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個人事業主でも法人を経営していても、事業をしていればリース契約の話はよく聞くはずです。

よく聞く会話ではリースが有利なのか、買ったほうが良いのかという話があります。税務的に難しいリース取引についてみていきましょう。

本当はすごく難しいリースの税務の取扱

この「リース取引」というものは、税務の世界では非常に細かく規定されていてリース料という経費になる場合とならない場合があるのです。

1 ファイナンス・リース取引

a.リース期間の中途において契約解除ができない

b.aに準ずるリース取引

aに準ずるリース取引(中途解約禁止に準ずるもの)とは(基本通達12の5-1-1)

① 賃借人が契約違反をした場合や解約する場合、未経過期間に対応するリース料の合計額の90%以上を支払うこととされているもの

② 中途解約条項に次のようなものがあるもの

  A 解約金が免除される要件:賃貸借資産を更新するための解約で、その解約により高性能機種・同一機種を同一の賃貸人から賃貸を受けるのも

  B 解約金が免除されない場合:A以外は未経過期間リース料の合計額を解約金とする(資産を処分できた時は、処分価額の全部または一部を控除した金額を解約金とする)

1-① ファイナンス・リース取引の中の所有権移転ファイナンス・リース取引 → 売買処理

所有権移転リース取引:自社で購入した資産として、法定耐用年数で減価償却を行う

次のいずれかに該当する場合は所有権移転リース取引に該当(法定耐用年数で減価償却)

① 所有権移転条項付リース取引

リース期間終了時又は中途において、リース目的資産が無償又は名目的な対価の額で賃借人に譲渡されるもの

② 割安購入選択権付リース取引

リース期間終了時又は中途において、リース目的資産を著しく有利な価額で買い取る権利が与えられているもの

購入選択権が与えられている場合の注意点

公正な市場価格に比べて著しく低くない限り、耐用年数を基礎として、定率法により計算した未償却残高(最低でも取得価額の5%相当額以上)に相当する金額以上の場合は「著しく有利な価額」に該当しないものとされます。(基本通達7-6の2-2)

③ 専用使用リース

次のいずれかに該当する場合は、所有権移転リース取引(法定耐用年数で減価償却)

A リース資産の種類・用途・設置の状況等に照らして、その目的資産が使用可能期間中、その賃借人によってのみ使用されると見込まれるもの

例えば、建物・建物付属設備・構築物などの場合は、賃借人が専属的に利用する可能性が高く、簡単に移動して別の人に貸すことが困難です。

賃借人の用途に合わせて作られた機械装置等もこれに該当します。

B リース目的資産の識別が困難であると認められるもの

例えば、建設業の建設工事の仮設資材などが該当します。

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④ リース期間が著しく短いリース取引

リース期間定額法によりリース料を損金に算入することになるため、リース期間が耐用年数よりも相当短いと、減価償却の場合よりも償却費を前倒しすることができてしまいます。

つまり、自分で資産を購入した場合と、リースをした場合で償却費に大きなずれが出てしまうということになります。

これでは課税上不公平になってしまうことから、リース期間が著しく短いものは所有経緯移転リース取引として、自社の資産として減価償却をしなければなりません。

「相当短いもの」とは

(法人税法基本通達7-6の2-7)

リース資産の耐用年数が10年未満のもの:耐用年数×0.7 >リース期間 → 耐用年数で減価償却計算

リース資産の耐用年数が10年以上のもの:耐用年数×0.6 >リース期間 → 耐用年数で減価償却計算

税の負担を著しく軽減することになると認められないもの」は、相当期間短くても所有権移転外リース取引に該当

リース期間終了後に、そのリース資産が賃貸人に返還されることが明らかなリース取引については、賃借人の法人税の負担を著しく軽減するものに該当しないので、所有権移転外リース取引に該当します。

次のポイントに注意しましょう

・ 今回のリース資産と同一種類のリースの過去の状況からみて返還されることが明らかかどうか

・ リースの性質からみてリース期間終了後に返還されることが明らかかどうか

A businesswoman in doubt, having to choose between three different choices indicated by arrows pointing in opposite direction concept

所有権移転リース取引に準ずるもの→売買処理

 リース期間終了後に「無償又は名目的な対価の額で賃借人に譲渡されるもの」は売買処理

無償又は名目的な対価の額で賃借人に譲渡されるものには、所有権移転リース取引に準ずるものとして売買処理が必要になります。

・ 無償と変わらない名目的な再リース料によってリースすることが定められている場合

・ 契約書に記載がない場合でも、当事者間で予定されている場合



1-② ファイナンス・リース取引の中の所有権移転外ファイナンス・リース取引 → 賃貸借処理

所有権移転外リース取引とは

所有権移転外リース取引とは、所有権移転リース取引以外のリース取引をいいます。

法人税法の所有権移転外リース取引に該当した場合には、リース期間定額法による減価償却をすること

2.オペレーティング・リース取引:ファイナンスリース以外のリース取引をいいます。

会計処理:賃貸借処理

まとめ

一言でリースといっても、税務上はリースとしての処理に該当するものと、自分で資産を購入したものとして取り扱われる場合があります。

形式だけのもんだいではなく、税務調査が入った際の事実認定によって取引形態を決められてしまうリスクもあります。

リースに関する税務は非常に複雑で難しいものが多いので、リース会社や税理士事務所に相談してみてはいかがでしょうか?

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