「税込経理」と「税抜経理」とは?~決算書の注意点!~

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税込経理と税抜経理というコトバを聞いたことがありますか?知っているようで知らない税込経理と税抜き経理についてしっかりとみておきましょう。

「税込経理」と「税抜経理」とは?~決算書の注意点!~

税込経理と税抜経理は両方とも合法の経理方式です。

この税込みの「税」とは「消費税」のことを指します。

厳密にいうと「消費税等」ということになりますが、消費税を含めて経理しているときが税込み・消費税を含めない経理を税抜きと覚えておきましょう。

この税込み経理と税抜き経理で有利不利があることがあることを知っておきましょう!

今回は税込経理と税抜経理を理解していきましょう。

ビジネスイメージ―プランの選択

税抜き経理とは

税抜き経理とは、消費税を含めないで経理する方法を言います。

これだけ聞いても「?」になってしまうので、具体例を見ていきましょう。

ジュースを108円で仕入れたときをイメージしてください。

(仕    入)  100円 /(現金)108円

(仮払消費税等)   8円 / ← 消費税を別建てで管理している

と経理することを税抜経理といいます。

ジュースを売った側の処理を見ていきましょう

(現金)108円 / (売    上)100円

 / (仮受消費税等)8円 ← 消費税を別建てで管理している

売った側も消費税を別建てで管理していることがわかります。

このような税抜経理が成り立つ理由は、消費税は自分のお金ではなく、預かったお金だからです。

ものを買った時にも、商品本体分が自分の経費で消費税部分は預けたお金ということになるためです。

消費税は、預かったり・預けたりしたお金だから損益に影響させないという経理方式が税抜き経理ということです。

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税込経理とは

税込経理とは、消費税を売上や仕入れ・経費・ものの購入金額に含めて経理する方法をいいます。

ジュースを108円で仕入れたときをイメージしてください。

(仕    入)  108円 /(現金)108円 ← 消費税込みで経費を計上している

このように、消費税を含んだ金額ですべてを経理していくことを税込み経理といいます。

ジュースを売った側の処理を見ていきましょう

(現金)108円 / (売    上)100円 ← 消費税込みで売上を計上している

売上についても、消費税を含んだ金額で経理していくことを税込み経理といいます。

消費税を含めた金額で、売上・仕入れ・経費・固定資産などの購入価額を経理していきます。

税込経理と税抜経理で利益はズレない

税抜経理と税込経理の違いは、消費税を別建てで管理するのか、含めて経理しているのかです。

消費税を含めた税込み経理と消費税を別建て管理している税抜き経理で会社の利益が変わってしまうか不安になります。

結論からいうと、税込経理と税抜経理で損益は同じになります。

ジュースを86円(消費税等6円)で仕入れて、108円(消費税等8円)で売った場合を例に見ていきましょう。

税抜経理の場合

売上高   100円 

仕入高    80円 

差引き利益  20円

仮受消費税等8円-仮払消費税等6円=2円(納付すべき消費税等)

税込経理の場合

売上高   108円 

仕入高    86円 

租税公課   2円 (消費税分が経費として計上される)

差引き利益  20円

※消費税を経費化することで、最終損益が同じになります。

ベストチェイス best choice

税込経理と税抜経理は一度決めたら変更が難しい!~むやみに変更はダメ~

銀行へ融資の打診をする場合、前期を含め3期分の決算書を提出することがあります。

その際に、前期に比べて売り上げが上がったか・下がったかを見られます。

事業を始めてから3年目や法人設立後3期目となると消費税の納税がでることがあります。

この消費税が出るタイミングで、税込経理と税抜経理を選択する時期が訪れます。

税抜経理の特徴は、消費税相当額を本体と消費税等を別建てで管理する経費方式でしたね。

税込経理の特徴は、消費税相当額を取引本体に含めて経理する経理方式でしたね。

税込経理では、さらに消費税を租税公課として経費化することで最終損益に消費税の影響をさせないことがポイントでした。

一度「税込経理」か「税抜経理」を決めると、継続して適用することが必要になります。

会計は、経理方式をコロコロ変更することはできません。

これを許してしまうと、過年度の決算書と比較ができないことになります。

さらに、ほかの会社との比較も複雑になってしまいます。

消費税の税込経理・税抜経理も重要な会計方針になるので、税込経理と税抜経理の選択は慎重に選んでいきましょう。

免税の時には、税込経理になる

消費税が免税の時は、消費税を納める義務がないので消費税を含んだ金額で売上も経費も処理していきます。

納める消費税は免税で0円のため、租税公課として計上される消費税も0円になります。

免税の時に、消費税相当を抜けば利益が小さくなるとおもって税抜経理をしても認められないので注意しましょう。

税抜経理・税込経理の銀行融資の注意点

通常、銀行融資を申し込むと直前を含め3期の決算書の提出が求められます。

税抜経理と税込み経理で最終的な利益はズレないのですが、見た目の売上高が変わってきます。

税抜経理の特徴は、売上・経費・資産の購入価額が消費税分小さくなります。

前期と同じだけの売り上げがあっても、売り上げが消費税分小さく見えてしまうのです。

銀行は、前期よりも売り上げが伸びている会社に融資をしたがります。

売上が上がっている会社で、最終利益がプラスの会社に融資をつけやすいからです。

税抜経理に変更することで、売上が下がったように見えてしまい銀行の印象が悪くなるか心配になってしまいます。

このような場合には、消費税の経理処理が税抜き経理になったことで、見かけの売り上げが下がっていることを説明しましょう。

お金を渡す男性

まとめ

「税抜経理と税込経理とは?」を具体的に聞く機会は少ないと思います。

税理士事務所も、税抜経理と税込経理について積極的に説明する機会は少ないためです。

今回の税抜き経理と税込み経理で大切なポイント

税抜経理と税込経理で利益は変わらない

税抜経理を適用すると、見た目の売り上げなどが下がる

税抜経理・税込経理を決めると、むやみに変更できないので注意が必要

自社にとって、税抜経理がよいのか、税込経理でよいのか税理士事務所に相談してみてはいかがでしょうか?

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