自分でやる確定申告の失敗談⑦~節税で切手と印紙を買ってしまった!~経費で落ちると思ったのに~
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確定申告対策で一番気になるのが節税です。特に経理が追い付いていない会社の場合利益状況がわからないため、経費になるものはないかと考えたときに切手や収入印紙が浮かんできます。しかし、この切手や収入印紙には注意が必要です。
自分でやる確定申告の失敗談⑦~節税で切手・レターパックと印紙を買ってしまった!~経費で落ちると思ったのに~
確定申告の提出期限は3月15日までですが、確定申告での税金対策ができる期間は1月1日から12月31日までの期間です。
所得税の場合は、1月1日から12月31日までのお給料の収入・不動産収入・事業の収入などを集計して税金を決めていきます。
そのため事業で利益が出るかどうかは12月31日までの期間で決まってしまいます。
12月といえば世間一般が年末モードになっていて仕事も忙しいなかで節税対策をしなければなりません。
さらにパソコンなどを購入しようと思っても、12月になると年末までに配達されないというリスクもあります。
なんとか税金をおさえたいところですが、切手や収入印紙を購入する場合には注意が必要です。
事業の利益が大きいと税金が高くなる理由を知っておこう
そもそも利益が大きいと税金が高くなる理由をおさえておきましょう。
事業の利益=事業の収入(売上・助成金収入など)-必要経費-青色申告特別控除
利益と収入は違うので注意しましょう。
事業を始めたばかりの場合、収入=利益と思ってしまうことがあります。
利益とは売上などの収入から経費を払った後の残りのことです。
そこで経費が多くなれば利益が小さくなることになります。
利益が小さくなると所得税の税率も下がって納税が小さくなるという仕組みです。
そのため経営者は年末に税金対策として経費になるものにお金を使っていきます。
(所得税の税率)
①所得金額195万円以下:5%
②所得金額195万円超330万円以下:10%
③所得金額330万円超695万円以下:20%
④所得金額695万円超900万円以下:23%
⑤所得金額900万円超1,800万円以下:33%
⑥所得金額1,800万円超4,000万円以下:40%
⑦所得金額4,000万円超:45%
切手やレターパック・収入印紙を購入したときの経理処理はどうなるの?
切手は郵便物を郵送するために購入します。
当たり前のことですが、手元に置いておくこともできるものということが問題になってきます。
切手やレターパック・収入印紙の大量購入が問題になる理由
切手やレターパックの大量購入が問題になるのは、2つの問題があります。
1つ目:購入時に全額を経費処理するのが通常である点
2つ目:大量購入しても金券ショップで現金化できる点
①購入時の経理処理:切手・レターパック・収入印紙は購入に経費で落としてしまう
日常的には切手を購入するとすぐに郵送物に貼って投函してしまいます。
収入印紙は契約書や領収書に貼ってすぐに使ってしまいます。
そのため切手・レターパック・収入印紙は購入時に経費として処理をしていきます。
具体的には次のように経理処理をしていきます。
切手・レターパック購入時の経理処理
(通信費)×××円/(現金)×××円
収入印紙購入時の経理処理
(租税公課)×××円/(現金)×××円
購入時には切手・レターパック・収入印紙の購入金額を全額経費として処理していきます。
使った分だけを経費にして残りを貯蔵品という資産として処理するのが正しいのですが、非常に面倒です。
そのため購入した金額を経費として処理してしまうので、多額の切手・レターパック・収入印紙を購入すると経費が大きくなると思ってしまいます。
経費が大きくなれば利益が小さくなるので節税できると勘違いしてしまうのです。
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②大量購入しても金券ショップで現金化できてしまう
こちらは経理の間違いというものではなく、れっきとした脱税です。
架空の経費ではなく、購入している時点の領収書やレシートもあるのです。
外見上は切手を買って使ったという感じなってしまいます。
しかし、実際には金券ショップに行って切手やレターパックを売却して現金を受取ることができてしまうものです。
税務調査時に切手やレターパックの多額購入が発覚すると、取引先などへの郵送の頻度や郵送物の発送状況を踏まえて実際に使っているかどうかを検討される可能性があります。
必要のない切手やレターパックを換金すること自体は脱税にはなりません。
しっかりと切手やレターパックを売却したときに、収入計上して現金もしっかりと経理すれば問題ありません。
悪意のある人の場合には、換金した現金を会社の収入とせずプライベートなことに使ってしまいます。
これは完全に脱税です。
税務調査で発覚した場合には重加算税という非常に重いペナルティーを受けることになります。
年末に残った切手・レターパック・収入印紙はどうしたらいいの?
切手やレターパック、収入印紙は購入時に全部使うとは限りません。
悪いい方をすると節税目的で大量の切手を年末に購入してしまう可能性もあるからです。
切手やレターパックは購入時に郵送物を出すためのものです。
収入印紙は法律で定められた契約書や領収書を作成した場合に貼付します。
日常業務の中では購入時に経費として処理していきます。
しかし、年末に残っている切手やレターパック・収入印紙をそのまま経費にしてしまうと駆け込み購入した分まで経費で落ちてしまいます。
税務調査の際にも年末近くに多額の郵便局での購入レシートやコンビニでの切手・レターパック・収入印紙の購入があればチェックされます。
特に11月・12月に多額の切手購入やレターパックは「どれくらい残っていたのか?」とチェックされます。
収入印紙の場合にはそれに見合った契約書の枚数や領収書の記載があるかをチェックされます。
①年末に残った切手・レターパックの経理処理
(貯蔵品)×××円/(通信費)×××円
未使用分の金額を経費から資産に振替処理をします。
②年末に残った収入印紙の経理処理
(貯蔵品)×××円/(租税公課)×××円
未使用分の金額を経費から資産に振替処理をします。
③翌年の経費への戻し入れ
年末には残った切手・レターパック・収入印紙を貯蔵品という資産に振り替えました。
翌年になってから再び経費として戻し入れる作業をしていきます。
切手の場合:(通信費)×××円/(貯蔵品)×××円
収入印紙の場合:(租税公課)×××円/(貯蔵品)×××円
切手やレターパックの消費税処理はどうしたらいいの?
切手やレターパックは購入時に全額消費税の課税仕入れとして処理して問題ありません。
注意点としては、継続して購入した年に消費税の課税仕入れとして処理する必要があります。
まとめ
確定申告の節税対策として多額の切手・レターパック・収入印紙を購入しても節税にはならないので注意しましょう。
多額の収入印紙の購入や切手・レターパックの購入をすると確定申告書上、不自然な金額が目立つようになります。
そのため税務調査を誘発する可能性もありますので注意しましょう。
確定申告の節税対策について心配な方は今すぐ税理士さんに相談しましょう。
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