自分でやる確定申告の失敗談⑥~確定申告期限に間に合わなかった!~
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確定申告を自分でやると決めていても年末年始は忙しくなってしまいます。特に経理が苦手だったり確定申告が初めての場合には注意が必要なのです。思いのほか確定申告準備に時間がかかります。うっかり確定申告期限を遅れたらどうなってしまうのかを見ておきましょう。
自分でやる確定申告の失敗談⑥~確定申告期限に間に合わなかった!~
確定申告の失敗に「確定申告書を提出期限までに提出し忘れることなんてあるのか?」と思われる方もいるかもしれませんが、結構いらっしゃいます。
確定申告時期は税務署の周りに渋滞ができている地域もあります。
確定申告でわからないことがあれば税務署に行って相談しようと思うと何時間も待たされてしまったり、事前予約が必要と伝えられたりすることもあります。
税務署に電話して確定申告相談をしようと思って電話すると混雑していてなかなかつながらないということも起きていたりします。
自分で確定申告を完成させるためには期限ぎりぎりでは危険ということになります。
年明け早々に確定申告に取り組んで2月上旬までに余裕をもって完成させるスケジュールでなければ税務署を活用した確定申告は難しくなるかもしれません。
3月に入ると確定申告期限ぎりぎりになって焦ってしまい、帳簿もうまくつけられなくなってしまう方もいらっしゃいます。
繁忙期が2月3月の業種の方の場合、本業の忙しさで確定申告の提出期限を忘れてしまう方もいらっしゃいます。
はじめての確定申告の方の場合、税務署も混んでいるので期限を過ぎてからじっくり取り組めばよいと思ってしまう方もいらっしゃいます。
しかし、確定申告は提出期限を守らないと恐ろしいペナルティーがあるので注意しましょう。
確定申告を期限内に出せない人のパターン
確定申告を期限内に提出できなかった方にはいくつかのパターンがあります。
自分が次のいずれかのパターンにならないように気を付けておきましょう!
①開業届を出し忘れていたので確定申告書がこなかった
原則として開業届を出していなければ税務署では事業を行っていることがわかりません。
開業届が出ていなければ確定申告時期に確定申告書を税務署が郵送できないのです。
そのため確定申告書がこないから「ま、いっか」と思ってしまうかもしれませんが、確定申告書がこなくてもしっかり期限後申告にはペナルティーが付いてきます。
確定申告書が届かなかったから申告できなかったと税務署にいっても「国税庁HPで作成しても税務署に取りに来てもよかったわけですよ」とあっさり一蹴されてしまいます。
しまいには「確定申告書を届けているのは単なるサービスで確定申告書が届かなくても確定申告義務に影響はない」といわれてしまうこともあります。
②郵送されてきた確定申告書を開けなかったので期限を忘れていた
事業をしている方であれば税務署からの郵送物はできれば開けたくないという気持ちになってしまう方も多いはず。
しかし税務署からの郵送物はしっかりと開封して中身を確認しておきましょう。
確定申告書が郵送されてきたら中身をしっかりと確認してください。
確定申告書と青色決算書(または収支計算書)と確定申告書の書き方と納付書が入っているはずです。
税務署から郵送されてきた確定申告書に間違いがないと思っているかもしれませんが、たまに間違っていることがあるので自分で確認しましょう。
青色申告承認申請書を提出している場合、確定申告書の上の青色の部分に〇が付いているか確認しましょう。
ごくまれに、青色なのに青色に〇がないことがあります。
その場合には、税務署に青色申告の承認申請書の提出の有無と今回の確定申告が青色申告で良いかの確認も取りましょう。
③忙しくて帳簿が間に合わなかった
事業をしている人が確定申告をする場合、日常の仕事もあるわけですから確定申告の事務作業の分だけ余計に時間が必要になります。
どうしても本業優先になって事務作業や資料収集が後手に回ってしまいます。
そうなるとどれくらいの利益が出ていて、どれくらいの納税になるかもわからないまま時間が過ぎていってしまいます。
「たいした税金も出ないだろう」と思って確定申告を後回しにしていくと確定申告期限を超えても仕方ないとあきらめてしまいます。
この確定申告を期限内に提出しないことのデメリットを知っているとこんな怖いことはできません。
本業が忙しい方こそ確定申告の準備を早期から始めておく必要があります。
④確定申告に必要な書類が確定申告準備期間に間に合わなかった
確定申告の準備をしていくと手元に足りない資料の多さに驚きます。
例えば、
・パソコンを買ったのに領収書が見当たらない
・電気代・ガス代・水道代などの水道光熱費の領収書が見当たらない
・携帯電話の利用明細が見当たらない
・クレジットカードの利用明細が見当たらない
・銀行融資の償還表が見当たらない
こういった資料が12か月分しっかりそろっていればよいのですが、数か月分抜けていることがあります。
これらの資料が足りないことに気が付くのは帳簿をつけ始めてから「ポロポロ」と出てきます。
最後にまとめて依頼しようと思うと、取り寄せに数週間かかるモノもあるので注意が必要です。
⑤税理士さんに断られた
経理と税金のプロといえば税理士さんです。
確定申告は税理士さんに任せたら何とかなると思っていませんか?!
