経営改善失敗!~売上至上主義の失敗学~

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売上が上がれば経営改善につながると思っている経営者は多いと思います。しかし、売上が上がっても経営改善できないことがあることをご存知ですか?

経営改善失敗!~売上至上主義の失敗学~

税理士は税金の専門家であって、経営について話してくれる税理士とそうでない税理士がいます。

経営について考えるときに、次の例を見ていきましょう。

「売上をあげてこい」という一喝が社内に響き渡ります。

「どうしてお前は売り上げが取れないんだ?」

経営者は社員に売上向上を指示します。

ごく普通のことですね。

売上がなければ、入金にならない。入金にならないと、支払いもできない。

一見正しいのですが、経営改善をする場合に売上にとらわれるのはキケンなのです。

経営改善をする場合に、なぜ経営改善が必要になったのかをしっかりと把握しなければいけません。

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売上至上主義が招いた悲劇

上司から売上を上げるように指示され、毎日のように朝礼で売上報告をさせられる。

経営者も昔はサラリーマンだった時代があると思います。

会議が憂鬱でしかたないと感じたことのある経営者も多いはず。

一番簡単に売上を上げる方法

売上を上げろといわれたときに、一番簡単に売り上げを上げる方法はなんでしょう?

それは、値引きです。

ノルマに追われた社員は、値引き販売をします。

うちの会社は、値段は決済がないとできないから大丈夫という会社もあります。

その事業部で売り上げ目標があったらどうでしょう?

事業部目標を達成していなければ値引き幅が増えていきます。

会社としての売上高は上昇しているのです。

経営者が異常に気付く時には、早くても数か月過ぎたときです。

無理やり売り上げを取りに行こうとするあまり、適正な販売価格を下回って販売しているケースがあります。

会社自体の利益が本来よりも低下してしまうことで、将来的なキャッシュが不足する可能性が高くなります。

請求書

押込み売上は会社をつぶすこともある

売上ノルマに追われて、「なんとか取引をお願いします」「今日が締めなんで、今日であれば無理します」という会話がよくあります。

このような契約の仕方を押込み売上といいます。

無理やり、買ってもらうということです。

押込み売上の場合、完全に買い手市場です。

ビジネスは、win-winが原則です。

どちらかが一方的に得をする形態では長く続きません。

短期的に得をできればよいという取引なのです。

押込み売上の場合、値引きが行われる可能性は極めて高いです。

さらに、会社にとって生命線となる資金繰りを恐ろしく悪化させることがあります。

「お支払いは後でも構わないので契約書だけお願いします」

営業マンは、簡単にこの言葉を使います。

経理担当は契約書に基づいて請求書を作成し、郵送します。

ところがいつまでたっても入金になりません。

会社は締め・支払いをルール化しています。

会社のルールを無視した支払い条件を約束してしまうことで、資金繰りが狂ってしまいます。

資金繰りが狂うことを知っているのは営業担当者です。

営業担当者は会社の資金繰りなんて理解していません。

納めた商品の支払いが先に来て、お客様からの入金がないことになります。

押込み売上が数件あるだけでも、数十万円の資金繰りがくるってしまいます。

支払い予定と入金予定のずれに気が付くのは1か月以上たってからになります。

支払いサイトの方が短くなるため、資金繰りに危機感を覚えたときには手遅れになります。

銀行に短期的に資金ショートするので融資してほしいと伝えても、すぐに融資してもらえる可能性は低いのです。

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値引きが常に悪いわけではない

値引きの中でも、決算対策で行う値引きもあります。

決算時期になってくると会社の倉庫に滞留してくる在庫が気になります。

在庫は処分しなければ、経費にならず税金のもとになります。

しかも、滞留在庫は実質的には商品価値が低下しています。

在庫処分の場合は、値引き販売して損切をすることで会社の資金繰り改善になります。

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正しい売上目標設定

売上だけを目標とすると、薄利多売によって商品自体の価値を落としてしまうことがあります。

経営者も売上が上がったら儲かった気がしてしまいます。

しかし、これでは会社を維持したり、成長させることはできません。

会社が成長するために必要なのは、売上ではなく利益です。

しっかりと、利益が出ているかを確認していきましょう。

会社の試算表や決算書で確認する場合には、「売上総利益」を確認します。

売上総利益は、「売上-売上原価」で計算します。

商品を売った時に、どれだけの利益が残るかを表している利益です。

厳密には、ここ以外にも商品を売るためのコストがあります。

細かく集計することが無理な場合は、売上総利益の増減をしっかりと把握しましょう。

書類をチェックするビジネスマン

営業マンに払いすぎたインセンティブ

目標売上を達成したらボーナスを出すという会社もあります。

商品の利益がしっかりと担保されている場合は、目標売上達成でインセンティブを出してもかまいません。

会社に残るのは、売上総利益しかないのです。

売上総利益で、会社の維持に必要な経費を払って、借入金を返済するのです。

売上を上げたらボーナスを出すとなると、会社の負担が大きすぎる場合があります。

あくまでも、売上総利益の一部をインセンティブの財源として考えていきましょう。

実際に、営業マンは自分の固定給分しか働いていなかったということもあります。

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まとめ

会社の目標も社員の目標も売上高だけとするのはやめましょう!

売上ノルマだけになると、会社の利益が低下してしまうことにつながります。

売上ノルマに追われると、回収を無視した契約をすることがあります。

回収も含めてきちんと管理していきましょう。

売上インセンティブは、売上高できめるのではなく売上総利益(粗利益)で考えましょう。

数字での検討時には、経営に詳しい税理士さんに相談してみてはいかがでしょうか?

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