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個人事業主の方を中心にクラウド会計という会計ソフトが普及しています。freee(フリー)・MFクラウド会計・弥生会計オンライなど有名なソフトを使って効率化することと税務調査リスクは別問題です。税務リスクを減らす方法を見ていきましょう。

クラウド会計で税務リスクを減らす方法【便利ゆえの問題】

クラウド会計は新しい種類の会計ソフトです。

クラウド会計の特徴には次の機能があります。

①インターネットバンキング情報の自動取り込み経理機能

②クレジット利用明細情報の自動取込み経理機能

③クラウド系給与計算ソフト・請求書ソフトのデータ連携取込み機能

10年前にはとても考えられなかった「夢のような会計ソフト」です。

今までの会計ソフトではできなかった自動経理という新しい分野が受け入れられ始め、急速に普及しています。

クラウド会計を使うメリットと合わせてクラウド会計で起こりやすい税務上リスクについても見てみましょう。

クラウド会計を使うメリット【便利な機能が盛りだくさん】

クラウド会計が受け入れられ始めた背景には次の問題があります。

①経理担当者の人材不足

②経理担当者の作業効率の改善

③経理担当者の人件費の高騰

①経理担当者の人材不足

10年前までは「経理担当者=事務職人」という専門的な職業でした。

中には雑用兼事務という会社もありますが、経理ができるという意味で職人スキルが必要でした。

個人事業主の方や会社設立後まもない株式会社や合同会社の方は事務員の求人をだして後悔したことがあると思います。

最近「事務職は求人を出せばすぐに応募がある」という話をご存知でしょうか?

求人情報誌に「事務員募集」の広告を出すと問合せは「0」になることはほぼありません。

何件かの問い合わせが来ます。

多ければ数十件の問い合わせが来ます。

ところが「即戦力になる事務員さん」という人はなかなか求人に応募してこないのです。

大企業であれば人材育成に時間とお金をかけることができます。

中小企業では経理などの生産性の高くない部分に人材育成コストを使うことが難しいため、良い人材の採用が重要になります。

しかし、応募は来ないため会社側では効率的な経理ができるツールが重要になってきます。

②経理担当者の作業効率の改善

クラウド会計は自動経理などができるため、経理の作業効率が大幅にアップします。

個人差による処理速度というものも少なくなります。

自動経理設定が終わっていれば経理担当者は何もしていない状況で経理が進んでいく感覚さえ覚えてしまいます。

会社が大きくなればなるほど預金通帳の取引量も増えます。

社長や営業担当者のクレジットカード利用も増えてきます。

現金の領収書も多くなってきます。

これをクラウド会計を使うことで自動化できるようになってきます。

現金領収書に関してはスマホアプリで写真撮影が必要なため多少手間はかかります。

預金情報とクレジット利用情報は会計ソフトと連携をするだけで一瞬で経理が終わってしまうようになります。

人間がパソコンのキーボードでポチポチおさなくても経理ができるのです。

会社が大きくなればなるほど入力作業が増えるはずなのに、その影響が限定的になるのです。

③経理担当者の人件費の高騰

最近の会社の悩みは「人材がいない」か「人件費の高騰」です。

人材がいないうえに人件費も高いのです。

仕事が一人前にできる人に高い給料であれば納得できますが、仕事を教えなければならない人でも給料が高騰しています。

最低賃金は毎年上がるので人件費が下がることはありません。

さらに社会保険の加入義務も強化されていることから、会社側は給料と社会保険料の負担が上がっています。

毎年上がる人件費分だけ自社の商品の付加価値が上がっていればバランスが取れますが、売上に関しては値上げが難しいケースも多いのです。

会社の規模が大きくなると増える事務コストは売上と直接的に結びつかないコストですから経理担当者の人件費増加は負担になります。

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クラウド会計は税務調査リスクが上がる可能性も【税理士いらずが仇となる】

クラウド会計は自動経理ができるというのがウリです。

クレジット利用明細からは主に経費処理がおこなわれます。

インターネットバンキングからは振込先にはお給料や外注費など経費も出てきます。

一度登録した取引に関しては自動的に前回設定している経理処理を想定してきます。

これが自動経理の仕組みです。

問題は「一度間違った経理処理を教えると複製されるリスクが高い」ということです。

あるときにはamazonで事務用品を買っていた人が同じクレジットカードでプライベートなものを購入した場合、自動経理を使うとプライベートなものも「事務用品費」と経理されてしまいます。

これと同じようなことが自動経理をすることで起こりやすくなります。

便利故に何もしなくても「正しい経理」がされていると思ってしまいます。

自動経理をすることで自社のチェック機能が甘くなる

個人事業主の方や株式会社・合同会社で少人数の会社の場合には、経理担当者を減らすためにクラウド会計を導入するケースもあります。

経理を究極に効率化すると事務員さんが不要と考えたくなります。

SOHOにとっては事務員さんを雇用する必要がなければ喜んで導入するかもしれません。

ところが自動経理で預金通帳情報やクレジット利用情報が経理されていると、経理の内容チェックをしなくなってしまいます。

金額の入力ミスがないものを「あえて見直してください」といわれたら見ますか?

なかなか一度終わったものを見直すということは難しくなります。

さらに経理担当者が入れ替わっても自動経理で進んでいくため、経理担当者が変わった時には経理担当者のレベルがダウンしている場合見落としも起こりやすくなります。

クラウド会計の税務リスクを回避する方法【税理士さんにチェックをお願いする】

クラウド会計の位置づけを「会社の入力の手間を削減するもの」ということが分かったところで税務調査リスクを下げていきましょう。

クラウド会計を導入することで会社側の事務人件費が下がります。

短時間で経理がおこなわれるため、事務担当者の労働時間が削減されます。

場合によってはパート・アルバイトでも請求書などの作成をおこなうことができるようになります。

会計ソフトに入力する作業が省力化・自動化されることで事務の仕事としての帳簿作成が激減します。

これによって事務員さんの労働時間は大幅に短縮されます。

この事務員さんの人件費削減というもの「税理士さんの顧問料」を同一視しては危険です。

税理士さんの仕事は会計ソフトの入力ではないのです。

お客さんが入力し終わった会計帳簿と領収書などの資料をチェックすることです。

「領収書のチェックでお金を取るのか」と思われるかもしれませんが、税務調査の現場では領収書チェックは行われます。

会計帳簿と領収書があっているかも見られるのです。

税理士さんは領収書などの原始資料と帳簿をチェックして税務リスクを減らすことが顧問料の根拠です。

クラウド会計ができることと「税理士さんの仕事」では違いがあることを理解しておきましょう。

クラウド会計を導入したから「税理士さんは不要」や「税理士顧問料を下げる」ということはリスクが高まります。

顧問料を低くすることで税理士さんがチェックにかけられる時間も精度も下がるという悪循環は避けましょう。

税理士さん自体やることが変わらないのです。

ただ、税理士さんがお客様訪問をする移動時間分がなくなることでの値下げはありうると思います。

実際にクラウド会計が導入されても一番変わらないのは税務調査側はいつも通りの細かい調査が行われます。

税務署の調査内容が細かくなるのに会社側が省力化することで税務リスクを上げることはやめましょう。

まとめ

クラウド会計は会社の経理効率化に役立ちます。

クラウド会計を上手に使うことで会社の人件費の圧縮が可能です。

クラウド会計を使っていても税理士さんのチェックを受けなければ税務調査リスクは高くなります。

税務調査はクラウド会計を使っていてもしっかりと領収書などをチェックします。

税理士さんと効率的なチェック体制をつくっていきましょう。

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