法人が税理士を選ぶポイント~法人税だけではなく所得税に詳しい税理士がベスト~
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法人を設立して会社を作ると税理士さんを選ぶことになってきます。法人を経営している人は税理士に依頼している割合が高いのです。ただ、どんな税理士さんを選ぶのがよいのかポイントを知っておきましょう。
法人が税理士を選ぶポイント~法人税だけではなく所得税に詳しい税理士がベスト~
法人を設立すると「法人税」という税金に触れていかなければなりません。
法人を作ったら法人税に詳しい税理士さんがベストと思ってしまうかもしれませんが、そう簡単ではないのです。
法人で起業したら当然法人税に詳しい税理士さんは必要になります。
毎回聞くたびに適当な回答や「私が言うことが正しいんです」という税理士さんでは不安になってしまいます。
特に法人税法は改正が多い税法ですのでしっかりと税務知識をメンテナンスしている税理士さんでなければ最新税法で節税ができません。
ただ、法人税に詳しい税理士さんだったら安心かというとそれだけではだめなんです。
一般的に法人を設立する場合には、個人事業を法人化するケースとサラリーマンから法人設立をして社長になるケースがほとんどです。
中小企業の法人の場合、上場することまで考えていない家族経営や同族経営といわれる身内の会社です。
つまり、法人設立する理由は節税をして将来の生活を安定させたいというところになります。
そのためには従業員さんの福利厚生や従業員さんの老後の安定を含めてしっかりと節税しながら経営していくことが中心です。
法人税はあくまでも、法人に対する税金を規定しているのです。
家族経営や中小企業にとっては「自分=会社」に等しい関係になってしまいます。
社長や家族従業員・一般の従業員さんは個人です。
ここにかかってくる税金は法人税ではなく「所得税」なのです。
法人経営をしていくなかでは法人税に詳しいだけではだめで、所得税にも精通している税理士さんが圧倒的に強いのです。
所得税に詳しい税理士は少ない~税理士試験の所得税受験者は少ない~
税理士になるためには、国税OB・大学院卒業・税理士試験合格の3パターンにわかれます。
大学院卒業の税理士さんの場合には税法1科目の合格があればよいので、所得税法を受験している確率は高くありません。
地方税や酒税などミニ税法と呼ばれる科目でもよいのです。
国税OBの税理士さんの場合には、担当していた部署によって個人課税課にいたかどうかで所得税専門だったか分かれます。
在職年数も長い場合には所得税にどれくらいの期間・いつ触れていたかが重要になってきます。
所得税を専門的に勉強している割合をみるために、税理士になるための税理士試験合格が一番わかりやすい目安なのでここを見ていきましょう。
税理士試験の受験者数は次のようになっています。
(平成28年度の税理士試験科目別申込者数)
法人税法:7,389人(法人税合格者655名)
消費税法:11,523人(消費税合格者1,104名)
相続税法:5,208人(相続税合格者454名)
所得税法:2,658人(所得税合格者253名)
税理士試験の中でメインの国税4税法のなかで所得税を専門的に勉強している人の割合は著しく低い可能性がわかります。
法人税の約1/3くらいの人しか所得税受験を申し込んでいません。
国税OBの中には個人課税を経験している人と個人課税をほとんど経験していない人に分かれていきますし、大学院卒業のマスター税理士さんはそもそも所得税を専門的に勉強する機会がありません。
ただし、所得税を受験していなくても勉強熱心な税理士さんは所得税に精通していることもあるのでしっかりと聞いてみましょう。
所得税に詳しい税理士さんでなければ法人節税が頼りなくなる理由
実は税理士事務所で所得税の知識を使っているのは主に個人の確定申告時期だけということが多いのです。
税理士事務所で職員は先生や昔の職員が担当していたものを引き継ぎながら確定申告しているケースがあります。
つまり、その税理士事務所に所得税を専門的に勉強した人がいなければ気が付かない細かい規定があることがあるのです。
確定申告時期だけの所得税知識では法人の節税に所得税を使えません。
なぜなら確定申告で使う個人事業主の所得税は「事業所得」など事業主に必要な部分です。
法人を設立している役員さんや従業員さんの節税は「給与所得者」としての所得税知識です。
給与所得者の特例など確定申告では使わない部分を知っているかどうかで、法人の節税プランを組み立てられる税理士さんとスルーしてしまう税理士さんに分かれてしまうのです。
法人税がわかれば所得税もわかっているはずということはないので注意しましょう。
所得税に詳しい税理士さんの探し方~所得税熱心な税理士探しは困難~
「所得税に詳しい税理士です」と名乗っている人はまりいないと思います。
特に研究熱心な税理士さんほど勉強することが普通と思っているので、自分が詳しいと思っていないこともあります。
なかなか所得税に詳しい税理士さん探しは難しいところですが、一番手っ取り早いのは気になった税理士事務所のホームページをみることです。
税理士事務所のホームページには試験合格科目を記載している税理士さんがいます。
税理士試験の受験合格科目でしっかりと受験して合格している場合、しっかりと条文も暗記している可能性が高いのです。
試験にしか出ないようなマニアックな規定や昔の背景なども勉強しているケースがあります。
さらに受験時代に深く勉強していることもあり、実務家になってからも調べ物の深度がある可能性が高くなります。
もしも、税理士さんと面談したときに法人税がばっちりなので大丈夫ですよというときには所得税の経験をヒアリングした方がよいかもしれません。
まとめ
法人設立で行う節税は「法人税金対策」と「個人の税金対策」の両方です。
法人税は法人の税金対策です。
個人の税金対策は所得税の知識を使います。
そのため法人節税に強い税理士さんと法人税と所得税の両方を研究している税理士さんです。
所得税は軽視されやすい税法で税理士試験の受験者数も少ないので税理士をしっかりと勉強している税理士さんは少ない可能性があります。
所得税もしっかりと研究している税理士さん選びはその税理士事務所のホームページを確認しましょう。