」と考えました。

それくらいを保障しないとプロの営業マンは来てくれないと考えたのです。

そこで、営業社員に提示した条件は次の通りです。

・ 固定給 月40万円

・ 新規現場の10%をインセンティブ

営業のプロを雇用することができ、その効果が出始めました。

売上は徐々に上がっていき、毎月コンスタントに新規現場を80万円くらい作ってきます。

この営業担当者がいなければ、作れなかった新しい現場です。

1年間で約1,000万円も売上が上がりました。

売上が下がっているなかで、年間1,000万円も売上が上がっているのです。

マルとバツで対立するビジネスマン

営業の給料設定は正しかったのか?

 

社長は得意げに、営業マンの功績を話しています。

最初は笑顔で話を聞いていた税理士事務所の職員も、営業マンの給与体系を聞いたあたりから表情が曇り始めました。

理由は、次のことを考えていたのです。

この営業マンはプラスではない!

むしろ、マイナスだ!

理由は次の通りです。

・ この会社の粗利益率は60%

・ 営業担当者は社会保険がかかっている

・ 車とガソリンは会社もち

・ 固定給は40万円

・ インセンティブは現場の10%

税理士事務所の担当者の頭の中身

・営業マンの1か月の売上=80万円/月

・現場の粗利益=80万円×60%=48万円

・営業マンへのインセンティブ=80万円×10%=8万円

・営業マンの給料(40万円+8万円)=48万円

・営業マンの社会保険増加=48万円×15%(おおよそ)=7万円

・営業マンの人件費 48万円+7万円=55万円

・車のガソリン代・維持費 月最低3万円以上

結論 粗利益48万円-人件費55万円-車両費3万円=▲10万円/月

 

給料の3倍はある意味妥当

業種によって粗利益率はバラバラです。

粗利益率が高い業種であれば、売上が低くてもより多くの利益が出せます。

しかし、卸売業などの利益率が低い業種ではかなり多くの売上を作らなければ、会社運営に必要な利益を確保できません。

今回の例では、粗利益率が60%と高めの会社でした。

ところが、お給料の2倍の売上でも実際には赤字だったのです。

会社は、人を雇用するのは利益を出すためです。

会社には、この人件費以外にも家賃や総務・経理の人件費もかかります。

会社の運営に固定的に必要な経費があります。

これを支払って、さらに黒字にならなければいけません。

人数が多い会社であれば、給料の3倍の売上を出さなくても利益が出ることもありますが、社員の数が少ない会社はお給料の3倍の売上でも赤字になることもあります。

 

まとめ

・お給料と粗利益の関係をしっかり把握することでお給料が妥当かどうかを見ていきましょう

・会社の固定費のかかり具合とお給料のバランスもしっかりと検討しましょう

お給料の設定については、税理士事務所に相談してみることで利益とのバランスをわかりやすく説明してもらえます。

一度、税理士事務所に相談してみてはいかがでしょうか?

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