税理士さんに頼めば「パパッとすぐに確定申告が終わる」と思っていると痛い目を見ます。
確定申告作業は税理士さんでも時間はかかる
うすうすお気づきかと思いますが、日本全国確定申告の期限は3月15日で一律です。
そのため税理士さんはたくさんのお客様の確定申告を3月15日までに完了させなければならないのです。
しかも、税理士さんの仕事は基本的には顧問契約がメインです。
つまり常連さんの確定申告を優先して処理しなければならないのです。
確定申告期限ぎりぎりになってから税理士さんに頼もうと思っても、引き受けられませんと断られることも多々あります。
早い時期から確定申告を税理士さんに頼んでいる場合は問題が少ないのですが、期限が近くなってから頼むと料金も割高になることが考えられます。
プロの税理士さんにお願いする場合には、できるだけ早めに依頼しておくことが重要です。
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確定申告期限を過ぎて確定申告をすると起きるペナルティー
実際に確定申告期限を過ぎてから確定申告をするとどんなペナルティーがあるのかを見ていきましょう。
期限後申告のペナルティー①:青色申告特別控除が65万円→10万円になる
青色申告をしている場合、青色申告特別控除というお得な控除がありました。
青色申告特別控除とはお金をかけなくても経費のように所得を圧縮してくれるものです。
その年の3月15日までに青色申告承認申請書を税務署に提出して事前に承認が必要ですが、きちんと出しておくと非常にメリットがある制度です。
この青色申告特別控除には65万円のものと10万円のものの2種類があります。
・青色申告特別控除65万円が使える場合
①不動産所得又は事業所得を生ずる事業を行っていること
②複式簿記の帳簿をつけていること
③貸借対照表・損益計算書を確定申告書に添付して確定申告書にこの控除を受ける金額を記載していること
④法定申告期限内に提出すること
・青色申告特別控除10万円が使える場合
①不動産所得。事業所得又は山林所得を生ずる業務を行っていること
②簡易な記帳でも認められる
確定申告期限内に提出していなければ、青色申告特別控除は65万円のものが受けられないのです。
一生懸命正しい帳簿をつけていても、期限後申告になると青色申告特別控除は10万円になってしまいます。
青色申告特別控除の影響は、所得税が増えるだけではなく住民税と国民健康保険にも影響するので大きな損になってしまいます。
期限後申告の大きなペナルティーですのでしっかりと確定申告期限内に提出しましょう。
期限後申告のペナルティー②:青色申告が取消しに?!
確定申告を期限内に提出しないと青色申告が取り消されてしまうことがあります。
一般的には2年間連続して期限後申告をすると青色申告を取り消すという通知が税務署から送られてきます。
青色申告の取り消しになってしまうと、再度「青色申告承認申請書」を税務署に提出しても却下される可能性があります。
青色申告が取り消されて1年は青色申告承認申請書を提出できませんので、しばらくは白色申告で税金が高くなってしまいます。
期限後申告のペナルティー③:延滞税がかかる
確定申告書を提出することで税金が出る場合には、期限後申告をすることで延滞税というペナルティーがかかります。
延滞税がかかる場合を見ていきましょう。
①確定申告などで確定した税金を法定納期限までに完納しないとき
②期限後申告書又は修正申告書を提出した場合で、納付しなければならない税金があるとき
③更正又は決定処分を受けた場合で、納付しなければならない税金があるとき
確定申告期限に間に合わなかった期限後申告は②に該当します。
この場合、本来の法定申告期限(3/15)の翌日から実際に納付する日までの期間に応じて延滞税がかかります。
(延滞税の利率)
①延滞税の原則利率
・納期限の翌日から2か月を経過する日まで⇒年7.3%
・納期限の翌日から2か月を経過した日以後⇒年14.6%
②延滞税の特例利率
・納期限の翌日から2か月を経過する日まで⇒年2.8%(平成27年1月1日~平成28年12月31日まで)
・納期限の翌日から2か月を経過した日以後⇒年9.1%(平成27年1月1日~平成28年12月31日まで)
期限後申告のペナルティー④:無申告加算税がかかる
確定申告書を提出することによって納税額がある場合には、延滞税だけではなく無申告加算税という税金もかかります。
税額が大きくない場合には延滞税よりも無申告加算税のほうが大きなダメージになります。
原則的な無申告加算税
・納付すべき税額が50万円まで⇒15%
・納付すべき税額が50万円超⇒20%
自主的な期限後申告の場合の無申告加算税
・納付すべき税額に関係なく5%
(参考)
平成29年1月1日以後に法定申告期限が到来するものは、調査の事前通知後に自主的に期限後申告をした場合には、次の通りになります。
・納付すべき税額が50万円まで⇒10%
・納付すべき税額が50万円超⇒15%
期限後申告のペナルティー⑤:還付申告でも還付金が減ることも
保険外交員や社労士・設計士など報酬から源泉徴収されている方は期限後申告で青色申告特別控除が減ることで還付金が減ることがあります。
期限内に提出していれば受けられた特別控除が減ることで所得が増えてしまうためです。
まとめ
・確定申告を確定申告期限までに提出できない場合には、青色申告特別控除が65万円⇒10万円に激減する
・青色申告特別控除が縮小されることで所得税・住民税・国民健康保険が高くなる
・確定申告を期限後申告することで無申告加算税・延滞税が出る可能性がある
・確定申告を税理士さんに頼む場合、申告時期に税理士さんを探しても断られることがあるので早期に依頼しておきましょう。
自分で確定申告をする場合には、2月までに終わることを目標にスケジュールを組みましょう。
税理士さんに確定申告を依頼する場合にはできるだけ早く依頼をすることで優先的に処理をしてもらいましょう。
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