法人はお金の管理が重要な理由とは【認定賞与でダブルパンチ】
スポンサーリンク
株式会社・合同会社を設立して法人化をする方も多い時期になってきました。法人になることで個人事業主時代よりもお金の管理が重要になるわけですが、その理由をご存知でしょうか?今回は法人がなぜお金の管理が重要なのかとその管理方法を見ておきましょう。
法人はお金の管理が重要な理由とは【認定賞与でダブルパンチ】
会社設立というと「株式会社」が有名です。
最近では合同会社も多く設立されており、知名度も上がってきましたが。
会社の設立自体は簡単にできるのですが、運営となると個人事業と異なる点があることをご存知でしょうか?
税務調査の現場でも個人事業主と法人とでは考え方がことなるので主張するポイントが異なることがあります。
個人事業主と法人とで異なる部分には「現金管理」も入ってきます。
法人にとってお金の管理は非常に重要なポイントになります。
「お金大事だよ」ということは誰もが知っていることですが、税務的に大きなリスクにつながってしまうのです。
今回は法人のお金管理が重要な理由を見ていきましょう。
(目次)
1.法人のお金と個人のお金は違う
2.現金が合わない場合「役員賞与」として認定されるリスク
3.法人の現金管理方法とは
4.まとめ
1.法人のお金と個人のお金は違う
個人事業を株式会社や合同会社を法人化した場合、個人と法人のお金が別人のものになった感覚がありません。
実質的には個人事業が株式会社○○や合同会社○○に名前が変わっただけという気がします。
一般的にはごく普通の感覚です。
ところが法律的に見ると全く別人・別会社ということになるので注意が必要です。
個人事業を法人化した場合に翌あるケースは次のケースです。
(個人事業を法人設立する事例)
①株主などの出資者=元個人事業主
②取締役などの役員=元個人事業主
この形態に家族が加わることがあるくらいで、基本的には自分の会社という感覚が強くなります。
確定申告が法人決算に変わって、所得税が法人税になるくらいという感覚です。
ところが株式会社や合同会社は個人事業とは全く別なものとしてスタートしているので注意が必要です。
経営を行っているのは個人事業をしていた人のままですが、法律的には全く新しい会社が会社のお金を使って経営を始めたということになります。
そのため会社のお金は社長のお金ではありません。
スポンサーリンク
社長が会社からお金をもらうことができるのは次のケースです。
(社長が法人からお金をもらうことができる場合とは)
①役員報酬や役員賞与として給与としてもらうもの
②法人に貸していたお金を返済してもらうもの
③法人に売った資産(在庫・車両など)の譲渡代金としてもらうもの
これ以外で法人からお金をとることは、会社からお金を借りたということになってしまいます。
2.現金が合わない場合「役員賞与」として認定されるリスク
会社のお金と社長のお金は別のものということになるわけですが、気をつけなければ予期せず不利益を受けることがあります。
個人事業をしているかたであればわかると思いますが、会社の経理をするということは帳簿をつけるということが出てきます。
この帳簿をつける場合に、現金がいくら残っているのかということもしっかりと記録します。
帳簿をつける場合に、支払ったものの領収書やレシート・預金預入などは「出金」の原因となります。
逆に預金引出や現金回収をした場合には現金の「入金」の原因となります。
お金が動く原因の資料に基づいて現金を経理していくことになります。
経理がズサンになってしまうと、この資料をなくすことで帳簿の現金と実際に会社にある現金がずれてしまうことが起きます。
(会社の現金がずれてしまう原因とは)
①領収書やレシートをなくしてしまった
②自動販売機・JRなどで領収書がでない出費をした
③借入金の返済などを現金で行って記録をしなかった
※これ以外にもたくさんの原因があるので注意しましょう。
こうしたことが起きると、経理上出金が起きないので帳簿上には実際よりも多くの現金が残ってしまいます。
1ヶ月あたりであれば1万円程度でも1年で12万円。5年で60万円にもなります。
