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最近では景気のよい会社は昔よりも気軽に社員旅行に海外旅行を使うケースが見受けられます。税務調査で思わぬトラブルにならないように事前に海外旅行を注意してみましょう。

海外旅行の税金の注意点!~経費にならない海外旅行~

数十年前であれば、海外旅行は高嶺の花でしたが、最近では学生が卒業の際に気軽に行くくらいです。

高校の修学旅行でも海外旅行がよく行われていることから、身近な旅行と感じられます。

しかし、税務の部分では海外旅行に関しては厳しい基準を設けており、油断すると税務調査の争点になる可能性が高い項目です。

海外出張する男性

海外旅行の目的は福利厚生であること

会社は、従業員を労ってやる気を出させることも重要な仕事です。

増収・増益を支えるのは社長だけではなく、従業員さんの貢献がなければできません。

会社の福利厚生を上手に活用することにより、会社の収益の向上・維持・人材育成を行っていくことが重要です。

インセンティブと福利厚生をごちゃ混ぜにしないこと

会社は頑張った従業員と頑張らない従業員を区別したくなります。

会社の収益に大きく貢献した社員には海外旅行に連れて行きたくなりますし、がんばらない社員は旅行も連れて行きたくないという気持ちになります。

経営者も人の子ですから、こうした区別をしたくなるのも自然のことです。

しかし、税務署はこういう見方をしません。

税務署は、頑張った人にボーナスをあげて、そのお金で旅行に行ったことと同じと考えます。

問題は、旅行に連れて行ったのに、賞与として課税されてしまうことです。

「会社で旅行に行ったら、税金が高くなった」ということが起こってしまいます。

後日の税務調査で指摘された後に、「あの時の旅行の分に対する税金分を給与から天引きさせてくれ」と言わなければなりません。

格好良く頑張った従業員を旅行に連れて行ったはずが、後日税金を取りに来たセコい社長扱いされてしまうかもしれません。

しかも、一緒に行った社長も同じように、旅行の費用に対して所得税・住民税がかかってきます。

さらに、役員の場合には、法人税の計算上、旅行の費用は経費にならないので、法人税も高くなります。

海外旅行に対する税務が厳しいことを、事前に知っていなければこういったリスクが伴います。

これは、頑張った従業員へのインセンティブと従業員への福利厚生を混同してしまったことが原因です。

  • インセンティブ = ボーナス

× 福利厚生  頑張った人を優遇

インセンティブはボーナスです。頑張った分を利益分配するものです。

福利厚生は、従業員全体にたいする慰労です。

これが、原則的な考え方です。

インセンティブと福利厚生をごちゃごちゃにすることで、税務上のリスクが跳ね上がってしまいますので注意しましょう。

シニア世代 ビジネスマン

海外旅行の原則は「旅行=給与課税」

原則として経済的な利益と呼ばれるものは、給与とみなすことが原則となっています。

つまり、例外に該当しない場合には「給与」として課税されることになってしまいます。

しかも、旅行は毎月の定期的なお給料ではなく、賞与(ボーナス)として取り扱われます。

お気づきの方もいらっしゃると思いますが、役員の場合は役員賞与の損金不算入規定が適用されてしまいます。

役員が旅行に行っているものを経費として処理していると、法人税で経費にならず、役員の個人の所得税・住民税も取られるという往復ビンタにあってしまいます。

従業員さんの部分は賞与としても、原則、経費になるので問題になるのは源泉所得税の問題ということになります。

海外旅行を経費にする方法

旅行自体が経費にならないケースがあることに驚かれた方も多いかもしれません。

特に、海外旅行となると税務調査のときにすぐに目をつけられるポイントになります。

これを経費にする方法はないのかというと、海外旅行を経費にする方法があります。

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海外旅行を経費で落とすポイントは3つ

・全従業員の50%以上が参加

・現地滞在日数が4泊5日以内

  • 会社の負担が高額でないこと

会社の負担が高額な場合には、給与として課税される可能性もあるので注意が必要です。

明確な規定はありませんが、会社負担は10万円以内程度が一つの目安になります。

海外旅行の計画

旅行に行った人も行かなかった人も税金がかかるパターンがある!

旅行に行かない人に金銭を支給すると全員が給与課税されてしまいます。

これが一番怖い規定なのです。

海外旅行に行った人だけでは、「海外旅行に行かない人に悪いから」と少額でもお金を渡してしまうことです。

ほんのちょっとの優しさが全員を不幸にしてしまう規定です。

この場合、お金をもらった人も、旅行に行った人も全員が受けた経済的利益に対して給与課税されてしまいます。

旅行の金額が一人10万円、旅行の欠席者に対しては1万円を支給したとすると、旅行に行った人は10万円のボーナスをもらったものとして課税・欠席した人は1万円をもらったものとして課税されることになります。

旅行に行った中に役員がいれば、役員は10万円を賞与の損金不算入規定が適用されます。

つまり、役員は所得税・住民税の対象に10万円が加算され、法人税の計算上10万円が加算されます。

役員個人の所得税・住民税も上がり、法人税も上がることになります。

役員だけで行った海外旅行は要注意

参加者が役員だけの慰安のための海外旅行は役員に対する賞与として処理されてしまいます。

この場合は、法人税の経費にならず、役員個人の所得税/住民税もあがります。

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まとめ

従業員の福利厚生で海外旅行を導入する場合には、計画をしっかり立てて行いましょう。

全従業員の50%以上が参加していることが福利厚生費の要件になります。

全従業員の50%以上が参加できるように日程などを検討しておきましょう。

海外旅行の場合、現地滞在日数が4泊5日に収まるように気をつけましょう。

会社負担額が高額になりすぎないように気をつけましょう。

海外旅行については、税務調査の際に説明が求められやすい部分になります。

詳しくは、福利厚生などを積極的に節税で提案してくれる税理士事務所に相談してみましょう。

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