こうした問題が起きてしまう会社の場合、月1万円ではすみません。
1年あたり数十万円~数百万円になるケースも珍しくありません。
ここで問題があるのは、実際には支払ってお金を使っている認識がないまま「お金がないのに利益が出る」ということになるのです。
さらに税務調査では帳簿上の現金と実際の現金の合わない部分を「役員が使ったもの」として「認定賞与」として課税されるリスクが高くなります。
スポンサーリンク
認定賞与として課税された場合には次のようになります。
(認定賞与として課税された場合の影響)
①その年度で役員賞与処理された分だけ会社の利益が小さくなる、又は赤字転落する
②赤字になった場合、銀行融資を受ける場合などの評価上マイナスになる
③認定賞与の場合、法人税の計算上「損金」にならないため節税効果はない
④役員の所得税・住民税・社会保険料(会社負担分も)増加する
⑤急遽増加した税金や社会保険料の支払のため会社の資金繰りが悪くなる
3.法人の現金管理方法とは
法人の現金管理が重要という理由がわかったところでどのように現金を管理していくべきかを見ていきましょう。
会社の現金がずれてしまっている場合、社長も経理担当者も嫌な思いをすることになってしまいます。
現金をずらさないためには次のようにしましょう。
①クレジットカードと預金振込・自動引落を活用する
②どうしても現金を使わなければならない場合には、領収書と会社の小口現金を引き替えにする
③定期的に帳簿の現金と実際現金をチェックする
④税理士さんに毎月帳簿をチェックしてもらう
①クレジットカードと預金振込・自動引落を活用する
現金がずれる原因の一つに、現金を使う頻度が高いということがあります。
現金を使う頻度が高ければ高いほどレシートをなくすリスクも増えます。
そこでクレジットカード・預金振込・自動引落をつかうことで支払の記録が残るものを中心に支出を構成していきます。
クレジットカードを利用するとクレジット明細に支払った記録だけは残ります。
消費税の本則課税の場合には領収書・レシートの保存も必要になるので明細だけではダメです。
②どうしても現金を使わなければならない場合には、領収書と会社の小口現金を引き替えにする
会社のお金と個人のお金を区分するために小口現金制度を導入しましょう。
手提げ金庫などに少額の支払に対応できるお金を入れておきます。
だいたい5万円~10万円以内で十分です。
買い物をしたときに立替えをしておいて、領収書やレシートと引き替えに代金を精算します。
レシートをなくすと自腹になるので現金がずれるリスクが下がります。
現金がもらえない「割り勘」や「自動販売機」などの場合には、出金伝票などに領収書がない理由を記載したものと引き替えに清算します。
③定期的に帳簿の現金と実際現金をチェックする
定期的に帳簿の現金と実際の金庫の現金をチェックしましょう。
帳簿の現金をチェックするということは定期的に帳簿入力もすすめておく必要があります。
これをしなければ現金がずれた原因がわからなくなるので帳簿をつける習慣をもちましょう。
④税理士さんに毎月帳簿をチェックしてもらう
自分でできるなら「税理士さんはいらない」と考える方も多いと思います。
自分でできるから税理士さんを頼んでいない会社よりも自分でできるけども税理士さんを頼んでいる会社の方が多い気がします。
専門の事務員さんがいるけども税理士さんを頼むわけです。
第三者の目で経理内容をチェックしてもらったり節税アドバイスをもらうだけではありません。
税理士さんが定期的にくることで経理をサボることができなくなるからです。
さらに経理担当者が退職してしまう場合なども税理士さんが流れを理解している方がスムーズに経理が進み続けられるというメリットもあるからです。
4.まとめ
法人のお金の管理は次の点からも重要になります。
①法人の銀行など金融機関への信用度
②税務署の税務調査を誘発するリスクを回避するため
③役員の認定賞与による資金繰り悪化を回避するため
法人の現金管理をしっかり行っていくためには、定期的に税理士さんに見てもらうことが重要になります。
スポンサーリンク